加藤 20人ほどで取り組んでいる継続的な自主研究で、発芽まで5年、全部で8年くらい費やしています。種探しから地道に研究し、世界で初めてキバナノアツモリソウの発芽に成功し、葉が展開するまでいきました。培養液などを地道に改良した成果だと思います。今後はこの研究を違う環境の植物にも応用し、開発したバイオフィルターやバイオライトの特許を取りたいと思っています。 
佐々木 植物が大好きなのでこの高校に入り、この研究にかかわるようになりました。試行錯誤の末にアツモリソウが開花したときは感動でした。今後もボランティアなどで植物の保護活動に携わっていきたいと思います。
久保田 絶滅危惧種と呼ばれるような動植物が存在しなくなることが夢です。法律の観点から絶滅危惧種を保護するような仕事につきたいですね。



加藤 びっくりしました。正直言うと、もう少し後に呼ばれたかったけど(笑い)。JSECは思っていたより堅苦しくなくて、のびのびと楽しめる大会でした。ほかの学校の人たちが自分たちのブースに来てくれ、研究に興味をもってくれたのがうれしかったですね。
佐々木 高校入学以来、ずっと勉強してきたことを全国の人たちに伝えることができ、賞までいただけて本当にうれしいです。プレゼンでは、単に最初から決めておいたことを話すだけでなく、相手に合わせて自分の考えや思いなどを交えて話すことで、よりよく人に伝わることを痛感しました。 
久保田 JSECは自分たちの研究成果を幅広く知ってもらえるチャンス。みんな積極的に参加したほうがいいと思います。


 アツモリソウ(Cypripedium macranthum var.speciosum)は自生地の環境悪化や盗掘により激減し、最も絶滅に近い植物といわれている。岩手県にも数十年前には見ることができたが、現在野生の個体を見つけることは不可能である。また、世界的に見ても絶滅が危惧されており、ワシントン条約で取引が制限されている。そこで私たちは「アツモリソウを絶滅の危機から救いたい」という夢を実現するため、増殖の研究に取り組んだ。その成果を報告する。
 アツモリソウは無菌播種による増殖が試みられ、発芽の成功例も報告されている。しかし、(1)発芽が安定しない、(2)枯死が大量発生する、(3)生育が極めて悪く、開花までいたらない、などの問題を抱えており、これが苗生産の大きな障害になってきた。その原因を調査した結果、発芽に使用されている寒天培地では、根の生育障害が発生し、さらに無菌を保つために行う培養器の密封が植物の生育に不可欠な光合成の障害になっていることがわかった。この問題を解決する新しい培養法の開発に着手した。
 最初に培地の開発に当たった。その結果、100%パルプの紙を溶かして母材としたものに用土を配合して成型・滅菌した新しい培地「盛農バイオライト」の開発に成功した。この培地に利用する培養液の作製にも取り組んだ。ここでは、無糖の培養液にすることで、培地の汚染をなくしながら培養を進めることが可能になった。
 通気フィルターの開発では、バクテリア捕集効果の高い医療マスクを加工し、利用することで無菌状態を保つことができた。この通気フィルター「バイオフィルター」からCO2を注入することにより光合成を活発にし、生長を寒天培地の8倍まで上げることができた。
 本研究で開発した一連の培養システム「エアーチャージ培養法」によって発芽後の生存率も92.6%を維持し、6年以上要した開花を国内最短となる3年未満に短縮できた。また、日本に自生するホテイアツモリソウ(Cypripedium macranthum var.hoteiatsumorianum)、レブンアツモリソウ(Cypripedium macramthum var.rebunense)、キバナノアツモリソウ(Cypripedium guttatum var.yatabeanum)および国外のアツモリソウについても同様の効果が認められた。



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