渡邉 朝日新聞の科学面に掲載されていた実験を見て、「これは面白い」とすぐに研究に取りかかりました。一つ疑問を解決したらまた別の疑問が生まれてくる。地道な研究でしたが、その過程を楽しんでいました。最終審査会は審査員の方の目を見て話すことを心がけました。大先輩にあたる人たちとしっかりと会話をしながらプレゼンできたことに満足しています。
 詰めの甘い部分を指摘されたり、研究やプレゼンのしかたを具体的にアドバイスしてもらったり、すごく勉強になりました。一般の方も含めて、いろいろな人たちがこの研究に興味を持ってくれたことがうれしかったです。


  球形のネオジウム磁石の右側に、2個の鉄球を接触させておき、もう一つの鉄球を左側からゆっくり近づけると、鉄球は磁石に引きつけられ衝突し静止する。それと同時に右側の鉄球の一つが非常に大きな速さで飛び出す。この現象は、ガウス加速器と呼ばれているものである。我々は、この現象のメカニズムを探り、エネルギー保存則や運動量保存則が成立しているかを検証した。
 まず、鉄球が飛び出す条件を調べたところ、磁石を挟んで左右の鉄球の数に関係し、衝突球を含めて衝突側の鉄球の数が、飛び出す側の鉄球の数より少ないときにこの現象が起こることがわかった。
 次に、衝突時の様子を調べることにより、衝突の瞬間における磁石と鉄球の動きを明らかにし、その様子をアニメーション化した。
 続いて衝突直後の飛び出す物体の速さと運動エネルギーを、磁石を固定した場合と固定しない場合、また、鉄球の数を変えた場合や鉄球のかわりにガラス球を用いた場合などについて測定した。これらの結果から、鉄球が高速度で飛び出すしくみについて次のように考えた。
(1)衝突する鉄球が磁力の位置エネルギーによって運動エネルギーW1を得る。
(2)磁力に逆らって飛び出すのに要するエネルギーをW2とすると、W1がW2以上であれば、衝突によって鉄球は飛び出す。
(3) 磁石を固定して、衝突後飛び出す鉄球以外が動かないようにすると、鉄球はW1−W2のエネルギーを得て飛び出すことになる。
(4) この場合W1-W2=1/2mUB2が成り立つ。
 ペットボトルのふたに磁石の一部が外に出るくらいの穴をあけ、内側に磁石を置き、外側から鉄球を付けてペットボトルを持ち上げる。鉄球と磁石の間にはOHPシートを挟み、ペットボトルの水の量を変えながら引く力を測定して鉄球が得る磁力の位置エネルギーW1と、磁力に逆らって飛び出すのに要するエネルギーW2を測定した。その結果、飛び出した物体の運動エネルギーKBは概ねW1−W2となることがわかり、エネルギー保存則が成立していることがわかった。また、運動量については、磁石の固定をはずした場合に保存されることがわかった。



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