高田 亜熱帯の小笠原諸島にしかないシダ植物のマルハチに興味をもった私たちの先輩が、温帯の千葉で発芽生育できないかと考えたのが、この実験の始まりです。
福永 今年で9年目になる部活での継続研究です。僕は亜熱帯のものを温帯で育てるという発想が面白い、挑戦しがいがあると思いました。シダは地味であまり知られていないけれど、調べているうちに面白くてどんどんのめりこんでしまいました。毎年調査のために行っている小笠原で亀のたまごを保護する活動を見て以来、将来は自然保護や海の生き物を相手にするような仕事に就きたいと思っています。


 今回の一連の研究は「シダ植物の前葉体形成に関する研究〜マルハチの発芽から前葉体形成に必要な条件について〜」を8年間にわたり実験した結果をまとめたものである。小笠原産固有種で、大型の木生シダであるマルハチについて、発芽から前葉体形成に適している照度・養分の他、前葉体形成の際に必要な光の色などに関して、予備実験を含め、8つの実験を実施した。また、マルハチの発芽生育の条件を模索する傍ら、マルハチ同様、小笠原に自生するオオシケシダ、イシカグマ、ヘゴ、シマオオタニワタリなどのシダ植物をはじめ、本校周辺に自生するイヌワラビ、ベニシダを加え、発芽生育に関する比較実験を実施し、さらにこれら収集したシダ植物の胞子について観察を行った結果、次の事柄について確認できた、

1.マルハチの発芽には光が必要であり、発芽から前葉体形成に適した照度は2000Luxである。
2.マルハチの発芽生育に適したハイポネックス濃度は1.0g/lであるが、発芽の際不可欠な条件ではない。
3.マルハチの胞子のうに15分間の超音波処理を施すことにより、胞子に影響を与えることなく胞子のうを破壊できる。
4.三波長域蛍光灯・白色蛍光灯のどちらの蛍光灯の光でも、マルハチの発芽生育は可能である。
5.赤色・青色・緑色の三色の蛍光灯のもとでは、どの光の色でも発芽し、前葉体を形成したが青色光のもとでは、大型の前葉体を形成したのに対し、赤色光のもとで形成された前葉体は小型のものばかりであった。このことから、青色光は成長を促進する働きがあり、赤色光は成長を抑制する働きがあると考えられる。
6.シダ植物の胞子の色は、大きく分けて緑色・褐色・黒褐色があり、形は正四面体と両面体に分けられる。胞子の色と形を組み合わせて観察することにより、シダ植物を分類する手がかりになる。
7.ビカクシダなどの着生シダは、地生のシダ植物よりも限られた環境で発芽生育するため、特に発芽について照度の適応範囲が広い。
8.シダ植物の胞子が発芽し、前葉体を形成する際には、発芽時よりも高い照度が適している傾向が見られた。



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