長谷川 人に説明したり質問に答えたり、プレゼンは難しい。でも楽しいし、研究を高めていくうえで参考になりました。
岡本 4月から研究を始めて一応はかたちになりましたが、さらに発展させて湖の悪臭を減らすなど実現できたらいいなと思います。
 授業がきっかけで、それぞれに環境問題に関心を持っていた3人が集まりました。
長谷川 僕は小学生の頃に河川の水質を調べたことがあり、その発展系の研究がしたいな、と。
岡本 僕は山登りや自然が好きなので、環境問題はいつも身近に感じています。
長谷川 自分たちでは「普通の研究」と思っていたので、ファイナリストに選ばれたときは驚きました。
 3人で研究をしていると、実験と意見交換がいちばん楽しいです。


 近年、各地の湖沼において、富栄養化に付随する溶存酸素の枯渇が問題となっている。溶存酸素の枯渇は、魚類の死滅や生物多様性の減少を招くだけでなく、富栄養化をさらに促進する可能性が指摘されている。そのメカニズムは、次のようである。富栄養化した湖では、表水層で大量の有機物が生産され、深水層へと沈降する。湖底の微生物は酸素によってその有機物を分解するが、特に鉛直方向の水の循環が滞る停滞期には、深水層が大気と遮断され大気からの酸素の供給が停止するため、徐々に溶存酸素量が低下する。すると微生物は、順番に、NO3-、MnO2、Fe(OH)3、SO42-を酸素の代わりに使うようになる。しかし、湖底でリン酸イオンを吸着しているMnO2、Fe(OH)3が酸化剤として使われると、Mn2+、Fe2+になって放出され、吸着されていたリンも水中に放出される。そして湖沼の水温が一様になり、湖水の鉛直方向の循環が起こる循環期になると、そのリンは表水層まで上がり、植物プランクトンを生育させる。この屍骸が沈降し、さらに富栄養化が加速するという悪循環が生じる。こうして急激に富栄養化が進行してしまう。
 我々は、この悪循環を断ち切るため、リン吸着能力が高い水和酸化鉄を主成分とする赤土に着目した。湖沼に赤土を散布し湖底を被覆することにより、堆積物からのリンの溶出を防ぐことができるかもしれない。
 本研究では、まず水槽に湖沼の富栄養状態を再現し、鉄イオンの還元溶出にともない、リンが堆積物から放出されることを確認した。次に、ペットボトルに水と堆積物を入れ、そこに有機物を大量投入し密閉することにより、溶存酸素が枯渇した湖沼の湖底付近の状態を再現した。そして、そのペットボトルに赤土を散布することにより、実際に赤土が堆積物からのリンの溶出を抑制できることを実証した。しかし、ペットボトルに赤土を撒いた際、赤土の微粒子は水中に懸濁してなかなか沈降せず、湖沼の生態系に影響を与えると考えられた。そこで、赤土を焼成し粒径を大きくすることにした。その結果、赤土の沈降速度を増加させることに成功した。また、焼成した赤土の吸着特性を調べると、吸着速度・吸着量・pH依存性に関しては、未焼成の赤土とほぼ同等であることがわかった。


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