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エリザベト音楽大学
【取組の概要】
  晴れの国、岡山は都市と農村地域が混在し、湖沼や溜池等の閉鎖水域の環境問題がいまだ未解決の地域である。さらに、瀬戸内海の水位上昇、ゲリラ的な降雨等から、今後の温暖化に伴う水環境変化の把握と予測が必要とされている地域でもある。
  一方、指定湖沼である児島湖は、関係機関と県民等の協働下に、水質改善と豊かな水産資源の育成、かつ県民が訪れ・遊び・学ぶ水資源として活用する長期ビジョンの策定が進行している。本取組は、このような地域性に基づいた素材をモデルに、自然環境の機能を理解し、国際的感覚も身につけた地球レベルで温暖化に対処できる水環境スペシャリストを輩出することを目的として実践型環境教育を行うものである。児島湖をフィールド実習現場に活用し、生態系の概念や水環境の質や量のシミュレーションを学内施設で会得させると共に、ESDや環境NPO組織との地域連携並びに国際交流締結校との協力体制も取り込む。
【文科省における現代GP採択理由】
  本取組は、雨量の少ない岡山地方の農業用水確保のために昭和34年に完成した児島湖という人造湖を対象地として実施されるものです。対象地は水質汚濁の激しい閉鎖系水域であり、そこでモニタリング、原因究明、水質浄化実験、ビオトープ造成などエコアップや環境改善に向けた各種チャレンジを系統的に実践し、そのプロセスの一切に、教員、専門家、学生、海外からの留学生などを深く関わらせ「水環境スペシャリスト」を養成しようというものであり、その成果としての技術や人材が国内外に展開されれば大きな社会貢献となると考えられます。
  本取組は、その目標の設定、フィールドの選定、プログラム、効果、参加学生に付加しようとしている能力などが的確かつ妥当であるといえます。特に、現代社会の切実な課題に体験的に取り組みつつ自らの環境教育を全うするプログラムの系統的構成は、他大学にも十分なモデルとなり評価できます。
  実施にあたっては、水質浄化技術、エコアップ技法等、岡山大学独自の研究を深化させることや、その技術や教育システムをできるだけ海外へ移転することに力を尽くされることを期待します。
【取組の趣旨・目的】
  児島湖は沿岸農用地の用水の確保のために,昭和34年に完成した湖面積10.88km2の人造湖である。その後,閉鎖性水域であり,生活排水等の流入量が増大し,水質汚濁が顕在化した。外来生物の異常繁殖やアオコの発生等で生態系は乱れ,水産資源も減少の一途を辿った。 しかし,国営事業によるヘドロ浚渫や岡山県による水質保全条例による汚濁負荷量の抑制,さらに県民との協働による環境保全活動により,平成7年度以降,徐々に改善傾向に向かっており,平成37年頃までの長期ビジョンの達成目標が共有されようとしている。
  現在, 行政機関,研究機関および環境関連企業の主導で水資源の再生が展開されているが,未来に引き継ぐためには,それらの主体の中に環境学の基礎と実学を修めた人材の存在が強く望まれる。さらに,自然環境の機能を理解した上で水循環や水資源を論じる人材が必要である。そこで本取組では,データの収集と解析力(Analysis of Data),体系的な思考力(Thought),問題解決のための計画性(Plan),行動力(Action)そしてコミュニケーション能力(Communication)を付加したADTPAC水環境スペシャリストを晴れの国の財産である児島湖の環境保全・地域資源再生活動のフィルターを通して国内外に輩出することを目論む。
  教育の場としては,児島湖の現地以外にキャンパス内の水循環施設を活用する。本施設は,児島湖で得られた複合的なデータの解析に役立つスケールダウンした自然環境の機能を把握し,環境改善への方向性を習得する目的で,現在造成中である。さらに,多様な主体の地域連携を経験させるために,環境NPO組織やESD-Jの環境教育の企画や実施に参画させると共に,関係者を講師として招聘する。一方,環境問題の先進国である日本は,東南アジアの水環境問題の解決等への協力が求められている。学部間国際交流の締結校であるタイ国カセサート大学カンペンセン校農学部では,共同研究として水質浄化手法の検討を要望している。晴れの国で会得した自然環境の機能を通した水循環が,熱帯・亜熱帯地域のタイ国で,どの程度普遍性があるのかを理解させるために,加えて環境問題を語るコミュニケーション能力を磨くために国際交流締結校の協力を得る。
【取組の内容】
(a)カリキュラムの位置づけ
  ここで実施しようとする取組は2年次生の専門基礎科目として位置づけ,平成20年度より通年60コマで単位を認定する予定である。これは従来の各学科単位の教育ではなく,「水辺空間」というフィールドを活用して水環境に関する総合的な基礎教育を実施するもので,従来の座学あるいは実験室内で行っていた狭い範囲の教育から,そのメカニズムを探求させる実践型の教育へと改善するものである。
  また, 児島湖における現場にて実習 するプログラムと平行して,キャンパス内の施設で,地下水,土壌,微生 物,生物を供試して,自然環境の浄化 機能や気象条件を観測させることによ り,自然環境の機能を活用した水循環 システムを理解させ,さらにビオトー プの創出など親水機能に関する知力も付与するユニークな教育システムを確立する。一方,2年次の夏期休暇中(3週間)にタイ国カセサート大学カンペンセン校農学部にて特別コースを設置し単位を付与する。本コースにおいて,タイ国における自然環境の機能,水環境問題や環境保全活動の実践教育を受ける。

(b)児島湖におけるフィールド実習および学外の協力機関との連携

  児島湖における実習の主なる内容は,図1の通りである。これらの結果はキャンパス内の結果やタイ国の結果と比較検討する。そして,得られた結果をデータベース化することにより,今後の環境改善活動に活用できるシステムを組むと共に環境改善手法と費用対効果も言及する。一方,産学官民の環境保全組織である児島湖流域エコウェブや行政機関のイベント企画に参画させ,学外から講師を招き,学校ビオトープのインストラクターとしての教育も積極的に行い,地域連携の経験を本カリキュラム内で培う。本実習より児島湖の有する多機能性を理解させ,地域住民との共同意識を芽生えさせる。

(c)キャンパス内の水循環施設
  本取組の教育で使用する水循環施設は別途,学内で構築する水辺空間であるが企業や学外研究機関との共同研究の場としても活用し,実社会で課題となる内容を取り扱う。また,施設の骨格をなすハードな部分のみ造成するので, 自然環境を復元させる段階とその後の維持管理の段階との2段階における教育を行うことが可能である。これは,自然環境が整った既存の施設やビオトープの利用による教育と異なり,実社会で即戦力となる基礎と応用力を身につけることを意味し,児島湖等へのフィードバックがしやすい。さらに,酸性雨の影響緩和機能を目した植生,植生による気温緩和効果や蒸発散,CO2や窒素・リンの収支など生態系の仕組みが学生自らの観測で把握できるシステムで,身近な科学を体験しながら,「水資源の確保」,「自然との共生」,「自然環境の復元」への新技術を生み出す能力が鍛錬される。さらに,本取組の活動内容を高大連携にも活用し高校生に教授する予定である。
【取組の有効性】
(1)低学年に本取組を導入することにより早くから社会性を有し,かつコミュニケーション能力に優れた人材を社会に送り出す。
(2)ビオトープ形成に伴う生物との触れ合い,継続的な自然環境の観測を通して自然環境の機能を会得するので,人間形成における精神的な波及効果が大きい。
(3)国内外で,そこに生じる問題点を解決するための英知や技術を実地体験することにより,グローバルな環境問題の仕組みも理解しやすくなり,課題解決型の人材が育成される 。そして,自然環境の機能を会得した地域社会をリードする水環境スペシャリストが輩出され,今後の温帯地域の温暖化に対する環境予測と対応策が水循環を基盤としたグローバルな視野から展開できる。
(4)キャンパス内の水循環施設は地元市民の心の癒しの場ともなり, 地域の小・中・高校の環境教育に効果が高い。

【お問い合わせ先】
〒700-8530 岡山市津島中3-1-1  電話:086-251-8802(岡山大学環境理工学部事務室)
岡山大学環境理工学部ホームページ:http.//www.okayama-u.ac.jp/user/est/home Japan.html

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