【本取組の概要】
急速なグローバル化・情報化が一層進む世界において、大学は国際通用性のある高い質を保証する教育を求められている。「人格形成」という普遍的目的を大学教育の基礎として保持しながら、高い専門性を持った人材の育成を目指す意において、従来の「学部教育」は「学士課程教育」として捉え返されることとなった。
本取組は語学力の技能や知識の習得のみを目的にするのではなく、また従来の学部教育の観念にとらわれない新しい視点で、教養教育、専門教育及び英語教育を統合・融合させた教育プログラムである。
21世紀の人類的課題を学びのコンテンツとする教養教育及び国際通用性のある専門的能力と専門実務能力の獲得を目指す専門教育は、共に英語を教育言語として展開される。
さらに、学習支援センターの常設等体系化された多様な支援体制を整備し、知識基盤社会の進行に対応する大学教育を展開し効果を上げている。 |
【選定理由】
本取組は、学部教育から学士課程教育への変換を図るべく、教養教育、専門教育、英語教育を統合・融合させた教育プログラムの構築とその展開をめざしたものです。
その核となるのは、英語を「教育言語」として行う人材育成であり、「ミニマム・リクワイアメント」による教育目標の明確化と共有、年次進行による学習能力の積み上げ、自主教材の開発、学習支援システムの設置など独自性に富み、社会で要求される「学術英語」、「専門英語」の習得を目指した挑戦が充分に感じ取れ、他の大学の参考になり得る大変に優れた取組です。
また組織性においても、アカデミックコーディネータを中心に各種の委員会が教育プログラムの進行状況を把握し、その有効性において確実な進歩が見られることも充分に評価できます。
今後、国際通用性のある高い教育の質を保証するために、「教育言語」としての英語を通した専門教育3領域の効果的配置、またそこでの目指すべき成果に向けて創意工夫を重ねられていくことを期待します。
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【本取組の特性】
a. 教育効果を上げる工夫
(1)教育目標の明確化
4年間のカリキュラム全体での到達目標及び各学科目での学習事項を明確化し共有するため、2004年度の開学時に「カリキュラムの構成と学習目標」を編んだ。さらに、2006年度からその見直しを開始し、2008年度のカリキュラム改訂に向けて準備を進めている。
加えて専門教育課程における教育内容の質を保証するために、学習事項と学習量を規定した「ミニマム・リクワイアメント」の設定に取り組んでいる。専門教育の英語基礎群及び英語展開群の各学科目については、すでに到達目標、授業展開方法、評価方法と課題ごとの比率などを定め、「College Catalogue」を編み、全担当者に配付している。
(2)教育目標の共有
毎年「講師対象オリエンテーション」を開催し、本学の教育目的・目標及び、授業展開と学生指導についての詳細な説明を行っている。さらに4月初めの開講前に、英語展開群、英語基礎群及び第二外国語「世界の言語群」担当者がそれぞれ一堂に会した「ワークショップ」を実施し、教育目標の再確認、各教科の教授方法・評価方法の確認し教育目標の明確化を図っている。
(3)体系性のある教育課程
1年次から4年次までの学びを通して、IT活用、研究調査、論理的思考、論文作成、プレゼンテーションの学習能力を積み上げていくことにより、専門教育での学習成果を高めることを企図した体系性のある教育課程である。
(4)教育の質を保証するための教育組織の編成
担当者や学生の声から授業の進捗状況を把握し、適切に授業展開させるために、教育課程全体を見わたすコーディネーターを、専門教育科目の3つの分野及び英語で展開する各学科目にリエゾンを、英語習熟度別に編成した各クラスにチームリーダーを配置している。特にリエゾンは、担当学科目で発生した問題点や改善提案を教育企画・推進委員会に提出する重要な役割を担っている。
(5)自主教材の開発
| i. |
英語展開群1年次必修科目(Reading, Discussion, Writing)では、3つの学科目各7クラスが共通教材(資料1)により授業展開している。学生用テキスト(807ページ)と担当者用マニュアル(404ページ)は毎年改訂して用いている。 |
| ii. |
英語展開群2年次必修科目(Study of Current World Events)では、国際政治及び社会問題を中心としたBBC Newsを1.5週に1トピック取り上げ、教材を作成し用いている。 |
| iii. |
専門教育科目の国際マネジメント群では、関係学科目の学習を総集するために、Internet上に「バーチャル企業」を立上げている。学習者は、この企業の各部門の一員となって課題解決を行うかのごとく各学科目の学習が展開する。バーチャル企業の素材は、前年度の学生が企業研究をおこなった成果による情報を用いる。企業研究の成果物(英文)を教材として利用することは、社会人としての経験のない学生が授業を実務レベルで理解するための動機を強める工夫である。 |
(6)習熟度別・少人数クラス編成
1年次必修科目の63%(25単位)、2年次必修科目の72%(14単位)、分野別専門教育科目(必修)の77%(20単位)及び英語基礎群選択必修科目(16単位)は英語を教育言語としている。このため、自主開発した「Placement Test」(英語到達度テスト)とTOEIC-IPにより習熟度別クラス編成を行い、それぞれの英語運用能力のレベルに合った授業展開を行っている。
| 1年次: 4段階7クラス編成 |
2年次: 7段階7クラス編成 |
| 分野別専門教育科目: 3段階 |
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また、2006年度に開講した457クラスのうち、20名以下が146クラス(31.9%)、30名以下が379クラス(82.9%)と少人数編成を中心としたクラス展開である。
(7)到達度測定方法の開発
習熟度別クラス編成に必要なものは、学生の英語能力を測定する適切な「物差し」である。また、テストの「波及効果」が及ぼす学習の動機づけが目標言語能力の修得につながっていくことを考えると、カリキュラムを通して自分の英語能力がどれほど伸長したのかを客観的に知らしめる物差しも必要である。それ故、本学では,独自のオンライン英語診断テストDiagnostic Test(既述)、プレースメントテスト(既述)に加えて、自主開発したProficiency Test(英語能力テスト)で定期的に学生の学力把握に努めている。さらに、外部との比較判断尺度として定期的にTOEIC-IPを導入している。
(8)IT利用能力の養成とIT学習環境の整備
| i. |
4年間にわたって求められる「英語による論文作成」能力に資するため、IT利用能力を基礎にした調査研究能力を確立する必要があり、「デジタルネットワーク基礎」(1単位)「情報の理解と活用」(2単位)「社会調査法」(2単位)を必修科目として設定している。 |
| ii. |
学習者がインターネット上からサーバーに保存した教材や学習情報を取得したり、その時点での学習できた事項や到達度が分かるよう、プレゼンテーション、成果物、小テストなどによる評価を学習者にすみやかにフィードバックするシステムをLearning Management System (LMS)で実現・実施している。 |
| iii. |
学習者が、Internet上から自分の現時点での英語運用能力を診断できるDiagnostic Test(自己診断テスト)を自主開発し供している。 |
| iv. |
自主開発した音声教材をデジタルデバイスiPodに収録し、授業準備や自学習に用いるスタイルは、いまや世界各国の大学に広まりつつあるが、2004年4月の開学時点での本学の導入は、これらの事例の先駆けとして広く社会で紹介されている。学生は英語必修科目で使用する音声教材をiPodに導入し携帯することにより、キャンパス内にとどまらず自宅・通学時での学習に利用している。 |
| v. |
ライティング能力の向上のためにCriterion(論文自動添削システム)を導入により、従来、多大の時間を要していた添削や評価を瞬時におこなうことによって学習者へのタイムリーなフィードバックと繰り返し添削を実現している。 |
(9)学習支援システムの設定
| i. |
学生が、自らの進度や課題に合わせて学習を進めるために、Self-Access & Study Support Center(SASSC: 学習支援センター)を設けた。英作文指導専従の教員とチューターが常駐し、個別指導を行う。2006年度の利用件数は328件(資料2)であった。 |
| ii. |
英語運用能力を集中して獲得するために、1・2年次の英語運用能力に応じて参加を要請し、夏期・春期休暇中に学内で実施する英語セミナーと学外で実施する3泊4日の英語集中合宿を開催している。 |
| iii. |
3・4次の専門教育で必要な英語コミュニケーション能力を獲得するため、ニュージーランドのLincoln Universityで2年修了時までに1か月の語学研修プログラムを実施している。TOEIC600点に達していない場合に参加資格があり、2006年夏に23名、2007年春に29名が参加した。 |
(10)海外プログラム
3・4年生が履修する海外での「フィールドワーク」や「インターンシップ」、及び海外提携大学でのセメスター留学を、専門教育に係る学習として位置づけている。本学の分野別専門展開群科目の学習成果を海外での現場で、実践・体験する試みである。
b. 学生の社会性を涵養するための工夫
| (1) |
21世紀に人類が遭遇し克服すべき課題として、国際平和、宗教観、人権感覚、ジェンダーへの認識、生命科学の発達に起因する諸問題に関する認識と問題意識の覚醒を前期2年間を中心とした教養教育の目的と位置づけ教育課程の主軸とした。 |
| (2) |
また、国際社会で有用な人材を育成するため、国際協力、国際マネジメント、国際コミュニケーションの3領域の学科目群を配し、深く学んでいける基礎知識や研究方法、あるいは、具体的な職業能力を獲得することを、後期2年間を中心とした専門教育の目的として位置づけている。 |
c. 現代的課題への対処
| (1) |
入学者の高等学校における学習内容や学力の多様化に対して、少人数クラス編成、授業外での授業担当者による論文指導や学習支援センターの設定などにより、個別学習支援を行っている。また、IT環境を通していつでも学習情報にアクセスしたり自己診断できる環境を整えた。 |
| (2) |
大学で学ぶことが自律した人間としての社会参加意識の覚醒と繋がるよう、1年次必修科目として「大学と自己形成」「大学教育と社会」を設定している。 |
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【お問い合わせ先】
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