AERA STYLE MAGAZINE −ニッポンのビジネスマンへ−

From Editor

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二十数年前、新米の編集者として月刊メンズファッション誌をつくっていた頃。いちばん労力を使ったのは、企画を考えることでも、撮影フィルムから掲載する1枚を選ぶことでもありません。20文字×3行のスタッフ通信を書くこと。これが、もっとも腐心した作業だったのです。

遠く離れた旧友へのメッセージ、結婚する仲間へのお祝い…。いま正直に告白すれば、それは奥付のスペースを借りた私信だったのです。数年ぶりに会った郷里の友人に「スタッフ通信だけは、毎号欠かさずに本屋さんで読んでいるよ」と言われて、本を買ってもらえなかったことを残念に思う半面で、私自身の消息を気にかけていてくれることが嬉しくて。

その後に携わった雑誌のなかには、スタッフ通信のないものもありました。それでも、彼らは奥付のスタッフクレジットに名前を見つけて、私が元気にしていることを確認してくれていたようです。

実は、昨年11月に母親が亡くなりました。私がつくる雑誌を読むことを、楽しみにしてくれていたようです。目が悪くなった晩年の母親には、細かい文字は読みにくかったようではありますが。それでも、つくった本を送ることは、帰省もままならない私にとって、唯一の孝行のようなものだったかもしれません。

アエラスタイルマガジンは、このフロムエディターの文章だけではなく、一冊まるごとが、私自身からのメッセージです。家族や友人だけに向けたものではありません。汗をかいて働くニッポンのビジネスマンに向けた、応援エールです。伝えたいことがある限り、伝えたい人がいる限り、これからも雑誌をつくっていこうと思います。

2010年 春
AERA STYLE MAGAZINE 編集長 山本晃弘



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