2004年3月、都知事は定例記者会見において、東京の戸建住宅が高いことについて言及した。戸建住宅の生産システムを一から見直すことで現状の3割は安くなるはずであるとの見解を明らかにし、東村山市にある都営住宅の跡地約10ヘクタールに及ぶ都有地を利用して実現化することを発表した。
「
東村山市本町地区プロジェクト」のスタートである。
都は同プロジェクトの根幹を「郊外型居住モデルを提示するまちづくり」と「戸建住宅の価格引き下げの実証実験」の二つとし、広く民間から事業提案を募った。「実証実験」は、住宅の広さと品質を落とすことなく、東京の戸建住宅価格(建物本体工事費)を市場価格より3割削減する目標が掲げられた。民間企業の創意・工夫を導入してこの目標を実現しようという都の意向に、意欲ある住宅生産者が賛同。13グループから応募があり、それぞれ合理的な生産システムと設定価格を提示。審査・選定には外部有識者からなる審査委員会が務めた。

住宅生産者からは工夫をこらした提案が出された。審査委員会は「汎用性の高い合理的な生産システムを用い、広さと質を確保しながら建物価格が市場価格より3割安い戸建住宅を供給する」という実証実験の誘導目標をふまえて審査を行った。
生産者にとっては「価格」が相当なハードルとなった。東京の平均を3割以上引き下げることは、全国平均の「坪(3.3m
2)59・3万円」さえも下回ることになる(右記グラフ参照)。
「汎用性の高い合理的な生産システム」は本実証実験をモデルとして、将来的に東京の戸建住宅が平均して値下がりすることを具体的に想定していることがわかる。
この厳しい審査に合格したのが、
「新世代住宅」(アキュラホーム)、「木の香る家」(匠技建、加賀美工務店、長崎工務店、リンデンバウム遠野、現代計画研究所)、「木造ドミノ」(相羽建設、オーエム研究所、オーエムソーラー協会)、「100年健康住宅」(大和工務店、公住工務店、多摩消費者住宅、松本建工)である。
それぞれの住まいは、価格条件を満たしながら、高品質で魅力的な提案であったことが評価された。
アキュラホームの宮沢社長は「トータルコストダウンによって、予算内で付加価値の高い家づくりを実証していきたい」と、語った。