今年は、例年に比べ、圧倒的に多数の方々が花粉症で苦しむのではないか、と言われています。花粉症の原因となるのは圧倒的にスギ花粉ですが、その量が昨年の10倍以上にもなると言われているからです。
ピークは、スギの花が咲く2月から4月にかけて。後を追ってヒノキの花粉が3月中旬から5月にかけて飛散します。
環境省が昨年12月に発表した予測によると、スギ、ヒノキの花粉の飛散量は全国の8割の地点で多くなるとのことです。
環境省は12月24日、来春のスギ、ヒノキの花粉の総飛散量の予測(速報)を発表した。観測地点がある全国の8割以上の地域で飛散量が多く、花粉症の症状が重くなる恐れがあるという。同省は早めの予防対策を呼びかけている。
夏の日照時間が長かった東日本と近畿では、例年に比べると総飛散量が1.1〜2倍になる。一方、中国、四国、九州は7月の日照不足と大雨の影響で、多くが例年の5〜8割程度に減る。
花粉の飛散量は1平方センチメートル当たり2千個を超えると、重症化する人が多くなるとされる。北海道や鹿児島県など一部の地域をのぞき、その水準を超える予測だ。
昨シーズンは花粉の量が例年より少ない年でした。その昨年と比べると、特に東海地方や近畿地方の一部では、10倍以上になる地域があると予測されています。
また、関東から北の地方と西日本でも、昨シーズンの2倍から6倍になると地域が多いという予測です。
飛散量に影響を与えるのは、前年の夏の気候。気温が高く、日射量が多いと花粉の数が多くなるのです。 昨年夏の暑さは「酷暑」と言われるほどひどいものでしたね。その酷暑がスギの花粉を育てたのです。
飛散開始時期は冬の気温と関係します。冬の初めに気温が低く、その後気温が高い場合が最も開花が早くなるのです。
首都圏の場合、「飛散開始日」は2月初旬と予測されていますが、これは「1平方センチメートルあたりの花粉数が連続して1個以上となった初日」のことで、あくまで観測上のもの。敏感な人は1月ごろから症状が出ているようです。
さて、花粉が飛びやすい気象条件というのがあります。(1)晴れて、気温が高い日(2)空気が乾燥して風が強い日(3)雨上がりの翌日や気温の高い日が2〜3日続いた後です。
また、花粉の多い時間としては、正午前後と日没後。
お昼前後は、午前中に飛んだ花粉が気温が高くなって都市部にまで来る時間帯。上空にあがった花粉が、日の落ちた後に地上に落ちてくるためと考えられています。
環境省は、リアルタイムで花粉の飛散状況を監視するシステムを1月31日から始めています。
「花粉の飛ぶ量が多くなると、これまで症状の出なかった人に症状が出るほか、すでに症状がある人はより重くなる傾向があります」と話すのは、慶友銀座クリニック院長の大場俊彦さんです。
花粉症は、アレルギー源である花粉に曝露すればするほど、症状が重くなります。
くしゃみの回数が増えるほか、鼻水がひっきりなしに出てきます。さらに問題なのは鼻づまり。鼻の粘膜の炎症が進み、鼻がふさがってしまうのです。すると鼻呼吸が困難になって、口呼吸をするしかない状態に。充血や眼のかゆみなど、眼の症状も同様に炎症が進んでひどくなります。
症状がひどくなると、どうなるのか。アスパラクラブで、会員の皆様にアンケートを行ったところ、3408人の方からいただいたご回答のなかから、「花粉症でつらかったエピソード」をご紹介します。
「不眠になり、不機嫌になって家庭不和」(女性、60代、富山県)
「夜布団に横になることができず、座って寝たことがあった」(女性、50代、東京都)
など、とにかく鼻や目の症状で夜眠れない!という方がたくさんいらっしゃいました。
寝不足から昼間の仕事にも支障があるなど、日常生活への影響が大きいようです。
また、「大学入試の朝、くしゃみで鼻血にまみれながら入試に挑みました」(女性、50代、愛知県)
「くしゃみ、鼻水が止まらず、主催していた会議が成立せず関係者に迷惑をかけてしまった」(男性、50代、茨城県)という方も。
花粉症シーズンを少しでも快適に乗り切るには、こうなってしまう前、症状がまだ出てないか軽い段階で、早めに治療を始めることポイントです。
銀座慶友クリニックの大場俊彦さん
銀座慶友クリニックの大場俊彦さんの話:「快適な生活を送るためには、何よりも早めに治療を始めることです。症状が軽い段階で治療を始めれば、弱い薬で効果が出ることが多いのです。症状がひどくなると、弱い薬では効かなくなり、効果も高い代わりに副作用も強い薬を使わなければなりません。しかし、眠気を催す副作用から、業務で運転なさる患者さんなどには使えない場合も多いのです」