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ハンカチは白しか持たないという選択

齋藤 薫(美容ジャーナリスト)

[2011.12.14]

大人になってハンカチをもらうって特別なこと。繊細なレースをあしらった純白のハンカチをもらった時、なんだか身も心も洗われる気がした。それが自分の”持ち物”になると思っただけで、たちまち自分が丸ごと浄化されてしまうのだ。美しいハンカチには意外なほどのパワーが備わっていることに、その時改めて気づいたのである。ただの生活必需品である一方、女にとっては”人に見せる下着”のようなもの。だから、その静謐な白の高みに自分自身も引き上げられる。たかがハンカチ一枚に、そんな”力”があるなんて不思議だけれど。ただ、繊細なレースのついた純白のハンカチも、宝物みたいにしまっておいたり、ハンカチの仕事をさせずに時々ヒザにのせて使ったりするだけでは、そういうハンカチの浄化作用もあまり利かない。どんなにツンと取りすました白いハンカチも、生活必需品として平然と使ってこそ、身も心も浄化されることにも気づいたのだ。

そう言えば、ハンカチは白しか持たないという人がけっこういる。不思議に白いハンカチには気持ちが慣れてしまわず、365日、上質の白いハンカチをバッグに入れるたびに、背すじがしゃんとし身が引き締まるからと。シーツやタオルなど、生活の中で使う布はすべて白にするという人も少なくないが、言ってみればそれは生きる上でのこだわり。白は汚れもシワも目立ってとても厄介だから、その分生活がきちんとする。生活の中の白はそうやって人を律するのだ。と同時に暮らしを浄化し、一日のいろんな瞬間、人を癒してくれる。ホテルでは100%が白なのもそのため。だからせめてハンカチを白に。柄もの色もののハンカチは、どこか女を甘やかし緩ませる。ハンカチは女にとってたぶん自分自身なのだろう。ハンカチを白にするだけで、だから人は若返る。清らかになる。それもひとつのアンチエイジング。


さいとう・かおる

女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストへ。女性誌において、多数の連載エッセーをもつ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。近著の『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『The コンプレックス』(中央公論新社)他、著書多数。

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