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Woman's Talk

『シュルツ美術館』は、私の人生そのものです

ジーン・シュルツ さん(シュルツ美術館理事長)

[2016.05.10]

初めて出展した思い出の原画


スヌーピーファンの聖地、アメリカ・カリフォルニア州の『シュルツ美術館』。その世界初のサテライトとして、4月23日、東京・六本木にスヌーピーミュージアムがオープン、賑(にぎ)わいを見せている。このオープン記念展“愛(いと)しのピーナッツ”のために、作者の故チャールズ・M・シュルツ氏と共に人生を歩んできた、夫人のジーンさんが来日した。

「日本には40年来のたくさんのファンがいてくださり、このようなミュージアムができたことは、授かりもののようにうれしいです。展示物の見せ方がとても美しくて感激しました」

シュルツ氏ゆかりの品々や、動画、写真のほか、原画60点のすべてを夫人がセレクト。なかには、これまで美術館のスタッフにも見せたことがなかったという、貴重な1点もある。

「スパーキー(シュルツ氏の愛称)が、バレンタインの日に私にプレゼントしてくれて、ずっと寝室に飾っていたものなのです」

丁寧な話し方に、おだやかで知的な雰囲気が感じられる。

「夫が生み出したキャラクターたちが長年、愛され続けるのは、ごく普通のありきたりの日々、皆と同じ思いを取り上げて描いていたからだと思います。たとえば自分は本当に好かれているのかな、という不安だったり、いじめられたとき、どうやって生き残ったらいいのかとか、一度でいいから野球の試合で勝ってみたいなとか……。世の中のほとんどの人は勝ったというより、負けたという感情を味わっている。だからアメリカで『ピーナッツ』に最初に共感し、夢中になったのは、大人たちなんです」

「子どもたちは可愛いいから始まりますが、実は大人になってみて、初めてなるほどというものが見えてくる作品なのだと思います」という。

毎朝、イングリッシュ・マフィンとグレープ・ジャムの朝食をとり、スタジオに入り制作するという規則正しい生活ぶりだったそうだ。

「アメリカでは原作者がいて、絵は作画家が描くのですが、原作も絵もひとりで手がけ、50年も続けたのはおそらく夫だけではないでしょうか。そして案に詰まったとか、描けないとか、グチを聞いたことがありませんでした」


空中ブランコのレッスンに夢中

ときどき、夕食時を懐かしく思い出し「恋しい時間」と話すジーンさん。

「漫画家の友人や、地元のオーケストラの奏者とか……来客たちとかわす会話や彼の質問は面白くて、どうしてそんなことを知っているのと思うことばかりでした。彼は人間としてものすごく幅広く、温かくて、英知を持っていた人だったと思います。今でもひとり考えあぐねた時、彼のひとことがあったらと思います」

「シュルツ美術館は、私の人生そのもの」と微笑(ほほえ)み、今も夫と暮らしたサンタローザの家から、ほぼ毎日、美術館に足を運ぶという。仕事を離れたときは? と尋ねると「最近、フランス語に興味を持ち始めて習おうかと思っています」と答えたあとで、急に快活な少女のような顔になり、「空中ブランコが大好きなんです。ええ、サーカスの。以前、ある催事で見て、やってみたいなと思ったの。たまたま家から1時間ほどの所に体験できる所があると知って行ってみたら、こんなに楽しいことはない(笑)。ブランコにただ乗るのではなくて、バーに膝を引っかけてぶら下がった形でスイングするんですよ。以来、夢中になって、1週間に1度のレッスンを受けています」

なんともチャーミングな笑顔を見せた。

(撮影:渞忠之/文:水田静子)

ジーンさんへQ&A

いつもバッグに入っているものは?
お財布、ペンとメモ帳(ちなみにメモ帳はスヌーピーの絵柄の、短冊式の小型のもの)。
好きな場所は?
スコットランド沖合のアイオナ島。一度行っただけですが、“気”の高い豊かな場所でした。いちばんくつろぐのは自宅ですね。
好きな色と花は?
色はブルーです。鮮やかなロイヤル・ブルーのような。花はパンジー。人の顔のように見えて可愛くてしかたない。

ジーン・シュルツ
1973年、チャールズ・M・シュルツ氏と結婚。2000年に夫は78歳で逝去。現在、カルフォルニアにあるシュルツ美術館理事長。Canine Companions for Independence(介助犬を支援するNPO団体)の理事としても精力的に活動する。

●スヌーピーミュージアム
オープニング記念展は2016年9月25日まで。開館は18年9月まで。オリジナルグッズ・ショップ、カフェが併設されている。
東京都港区六本木5-6-20 TEL:03-6328-1960 10時〜20時 チケットは日時指定制の予約制。


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