twitterにこのエントリを追加
Woman's Talk

子どもに教えてもらったことはたくさんあります

松雪 泰子 さん(女優)

[2016.12.07]

京都の歴史の深さを全身で感じました


艶やかで粋な着物姿がよく似合う、松雪泰子さん。京都を舞台にした川端康成の原作『古都』で映画主演。生後すぐに生き別れた老舗呉服店に嫁いだ千重子と、北山杉の里で林業を営む苗子という双子の女性の二役を演じた。

「京都は静かで情緒があって、撮影中あらためて歴史の深さを全身で感じました。この美しさを後世に残していかなくてはと思いましたね。京言葉や茶道、着付けを習い、おばんざい作りにも慣れて臨みました」

映像は、四季と古都の美しさを余すところなく伝える。過去、2作品が映画化されているが今作は原作を現代に大きくアレンジ。

「それぞれの娘ふたりに話を広げています。現在の京都に生きて、自分の将来に迷う娘たちと、その母たちの気持ちを、丹念に描きました。特に千重子は伝統の家業を継いで欲しいという思いが強い。一方で親が無理強いすることではない、娘が苦悩しながら選択していくことかもと迷うんです。母と娘、それぞれの葛藤をきちっと描き出そうと監督とじっくり話し合いました」

見終わったあと、4人の女性たちの生き方が不思議なほど静かな余韻となって残る。松雪さん自身も子育てをしてきた母親だ。

「このふたりの母は、娘たちの進んでいく道を、最終的には本人たちの意思にまかせるのですが、私自身も息子本人の自立心を尊重しています。親子といえども違う人間ですし、彼の歩いていく人生は彼が見つけていくこと。学校を卒業したら早く家を出なさいとも言ってあります。生きることがどれほど大変かということを知ってほしいですしね」

低めの落ち着いた声音に、ひとりで育て上げてきた人の、揺らぎない母性のようなものが感じられる。

「女優という職業を持った母とその息子であるという環境を、彼も充分に理解しています。不規則な仕事柄、時間的にどうしても手が回らない部分もあって、よい面、そうではない面があります。でも、お互いこの現実を受け入れて生きています」

多忙な中でも、食育には心を配ってきた。

「温かい物をちゃんと食べることが大事。それだけは絶対にしようと思ってきました」と話す。きれいなすらりとした手だが、家事をしっかりとこなしてきた人のそれだとひと目でわかる。

「振り返ると、子に教えてもらったことは本当にたくさんあります。まるで鏡のように自分のダメな部分がわかったりとか(笑)」

子育てが終わったら、脚本や小説を書いてみたい

デビューして25年。映画賞を総なめした『フラガール』をはじめ、『容疑者Xの献身』、『余命』……と、今を懸命に生きるリアリティーのある女性たちを演じてきた松雪さん。

「子育てが終わったら、脚本や小説を書いてみたいと思って、今も少しづつ書いているんですが、舞台の戯曲で俳優を突き動かす、すごいセリフに出会うと打ちのめされて、なんて面白いのかと触発されるんです」

いずれはパリに住む日も夢見ている。今回の映画のロケで渡仏。パリの美術学校に留学中の娘を訪ねるシーンのためだったが、京都同様、歴史ある街を堪能したという。

「教会や美術館を訪ねることがすごく好きなんです。それからガーデナーの資格も取りたいと思っているんですよ。薔薇(ばら)が咲くイングリッシュ・ガーデンがとても好きなんです」

子育てもあと数年。その後の美しい人生に向けて、松雪さんの夢は広がっていく。

(撮影:渞忠之/ヘアメイク:中野明海(air notes)/着付け:森 荷葉/文:水田静子)

松雪さんへQ&A

いつもバッグに入っているものは?
ラベンダーの純度の高いアロマオイル。ちょっと疲れたときに使って、リラックス。
好きな花と色は?
家で育てているオールド・ローズ。色も淡い、白に近いクリーム色が好き。
好きな場所は?
家のウッドデッキのスペース。天気のよい日はお茶を飲んでゆっくり過ごします。侘助(わびすけ)や金木犀(きんもくせい)などもあって、香る季節を楽しみにしています。

まつゆき・やすこ
1972年、佐賀県生まれ。高校在学中に雑誌モデルとなり、91年にドラマ『熱血! 新入社員話』で女優デビュー。93年『白鳥麗子でございます!』で人気を博す。2006年、映画『フラガール』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、10年『Mother』で第65回ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞ほか受賞歴多数。新作映画『古都』、全国にてロードショー中。共演に橋本愛、成海璃子、伊原剛志、奥田瑛二ほか。


ピックアップ

コンテンツ


ページの先頭へ戻る