Life Style
2018.03.15

「未知だった感情が私の中に生まれました」 水野 美紀さん(女優)

(撮影:前 康輔/ヘアメイク:大広まゆみ/スタイリスト:山下友子/インタビュー:宮本恵理子)

華やかさとともに剛毅なイメージもある女優の水野美紀さん。舞台にかける情熱も半端ではない。昨年、お子さんを出産、母にもなった。4月の舞台「ヘッダ・ガブラー」と格闘中の水野さんに7つの質問。

Q1 4月公演の舞台の見所、役は?

出演する『ヘッダ・ガブラー』の戯曲が書かれたのは1890年。封建的な社会の中で葛藤しながら衝撃的な決断をする女性を描いた本作は、初演当時は相当スキャンダラスだったそう。結婚の意味が現代よりずっと重く、女性の生き方の選択肢が少なかった時代の人の感情はきっと濃密だったのだろうと。演じがいがあります。時代も国も人種も異なる設定ですが共有できる点も多くて、栗山民也さんが演出する“人間の感情の普遍性”をぜひ楽しんでいただきたいです。私が演じるエルヴステード夫人は他人を疑わない単純な性格で、時に思い切った行動で寺島しのぶさん演じる主人公のヘッダを嫉妬させるような女性。人に対してオープンな点は、私に似ているかもしれません。

Q2 産後4カ月で舞台にスピード復帰したとか。

大好きな劇団「ナイロン100℃」の公演で、気鋭の演出家、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの作品でした。妊娠が分かる前に決まっていた仕事とはいえ、産後すぐの舞台稽古が務まるのか。不安でしたが、どうしても挑戦したい気持ちが勝り、家族・友人いろんな方の手を借りて乗り切りました。皆でゼロから生の芝居を作り出す舞台の仕事は私にとって大事なライフワーク。やり遂げてよかったと心から思います。

Q3 母になったことで演技への影響は?

妊娠中からすべての子どもという存在が愛おしくなりました。未知だった感情が私の中に生まれていることは、芝居にもきっと影響していくのだろうと思います。仕事を頑張れば子どもがますます愛おしく、子どものために早く帰るから仕事に集中できる。相乗効果を実感します。時間のやりくりには苦労しますが。

Q4 出産は昨年7月。生活の変化は?

芸歴31年になりますが、産んですぐの育児はどんな仕事よりも大変でした! 今は離乳食が始まったばかりで、おかゆ作りに奮闘の日々。以前はお酒が大好きで、朝起きるのも出かける15分前という日常でしたが、今は断酒して食べ物にも気を使い、4時起き21時就寝という生活に。生き方が一変しました。

Q5 バッグの中の定番アイテムは?

ステンレス製のスプーン。氷のうで冷やして目元に当てると、目覚めスッキリ! むくみも取れるので朝の移動中の車内でせっせとスプーンを当てています。

Q6 家事は料理派? 掃除派?

どちらかというと料理派。ポトフやシチューなど体を温めるスープ系をよく作ります。洗い物は夫が担当。料理以外はなんでも手伝ってくれるので助かります。

Q7 今後チャレンジしたいことは?

妊娠中に覚えたミシンで子ども服を作ること。妊娠中の服も簡単な型ですが自作して着ていたんです。仕事面では、これからも舞台や物語の作り手でありたいですね。10年後には、演者の仕事と脚本や物語を“作る”仕事を、半々くらいの割合でやっているのが理想です。

みずの・みき
1974年三重県生まれ。代表作にドラマ『踊る大捜査線』シリーズ、映画『恋の罪』など。2007年より演劇ユニット・プロペラ犬を主宰。16年に唐橋充氏と結婚し、17年7月に第1子を出産。4月7日より、Bunkamuraシアターコクーンにて上演のシス・カンパニー公演「ヘッダ・ガブラー」に出演する。

インタビュー後記

ふんわりと乳白色の空気をまとって登場した水野さん。まさにこれが母性のオーラなのかと思うほど、柔らかな雰囲気がカメラを見つめる表情にも溢れていた。一方で、舞台にかける思いは揺るぎない。柔らかさと強さが同居する無二の魅力を感じた。

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