深遠なるヨーロッパの旅
中欧・東欧の国々に誘われて
[2012.5.10]
多様な文化に彩られているヨーロッパ。その奥深い魅力に触れる中欧・東欧の旅は、
宝箱をのぞくような感動がある。いざ、美しい国々を目指そう。
(構成:井上にりん〈編集部〉)
まだ見ぬヨーロッパがある
ハンガリーやチェコ、ブルガリアなど個性豊かな国々が、独自の文化を織りなす中欧・東欧エリア。そこにはヨーロッパの多様性を体感する旅の醍醐味がある。
旅のゲートウェイはオーストリアのウィーン。ここを起点に魅惑の国々へと空路を結ぶオーストリア航空の広報、伊東綾子さんは、このエリアを愛するひとりとして街歩きの魅力を語ってくれた。
「チェコの首都、プラハは中世の面影を残した絵画のように美しい街です。悠々としたヴルタヴァ川に15世紀完成のカレル橋が架かり、丘の上にはプラハ城が。特に晴天の日の夕暮れが素晴らしく、空や川、街全体がピンク色に染まります。地元の人々もこの時間を楽しんでいて、橋のたもとの石段を下りた川沿いのレストランなどで夕暮れの時をすごすのです」(伊東さん)
ハンガリーのブダペストでは、街で巡り合う雑貨や建築物に歴史の物語が見え隠れする。「素朴な陶磁器やアンティークリネンの刺繍、建築物の意匠などをよく見てみてください。『ハンガリー・アール・ヌーボー』とよばれる独特な模様が多用されています。これはハンガリー人が祖とするアジアの遊牧民、マジャル民族の文化をヒントに生まれたもの。この地に立つと、ヨーロッパ大陸がアジアにつながっていることを感じられます」
このほか、堅牢な城壁が今も残るクロアチアの海洋都市ドゥブロヴニクや、ブルガリアの高原都市ソフィアなど多様な地形と街並み、食文化なども印象的だ。
これらの古都は、ウィーンから飛行機で50分から1時間35分と気軽な距離でもある。それぞれの個性はもちろん、ウィーンを皮切りにハプスブルク帝国の歴史をたどる旅も見どころが多い。じっくり歩き、文化的な厚みのある旅をしたい人に最高の場所だ。ヨーロッパの一層深い表情がとらえられる。
1,2,6,8 (c)Susumu Yasui
3(c)CzechTourism.com
4(c)www.slovenia.info/J.Skok
5(c)ルーマニア観光局
7(c)Croatian National Tourist Board/Mario Romulic
1 ウィーン (オーストリア)
帝都の面影と文化を凝縮
日本から直行便が飛ぶ、旅の起点。「ウィーンはハプスブルク帝国時代の宮廷文化や音楽、美術、豊かな緑と、あらゆる魅力が凝縮されています。首都でありながら300以上のワイン生産者がいるのも特徴のひとつ。ホイリゲというワイン居酒屋(写真)で新酒が飲めます」。ぶどう畑が広がる郊外など、ゆったりとした風情もいい。
(成田からウィーンへ直行便で約11時間45分)
2 ブダペスト (ハンガリー)
アジアをルーツに持つロマンの地
国土の南北をドナウ川が流れ、西部には山岳地帯、南部には大平原が広がり、風景は変化に富む。大平原では騎馬ショーなども。写真は首都ブダペストを始め、街で見かける「ハンガリー・アール・ヌーボー」で彩られた建築。「食文化では伝統的なグヤーシュ(写真)という牛肉などを煮込んだパプリカのスープが味わい深い」
(ウィーンからブダペストへ飛行機で約50分)
3 プラハ (チェコ)
中世の街並みとビール王国
日本の約1/5の面積に、世界遺産に登録された歴史地区が点在するチェコ。写真は首都のプラハ歴史地区。「プラハはかっこいい街。中世を舞台にした映画に出てくるような小道にも出合えます」。また実はひとりあたりのビールの消費量が19年連続世界一の国でもある。「地元のビールと肉料理をビアホールでぜひ楽しんで」
(ウィーンからプラハへは飛行機で約50分)
4 リュブリャナ (スロヴェニア)
自然と暮らしが生む景勝美
15〜20世紀初頭のハプスブルク家による支配など外部からの制圧の歴史を経て、’91年に独立。日本の四国ほどの面積の小さな国は、「ユリアン・アルプス(=アルプスの日の当たる側にある国)」と呼ばれ、山岳や6000以上の鍾乳洞による景勝美にあふれている。写真は城を中心に抱くリュブリャナの街並み。
(ウィーンからリュブリャナへ飛行機で約50分)
5 ブカレスト (ルーマニア)
優雅な建造物と温かな国民性
国土は日本の本州ほどの大きさ。首都ブカレストはかつて「東欧の小パリ」と呼ばれた時代も。市内では、アテネ音楽堂(写真)や国立歴史博物館など優雅なたたずまいの施設が見応えがある。またルーマニアは歴史的にラテン民族の血筋をひく国で、陽気で温かい国民性も、旅人のファンを増やしている。
(ウィーンからブカレストへ飛行機で約1時間35分)
6 ザグレブ (クロアチア)
首都も港町も歴史の宝庫
近年人気の旅先として注目が集まる国。クロアチアの首都ザグレブは中世の大聖堂をシンボルに、ゴシック様式やバロック様式の街並みが続く。北西部のイストラ半島ではローマ時代の遺跡なども残る。港町ロヴィニ(写真)は風光明媚。「8世紀頃から漁師が住み始めた『海の民の土地』。新鮮な魚介類がイタリアの影響を受けたシンプルな料理でいただけます」
(ウィーンからザグレブへ飛行機で約50分)
7 ドゥブロヴニク (クロアチア)
陽光きらめく観光地
アドリア海沿岸は美しい海洋都市が点在している。なかでも最南端の町、ドゥブロヴニク(写真)は「アドリア海の真珠」と呼ばれるほど。「古い路地や大理石を敷き詰めた道が美しく、ヴェネチアが好きな人にもおすすめしたい。喧噪を取りのぞき、素朴さを残したような場所です」
(ウィーンからドゥブロヴニクへ飛行機で約1時間20分)
8 ソフィア (ブルガリア)
ヨーグルトの国の素顔
ブルガリアの国土は起伏に富む。首都ソフィアは、ヨーロッパ有数の高原都市だ。写真は大統領府前で行われる衛兵の交代の様子。街には素朴さも残っていて、東欧の文房具や古本、雑貨が売られるマーケットでの買い物も楽しい。「食事にはヨーグルトやチーズが欠かせず、サラダや冷製スープ(写真)にはフレッシュな酸味が絶妙に生かされています」
(ウィーンからソフィアへ飛行機で約1時間35分)



