(インタビュー)
工藤教和学長に
お話をうかがいました。

東京立正短期大学

工藤教和学長

城西の名刹 堀之内妙法寺を母体とする学校法人堀之内学園によって、昭和41年(1966)に東京立正女子短期大学として設立された東京立正短期大学は、現代コミュニケーション学科に、現代コミュニケーション専攻(心理コース・ビジネスコース・観光コース)と幼児教育専攻の2専攻制とし、コミュニケーション能力の高い人材育成に取り組んでいます。
2015年、同短期大学の学長に就任した工藤教和氏は、長年にわたる大学教員生活では産業史の研究に取り組み、産業遺産の権威としてその名を知られています。一見異分野とも思われる同短期大学学長に就任した経緯や短期大学が社会で果たす役割、将来に向かっての同短期大学の運営方針などについてお聞きしました。

―大学教員として、どのような分野の研究に取り組まれたのでしょうか。

 私の研究分野は経済史、産業史、鉱山史です。一国の経済や産業の「盛衰」がどのような経路でなぜ起きるのかを大きなテーマとして、主に英国の事例を取り上げて追究してきました。これからもこれを追い続けます。現在は衰退に直面した産業に対する政策のあり方について関心を持って研究に取り組んでいます。

―学長就任を引き受けた経緯と、東京立正短期大学の第一印象を教えてください。

集合写真その1

 40年以上にわたる私の大学教員生活では、そのうち約10年は大学の運営に直接携わりました。その時から、人口減少社会を迎える日本では量的な人口減少を一人ひとりの質的な力の向上によって補うことなしには社会の持続性は担保されないとして、高等教育の大切さを訴え続けてきました。就いていたすべての役職を退任し好きな研究生活を謳歌していたところ、偶然知人から本学の学長職の紹介を受けました。同じ高等教育でもこれまで経験してきたところと客観的に対極にある場で一人ひとりの力を高める仕事に復帰することも意義のある挑戦と考えるようになりお引き受けすることにしました。

集合写真その2

 本学の規模の小ささと学生への懇切丁寧な対応を感じました。私が長く在籍した大学では、基礎的な人間関係をできるだけドライなものとして置き、その中で教員や学生が興味と必要に応じて様々な人間関係を構築し「強い」個人として成長していくことを期待するのが原則でした。一方、本学ではあらゆるところで「面倒見の良さ」が原則です。それは場合によってはかつての日本の家族、親子関係を彷彿とさせるものでした。学長就任から2年余りが経って、当初は過保護とも思えた学生への対応も、たった2年間で基礎的な力を養うことを目標とする短期大学の教育手法の一つで、ドライさが必要とされる部分とのバランスさえ取ることができれば、本学の強みになり得ると思うようになりました。




―短期大学受難の時代です。その状況下での貴学の強みと短期大学の社会的役割は?

 法華経の精紳に基づく本学の教育理念「生命の尊重、慈悲・平和」を教職員がそれぞれの立場で理解し、「学生一人ひとりに寄り添い、その可能性を見出す」ことで一致していることです。その結果、教職員と学生との密な雰囲気の中で教育が展開する小規模短期大学の利点が十分に発揮されていることです。施設・設備については他大学に見劣りしているところがあっても、このことは決して負けることのない強みと確信しています。
 高等教育機関の役割は、決められた解答がない問題に対峙する勇気と力を養うことにあります。4年制大学全盛の現代にあっても、身近な高等教育機関としての短期大学の役割は消滅していません。人々が疑問に直面し、「学ぼう」と思い立ったとき、短期大学は、すぐに近づくことができ、コストパフォーマンスに優れた存在です。これからの時代、人々は生涯に何度でも学びの機会を求めるようになるでしょう。どの段階でも学びの入口として短期大学はあり続けます。

―最後に学長としての“夢”をお聞かせください。

集合写真その3

 大都市東京には、日本のすべての地方がこれから直面する諸問題が凝縮して存在しており、その現れ方はそれぞれ異なります。同時に技術発展の最先端とグローバル化の風を肌で感じることもできます。地方の抱える問題を解くカギは地方ではなく、ここ東京にあるかもしれません。そのような都市に立地する身近な教育機関として、都市地域との相互交渉から得られた知見を全国に発信していく短期大学になりたいと思っています。

 また、人口知能(AI)の急速な進歩によって、ヒトとヒトを繋ぐコミュニケーション能力のみならずAIの成果とヒトとを繋ぐ、即ち解釈と利用のコミュニケーション能力がますます人間に求められるようになります。これら両方の能力を兼ね備えた新しい人材を養成する独自の戦略を立てていくつもりです。「組織は戦略に従う」とは経営史家アルフレッド・チャンドラー(アメリカ)の有名な命題ですが、地に足をつけながらも、従来の組織にとらわれることなく目的志向的に戦略を構想し、「オンリー・ワン」の短期大学を目指したいと思います。

お問い合わせ

  • 東京立正短期大学
  • 〒166-0013 東京都杉並区堀ノ内2-41-15
  • TEL.03-3313-5101(広報部)

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