志望校選びのアドバイス

2017年度私立大一般選抜入試志願状況

3月17日現在で、駿台予備学校が集計した私立大162大学の一般選抜入試(推薦・AO入試等の特別選抜入試を除く)の志願状況を中心に、その特徴を見ていくことにします。また、主要私立22大学の一般選抜入試の志願状況が確定しましたので、この状況にも触れます。

※なお、文中の( )内の数値は、志願者数の前年度同時期対比指数を示しています。

■延べ志願者数全体概況

図1 私立大延べ志願者数推移

図1  私立大延べ志願者数推移

○延べ志願者数は11年連続増加へ

図1のグラフは、2005年度から2017年度までの私立大一般選抜入試の延べ志願者数の推移を表したものです。162大学集計での一般選抜入試の延べ志願者数は、278.4万人(109)とはっきりと増加しています。最終的な延べ志願者数も2007年度からの増加が継続し、340万人前後になるものと予想され、11年連続増加となることは確定的といえそうです。

図2 私立大一般選抜志願者数 前年対比増減率推移(方式別6ヶ年比較)

図2  私立大一般選抜志願者数 前年対比増減率推移(方式別6ヶ年比較)

○一般方式、センター利用方式ともに増加

入試方式別での志願者数の増加率を見ると、一般方式、センター利用方式のいずれも過去5年間と比べると、最も高い増加率となっています。特にセンター利用方式の増加率は、過去5年間で最も高かった2014年度と比べてもさらに1.9ポイント高くなっています。これは次の「延べ志願者数増加の要因」でも触れますが、併願時の受験料割引制度の拡大で、センター試験の成績のみで合否が決まる選考方式が多いセンター利用方式への出願を増やした受験生が多かったことが影響しているものと考えられます。

○延べ志願者数は11年連続増加へ

2017年度入試では、国公立大一般選抜入試の確定志願者数(100)は、微減ですが6年連続減少となりました。これに対して、私立大一般選抜入試の延べ志願者数(108)が大幅に増加している要因としては、以下の5点が挙げられます。

①受験人口の増加

2017年度は18歳人口増加の年度にあたるため、センター試験では現役生の志願者数が約9,500人増加しました。さらに前年度の私立大入試では入学定員管理厳格化のため、合格者数絞り込みが行われたことで再チャレンジする既卒生も増加しました。このように受験人口が増加したことが私立大の延べ志願者数増加につながりました。

②学部新設・改組、入試方式のさらなる複線化・多様化

2017年度は国際医療福祉大・医、津田塾大・総合政策、東京農業大・生命科学、東洋大・情報連携、南山大・国際教養、京都産業大・現代社会などが新設されました。また、既存学部から改組されて新学部として設置された例としては、芝浦工業大・建築、東洋大・国際、国際観光などがあります。これらにより入学定員が増加したことや、出願時の選択肢も増えたことが増加につながっています。さらに英語外部試験を用いた入試方式が拡大するなど、入試方式の複線化や多様化がさらに進んだことも要因といえます。

③併願時の受験料割引やインターネット出願の拡大

複数の学部・学科や受験方式を併願する場合の受験料を割り引く制度が拡大していることも、志願者数増加の大きな要因です。また、インターネット出願を導入する大学も多くなっていることで、出願手続がかつてより手軽にできるようになっていることも影響しています。

④文系人気の継続

文系の人気は2017年度も継続しています。大規模な私立総合大学では、募集人員全体に占める文系の系統の割合が高いため、文系の人気が高まると志願者数全体の増加につながるのは必然といえます。

⑤合格者数絞り込みへの不安

私立大は2016年度入試では、入学定員の厳格化により、合格者数を絞り込んだ大学が目立ちました。2017年度ではその基準がさらに厳しくなることから、合格者数絞り込みがさらに厳しくなることを警戒して、出願校数を増やすという影響も考えられます。

■系統別志願状況

系統別志願状況

○文系は全ての系統が増加、特に国際関係、社会、経済・経営・商が大幅増加

系統別では、前年度以上の「文高理低」となっているのが特徴といえます。先に触れたように、大規模な私立総合大学は、募集人員全体に占める文系の系統の割合が高いため、文系の人気が高いとはっきりと増加することになります。

文系の系統は全て増加していますが、特に国際関係(120)、社会(114)、経済・経営・商(113)の大幅増加が目立っています。国際関係は、南山大・国際教養などの新設に加え、既存の大学も大幅増加が目立っており、グローバル化時代で高い人気が継続しています。社会は、京都産業大・現代社会の新設、改組による東洋大・国際観光の設置が影響しています。

一方で、法(105)、外国語(103)の増加率はいずれも私立大全体の増加率(108)よりも低く、文系の中でも人気に差が生じているのがわかります。外国語は、保護者世代には将来の進路が限定的であると受け取られがちであることに加えて、近年は国際関係のみならず他系統でも語学のカリキュラムを充実させていることもあって、グローバル化時代にもかかわらず、国際関係ほど受験生の注目度が上がっていないといえます。

理系では、農・水産(112)が大幅に増加しています。これは東京農業大、近畿大の大幅増加が大きく影響しています。理系で募集人員の多い工(104)、理(102)はいずれ増加していますが、私立大全体の増加率より低くなっています。また、専攻別では、情報工(113)、建築・土木・環境工(112)はICT、IoT、インフラの再整備といったキーワードに沿った系統であることから人気がアップしておりいずれも大幅増加しています。一方で、化学(93)、応用化学(97)といった化学系は、受験生が注目する話題が少ないこともあって近年系統への人気が低迷しており、いずれも減少しています。

メディカル系では、医(103)がやや増加していますが、新設の国際医療福祉大を除くと(96)のやや減少です。これは前年度1,500人近い志願者数だった藤田保健衛生大<セ・後期>の廃止が影響しています。歯(97)、薬(99)は減少が継続しています。

■主要私立22大学入試志願状況(確定値)

主要私立22大学入試志願状況(確定値)

主要私立22大学の一般選抜入試の延べ志願者数をみると、前年度より121,775人(109)増加しました。入試方式別では、一般方式(109)、センター利用方式(107)といずれの方式も増加しています。

22大学のうち、減少したのは中央大(98)のみでした。志願者数が10万人以上の大学は、前年度は近畿大、明治大、早稲田大、日本大、法政大の5大学でしたが、2017年度は東洋大も加わり、6大学が10万人以上となりました。なお、東洋大の志願者数が10万人を突破したのは初めてです。大学グループ別でも5つのグループ全てが増加し、特に産近甲龍(117)、日東駒専(113)の大幅増加が目立ちました。

大学別に詳しく見ていくことにします。慶應義塾大(100)は、文系学部は経済(98)を除き増加が継続しましたが、理工(99)、医(93)、薬(91)は3年連続減少、看護医療(93)は3年ぶりに減少しました。

早稲田大(106)は、13学部のうち法(98)、国際教養(99)、先進理工(99)の3学部が減少しましたが、いずれも微減でした。

東洋大(119)は、先に触れたように初めて10万人を突破しました。学部新設・改組や、新規実施の入試方式や試験日を1日増やした募集区分が多かったことが大きく影響しました。なお、新設の情報連携を除いても(116)の大幅増加でした。学部別では、法(142)、社会(132)など、既存の社会科学系の学部で大幅増加が目立ち、さらに国際地域1学部から改組された国際、国際観光の2学部も系統への人気から、前年度の国際地域と比較すると、2学部合計では増加率が4割以上の大幅増加だったことも大きく影響しました。

前年度初めて10万人を上回った法政大(117)も大幅増加し、近畿大に次ぐ多さでした。学部別では、前年度いずれも激増したグローバル教養(89)、現代福祉(90)の2学部は減少しましたが、他の文系学部では大幅増加が目立ち、さらに理系4学部も増加するなど文理に関係なく増加しました。

近畿大(123)は2万6千人以上の大幅増加で、志願者数は14万人を突破しました。これで5年連続増加となり、大学全体の志願者数も4年連続で全国最多となりました。学部別では、前年度同時期対比で医(92)を除き増加しており、特に経済(151)、国際(139)、総合社会(134)など、文系学部が法(108)以外はいずれも増加率が2割以上の大幅増加だったことが大きな要因です。

今まで述べたように都市部の私立大入試は前年度と比較して厳しさを増していることは間違いないようです。しかし、これにおびえて志望校をランクダウンするのは得策ではありません。むしろ、学力が伸びなくなり、安全校と思った大学への合格も難しくなってしまいます。特に、いよいよ入試を迎えることになる高3生のみなさんは、気持ちも新たにやる気に満ちていることでしょう。今の気持ちを忘れずに、第1志望大学をしっかりと見据えて、日々の勉強に励んでください。みなさんが最後まであきらめず、努力を続けていくことを期待しています。

情報提供

志望校選びのアドバイス一覧