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志望校選びのアドバイス

2012年度入試動向速報

前期(1学期)の模試動向を交えて、2012年度入試の動向やトピックスを見ていくことにしましょう。なお、各大学は、2012年度の入試日程や入試科目等を「入学選抜要項」として7月中に公表することになっています。最近は、これを印刷物として発行する他にホームページに掲載する大学が多くなっています。高3・高卒生のみなさんは、すでに志望大学をはっきりと意識して学習を進めていることと思いますが、もしまだ志望校がはっきりしないという方は、早急にしっかりとした志望校を定めることが必要です。そこで、ぜひ志望大学のホームページでこの「入学選抜要項」をチェックしておきましょう。特に、2012年度入試ではセンター試験の実施方法の変更に伴い、理科、地歴・公民で、2科目受験者について「第1解答科目(前半60分間で解答した科目)」「第2解答科目(後半60分間で解答した科目)」といった新しい用語も使われるようになりました。また、例年ならば「入学選抜要項」発表後の変更はほとんどないのですが、今年度はこれ以降の修正についてはホームページ上や11月発行予定の一般選抜募集要項で発表するといった注意点を掲載している大学もあり、例年以上に最新情報に気を配っていく必要があります。

なお、入試科目や入試日程、募集人員の変更などは本番入試では志願者数の増減に影響を及ぼす要因となりますが、前期の模試では、まだこういった変更情報が受験生に広く知れ渡っていないことで、なかなか模試動向には表れてきません。つまり、まだまだ本番入試がどうなるかを予想するのは難しいのですが、まずは大きな動向の流れをつかむといった姿勢で、参考にして欲しいと思います。

学部系統別志望動向

図1は、第1回駿台全国模試(5月29日実施)における、文系の学部系統別志望者数の前年度対比の指数です。なお、国公立大は第1志望、私立大は総志望で集計した数値です。これによると、国公立大では、法(93 ※以下カッコ内の数字は前年度対比の志望者指数)、経済・経営・商(98)といった多くの募集人員をもつ文系の中心的な学部系統での減少が目立ちます。これに対して、人文科学(109)、社会(104)といったあまり景気や流行に左右されにくい学部系統での増加がみられます。外国語(79)の大幅減少と国際関係(174)の大幅増加は、東京外国語大が2012年度入試より外国語学部を改組して言語文化学部、国際社会学部の2学部体制になりますが、志望者数の集計上では前者が外国語系、後者が国際関係系に分類されるため、増減が分かれたわけです。外国語と国際関係をあわせて考えるとグローバリズムの拡大といった世相を反映して、人気は高くなっています。また、資格取得や就職に直結する生活科学(117)、教員養成・教育(112)が増加しており、厳しい経済状況や就職状況を反映した動向となっています。

私立大では、外国語(105)、国際関係(109)、芸術(137)を除いた各系統で減少しており、文系全体でも指数95と減少しており、国公立大以上に人気の低下が顕著です。特に、国公立大では増加がみられた人文科学(99)、社会(96)でも減少しており、これらの系統での国公立大志向の高まりが感じられます。

図2は、同じく理系の学部系統別志望者数の前年度対比の指数です。国公立大では、歯(98)を除く各系統で増加しています。成績上位層の基礎研究志向を反映して理(116)が最も大きな増加を示しています。また、薬(111)、医(109)、保健衛生(106)などメディカル系の系統も高い人気がみられます。教員養成・教育(108)の増加も大きく、文系同様に地元での就職が可能な教員志向の高まりがみられます。なお、歯(98)は、2011年度入試で医師確保対策から募集人員の一部を医に振り替えて、募集人員の縮少が行われた大学がありますので、志望者指数はダウンしていますが、本当に競争が緩和されているかどうかには、注意を払う必要があります。

私立大でも、教員養成・教育(97)、歯(94)を除く各系統で増加しています。国公立大と大きな傾向の違いはありませんが、保健衛生(112)、工(107)、農・水産(113)では、国公立大を上回る指数を示しており、厳しい就職状況から私立大においても理系の系統へ進学して、何らかの技術を身につけることで、就職につなげようとしている受験生の考え方がうかがえます。

入試変更点について

2012年度入試では、センター試験の実施方法について、理科、地歴・公民の受験方法や受験教科および理科、地歴・公民の受験科目数の事前登録制、公民における「倫理、政治・経済」の出題などの大きな変更が予定されています。これ以外にも、志望動向に大きな変化を与える多くの変更が予定されています。ここ数年は、比較的落ち着いた入試が続いてきましたが、一転して激動の入試となっています。

まず難関国立大では、東京工業大(第2類〜第6類)、大阪大(工)、神戸大(経営)、九州大(医(生命科学))の後期募集の廃止です。これにより、後期では横浜国立大(理工)、大阪大(基礎工)、大阪市立大(商)などがそれぞれ上位大学前期からの併願先として積極的に狙われており、志望者数の増加、成績レベルのアップがみられており、厳しい入試が予想されます。

また、東京工業大は前期募集において、第1段階選抜を廃止して志願者全員に個別試験の受験を認めることになりました。そして、基本的には個別試験の成績のみで合格者を選考する方式に変更され、センター試験の成績は、外国語の英語受験者の場合には950点満点中600点(得点率63.2%)という基準点をクリアすることが条件で、たとえこれがクリアできていなくても個別試験の成績が特に優秀な受験生については合格させるとしています。これにより、センター失敗組の志望変更による流入が多くなるものと思われます。加えて、個別試験の数学の配点と試験時間が250点→300点、150分→180分と増加し、数学や理科に自信を持つ早慶大を中心とする難関私立大志望者が新たに志望してくることも考えられ、かつてない激戦が予想されます。しかし、後期の第2類〜第6類の廃止や第7類の縮小により前期募集人員が増加しているので、弱気になることなく果敢にチャレンジしてもらいたいと思います。

一方で、大阪大(工)は後期募集廃止に伴い、前期募集人員が654人→820人と25.4%増加しますが、第1回駿台全国模試の動向では志望者指数112と募集人員の増加率に追いつかず、競争は緩和しており、強気な志望が望まれます。また、神戸大(経営)は、前期募集人員が210人→220人と4.8%増加しますが、模試動向では志望者指数88と減少し、大きく競争緩和の傾向が見られます。このように、後期募集廃止大学では、前期募集人員を増加させる場合が多く、これを念頭に模試動向を見てください。

次に、学部の改組です。東京外国語大は外国語学部1学部から言語文化学部と国際社会学部の2学部に改組します。特に、国際社会学部は人気の高まっている国際関係系だけに動向が注目されます。現時点では、まだ周知が進まず志望者数は多くありませんが、秋以降の模試動向には注意が必要です。また、言語文化学部は、前期のみの募集なので、純粋に外国語習得や言語研究を志向している受験生には、募集人員の減員とともに選択肢が少なくなっていることに要注意です。

関西地区では、大阪府立大が7学部から4学域に改組されます。この改組もまだ周知が進まず、旧経済、旧人間社会から改組された現代システムなどは、学域名から具体的な内容がわかりにくいこともあって、模試動向では前年度の3分の2程度の志望者数に留まっています。しかし、秋以降に周知が進むと志望者が増加することも考えられ、現在の状況から安易に易化すると安心はできません。

この他にも、千葉大(工※デザイン除く)(医)の個別試験で理科1科目選択→理科2科目選択に変更、岐阜大(医(医))後期や広島大(医(医))前期で2段階選抜を新規実施など、今後の動向に影響を与える変更には、注意してください。

また、私立大では、慶應義塾大(法、薬)でセンター利用方式が廃止となります。一方で、(法)ではAO入試である「FIT入試」に従来型のA方式に加えて、地域ブロック制のB方式を導入し、地方在住受験生獲得への新たな動きがみられます。学科新設では、青山学院大(文)に比較芸術学科が設置されます。学部・学科改組では、立命館大(文)が10専攻4プログラムから8学域18専攻に、(理工)でも学科改組、名称の変更が行われます。入試方式では、数多くの大学でセンター利用方式の拡大がみられるほか、中央大(文)が統一入試に参加し、いわゆる全学部入試の拡大もみられます。

以上が、前期の模試動向と入試変更点の概略ですが、各種の変更点が受験生に周知されるにつれて、徐々に模試動向にも変化が起きてくるものと思われます。特に今年度は、センター試験の実施方法に伴って、理科、地歴・公民1科目指定の大学で、2科目受験の場合にどの科目を採用するか、まだまだ流動的です。特に、当初は高得点採用としていた大学が、「第1解答科目」に変更するという動きがおきており、国公立大だけでなく私立大のセンター利用方式でも変更が予想されます。

これ以外にも、各大学で様々な変更(入試日程・科目の変更や新方式の導入など)が発表される可能性もありますので、これからも入試情報や模試動向に注意してほしいと思います。また、各地で電力不足がいわれる中、節電等で例年以上に暑さによって体力を消耗しやすくなっていますが、体調には充分に注意してうまく夏期の学習を乗り切ってください。

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