志望校選びのアドバイス

2020年度入試後期模試動向

12月になり、受験生のみなさんは入試に向けて、志望校の絞り込みと、学習のペースをアップさせている方が多いのではないでしょうか。今回は11月に実施した第3回駿台・ベネッセマーク模試による系統別志望動向を見ていくことにします。

この動向はあくまでも11月の模試結果をもとにした分析のため、入試本番までに動向が変化することも考えられます。特に、2020年度入試では、翌2021年度入試の実施形態が不透明な部分がまだ多いこともあって、例年以上に変動要素が多いといえます。

こういった点については、あらかじめご理解いただいて、国公立大や私立大センター利用方式のセンター試験後に出願締切の募集単位への最終出願の際にはデータネット(駿台予備学校・ベネッセコーポレーションが共同で実施するセンター試験自己採点集計)の分析結果をぜひ参考にしてください。

国公立大全体の各日程内の第1志望者数合計の前年度対比指数は94、私立大全体の総志望者数の前年度対比指数も96といずれもやや減少しています。受験人口の減少もありますが、AO・推薦入試といった特別選抜の利用を考えた受験生が多く、一般入試まで残る受験生が少ないことや2019年度入試での既卒受験生(浪人生)の発生が少なかったことも影響しています。

学習進度の違いで理科や地歴・公民に強みを持つ既卒受験生が少ないことは、現役生にとっては例年以上に終盤の追い込みが効くわけで、最後まであきらめない姿勢が大事です。

なお、以下の分析では志望者指数を( )内に表記します。

国公立大

文系は全体では指数94でやや減少しており、中でも外国語(88)、国際関係(91)、法(92)の減少が目立っています。専攻別に詳しくみると、人文科学(95)では英米文学(78)の大幅減少が目立っています。経済・経営・商(94)では、経営情報学系(105)でやや増加する一方、経営・商学系(88)の減少が目立っています。

メディカル系は全体では指数93で減少で、歯(103)を除いて減少しています。歯は2019年度入試でも志願者がやや増加していましたが、人気が継続しています。医(89)は減少が続いており人気低下がうかがえます。保健衛生(96)はやや減少で、専攻別でも放射線技術(112)の増加を除いて減少しています。薬(89)は、1割以上の減少となっています。

理系は全体では指数93で、やはり減少傾向にあり、特に農・水産(92)の減少が続いており、専攻別でもすべての系統で減少しています。工(96)はやや減少ですが、専攻別では応用物理(109)、原子力・エネルギー工(107)、電気・電子・通信工(106)が増加する一方、航空・宇宙工(70)、商船学(76)、鉱物・資源工(84)が大幅減少しています。理(97)もやや減少ですが、専攻別でも増加している系統はありません。

文理共通の系統では、駿台での分類ではデータサイエンスが系が含まれる総合科学(102)は微増で、専攻別では、データサイエンス系の中心である総合情報学(115)が大幅増加でこの系統への強い関心がうかがわれます。

私立大

文系は指数95と減少しており、すべての系統で減少しています。人文科学(95)は、専攻別では地理学(82)、英米文学(83)、ドイツ文学(85)が大幅減少する一方、中国文学(120)が大幅増加しており、文化学(104)も増加傾向にあります。法(93)は、専攻別では政治学(90)の減少が続いています。経済・経営・商(97)は、専攻別ではデータサイエンス系に近い経営情報学(114)の増加が目立っています。

メディカル系では、薬(90)、医(94)の減少が続いています。医は、医学科の入学定員増により近年の既卒受験生が減少しており、競争がさらに緩和しそうです。歯(91)は、前年度の微増から減少に転じました。保健衛生(101)は前年度並ですが、専攻別では放射線技術(126)の大幅増加が目立ちます。

理系は指数98でほぼ前年度並で、理(100)、工(99)が前年度並ですが、専攻別では理の情報科学(105)、工の情報工学(107)が増加しており、文系の経営情報学と合わせて、情報系への関心の高さがうかがわれます。その他の専攻では、航空・宇宙工学(109)、電気・電子・通信工学(108)、物理学(106)が増加しています。農・水産(96)は減少しており、専攻別でも農業経済学・農業経営学(111)を除いて、すべての系統で減少しています。

2020年度入試に向けての心構え

上記で述べたように、系統別では国公立大、私立大ともにほぼ同じ志望動向で、文系人気は完全に落ち着き、文理共に情報系への志向が強くなっていることが分かります。また、メディカル系の人気低下は顕著でその間口は確実に広くなっています。

冒頭で述べたように、私立大はAO・推薦入試で早めに進学先を決めてしまった受験生が多いようですが、2018年度入試で特に合格者の絞り込みが大きかった私立大では、2020年度入試では合格者を増やすと公言している大学もあり、一般入試では間口の拡大も考えられることから、最後まで第一志望をあきらめず、粘り強く最後まで気を引き締めて取り組むことでいい結果が生まれると思います。

ところで、国公立大、私立大志望者を問わず、多くの受験生にとってはセンター試験が2020年度入試の第1関門だと思います。そのセンター試験の実施日は、2020年度は1月18日、19日ですが、センター試験が終わってから私立大入試スタートまでの期間は10日程度ですので、試験後の気持ちの切り替えが重要になってきます。受験生のみなさんは、理科や地歴公民など選択科目の追い込み期間もしっかりと確保して、今年だけはクリスマスも大晦日もお正月も無いと思って、学習計画を立ててください。

2020年度入試ではカリキュラムや入試制度の変更はありません。落ち着いて、過去問対策などもしっかりと行い、万全の態勢で入試に臨むことが可能です。また、2021年度の入試改革もどうやらマイナーチェンジで終わることになりそうなので、必要以上のプレッシャーを感じることもなくなりました。とにかく、自分の入試スケジュールで最後の日まで絶対にあきらめないことが重要です。12月になり、不安な気持ちに押しつぶされそうになることもあるかもしれません。それは受験生全員が同じように感じることなので、負けないでください。

急に寒くなり、風邪やインフルエンザも流行しています。ぜひ、体調管理に気をつけて、最後まで第一志望大学を目指してがんばってください。

《コラム:2021年度入試に向けて⑤》

─英語成績提供システムの運用先送り─

2021年度入試に向けて入試改革のポイント、今月は、「英語成績提供システムの運用先送り」です。

2019年11月1日に文部科学省は、英語認定試験として認められた民間の英語4技能資格・検定試験の成績を一括して大学に提供する「大学入試英語成績提供システム」の2021年度入試からの運用を見送り、延期すると発表しました。理由は、現時点において、経済的な状況や居住している地域に関わらず、等しく安心して試験を受けられるような配慮など、自信をもって受験生に薦められるシステムになっていないという理由です。

今後は、現在の中1生が大学入試を迎える2025年度入試からの英語4技能を測る試験の導入を目指して、2021年3月までにその方法等について結論を出すことになっています。

今回の「大学入試英語成績提供システム」の運用見送りに伴い、各大学は2021年度入試での英語4技能資格・検定試験の利用について、再検討した結果を全大学が12月13日を目途として、ホームページ等で発表することになっていますので、高2生の皆さんは必ず確認するようにしてください。

なお、共通テストの英語(リーディング)については、当初の予定通り、発音・アクセント問題、文法問題、語句整序問題などは出題されず、大問6題はすべて読解問題となります。また、英語(リーディング)と英語(リスニング)の配点も各100点で変更は行わないことが発表されています。ただし、各大学の合否判定においては大学独自の傾斜配点を行うことがありますので、2020年7月に発表となる選抜要項で確認してください。

さて、今回の変更について、高2生から中2生の皆さんはどう対処するのがいいのでしょうか?10月までに発表されていたような共通テストと英語4技能資格・検定試験を一括して利用する国公立大は、少なくなると思われます。

しかし、私立大の英語4技能資格・検定試験利用入試や国公立大でも総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)での英語4技能資格・検定試験の利用はさらに拡大していくものと思われます。さらに、大学入試に留まることなく、社会のグローバル化が進展する中では、大学入学後や社会人となった後も、英語4技能について高レベルの力を求められることは間違いありません。

今回の「先送り」に安心することなく、21世紀中盤の時代に活躍する高校生、中学生の皆さんは、英語4技能をバランスよく強化していくことが大事だと肝に銘じてください。

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