志望校選びのアドバイス

2020年度入試 国公立大志願状況(速報)

2020年度入試も国公立大の前期試験が終わり、3月10日までには各大学から合格発表が行われます。私立大入試もあとは3月入試や後期入試を残すだけになり、いよいよ終盤戦です。4月から受験学年となる高2生は、第1志望校合格のために、学習時間をどれだけ多く取れるかが重要になります。これまでよりもいろいろと我慢が必要なことも多くなることを覚悟しましょう。

さて、今回は国公立大の2020年度入試志願状況についての分析を速報としてお知らせします。以下の文章での( )内の数値は前年度の志願者数を100とする指数を表しています。この数値が大きいほど増加率が大きく、競争が厳しくなったことを示し、反対に小さいほど減少率が大きく、競争が緩和したことを示します。なお、私立大の志願状況については、多くの志願状況がまとまる4月号以降でお知らせします。

■志願状況全体概況 ~一般選抜志願者数は再度減少へ~

文部科学省が2月20日に発表した2020年度国公立大一般選抜の確定志願状況によると、確定志願者数は439,565人で、前年度と比べて30,271人(94)の減少でした。前年度は2011年度以来8年ぶりに増加しましたが、1年で再度減少に転じました。募集人員も国公立大全体で280人減少しましたが、志願倍率は4.68倍→4.39倍へ0.29ポイントダウンしました。

上のグラフは、2011年度から2020年度までの10年間の志願者数と志願倍率の推移を表したものです。センター試験の志願者数は、19,131人(97)の減少でしたが、国公立大全体の志願者数の減少率はそれよりも大きくなりました。これは、センター試験の900点満点の予想平均点が文理いずれも20点前後もダウンしたことで、国公立大への出願を断念した受験生が多かったことが要因といえます。

■設置・日程別志願状況

国立大は、前期は11,753人(94)、後期は11,208人(92)といずれも減少しました。この結果、国立大全体では22,961人(93)の減少で、9年連続減少となりました。

公立大は、中期が261人(99)の微減でしたが、前期は3,730人(94)、後期も3,319人(92)といずれもはっきりと減少しました。公立大全体では7,310人(95)のやや減少で、5年ぶりの減少となりました。センター試験の900点満点の予想平均点ダウンは、公立大志望者にも影響したことがわかります。なお、千歳科学技術大が2019年4月から公立大へ移管しましたが、その志願者数は前期が209人、中期は575人の計784人に留まりました。

■志願者数が多い国公立大

上の表は、大学全体の志願者数が、文部科学省発表の最終確定値で7,000人以上だった国公立大をまとめたものです。志願者数が7,000人以上だった大学は11大学で、前年度より4大学少なくなり、11大学全てが減少しました。11大学のうち、第4位の東京大、第9位の大阪大はいずれも前期のみの募集です。第7位の京都大の後期は、特色入試として実施の法学部のみの募集です。また、第5位の大阪府立大は中期でも募集している大学です。

2020年度入試での志願者数が最も多かったのは、5年連続で千葉大でした。志願者数は国公立大で唯一1万人を上回り、2010年度から11年連続で志願者数が1万人を上回りました。

第2位の北海道大は、3年ぶりに志願者数が減少しました。前期、後期とも募集人員の多い学部、方式の減少数が大きかったことが影響しましたが、それでも2年連続で全国第2位の志願者数となりました。

第3位の神戸大は、3年連続減少で、減少率はこの3年で最も大きくなりました。難関大の中では全体的にセンター試験の比重が大きめであり、さらに個別試験が標準的な出題であることから、センター試験で思ったような得点をとれなかった層が敬遠したことが要因です。

第5位に大阪府立大、第6位に東京都立大という大都市圏の公立大が入っています。いずれも募集人員は1,200人にも満たない大学ですが、一部の学部で大阪府立大では中期での募集を、東京都立大ではセンター試験3教科型の募集を行っています。こういった、他の国公立大や私立大との併願者を多く獲得できる入試方式を実施している効果もあり、受験生数が多い大都市圏に立地する利点と難易度が最難関大に次ぐ位置ということも有利に働き、志願者数が多くなっています。

大都市圏以外の大学では、第10位の富山大は2015年3月の北陸新幹線の金沢への延伸により、首都圏からの所要時間が大きく短縮されたことにより志願者数が増加しましたが、1割以上減少したことで4年ぶりに8,000人を下回りました。

以上、2020年度入試の国公立大の志願状況をまとめました。大学別の詳細な分析や2021年度入試変更点などは駿台予備学校のホームページに掲載・更新していますので、ぜひ参照してください。なお、2021年度入試情報は、現在公表されている情報が確定事項というわけではありません。最終的な確定情報が出揃うのは、各大学の選抜要項が公表される7月以降になると思われますが、随時発表される情報もあるので、皆さんも大学入試センターや志望校のHPなどで定期的にチェックしてみてください。

さて、高1・2生の皆さんは新学年進級までわずかになりました。新学年になる前に、これまでの学習状況をしっかりと確認してみましょう。各科目でやり残したことはないか、各分野の理解度はどうか、などを客観的にチェックしてみてください。大学合格のためには、ただ学習時間を多くすればいいというわけではありません。まず何をやるべきかを明確にしておくことが大事です。

志望大学や学部・学科がまだ具体的に決まっていない、という方もいるかもしれません。目標がはっきりすると、学習面でやるべきことも見えてきます。そのためには、まず志望大学・学部・学科をしっかりと定めることが第一歩となります。その際には、志望校を現在の学力で確実に合格できそうな大学にするのではなく、現在の学力より1ランク上の大学を目標にすると、モチベーションもあがるはずです。

《コラム:2021年度入試に向けて⑧》

─2021年度共通テストの実施内容(当初からの変更点)─

2021年度入試に向けて入試改革のポイント、今月は、「2021年度共通テストの実施内容(当初からの変更点)」です。

先月号のコラムでお知らせしたとおり、「英語4技能評価のための共通テストの枠組みでの民間英語4技能資格・検定試験の利用」と「共通テストにおける国語(現代文)と数学①(数学Ⅰ、数学Ⅰ・A)への記述式問題の導入」が見送りになりました。

この見送りに対応して、2021年度共通テストの実施内容について、1月29日に大学入試センターから当初との変更点が発表されましたので、お知らせします。

国語については、出題される大問数が当初予定の現代文3題(うち1題が記述式問題)、古文1題、漢文1題の計5題から現代文1題(記述式問題)の出題がなくなり、従来のセンター試験と同じマーク式問題4題となりました。これにともない、試験時間も100分からセンター試験と同じ80分に短縮され、配点もマーク式問題の200点のみとなりました。

形式的には従来のセンター試験に戻ったように見えますが、そうではありません。共通テストの現代文は論理的な文章、文学的な文章、実用的な文章の3分野から出題されることになっています。当初の予定では、文学的な文章をマーク式問題で、論理的な文章と実用的な文章から1題を記述式問題で、もう1題をマーク式問題で出題するとされていました。

ところが、現代文の大問数が1題減ったので、2分野の融合的な問題の出題が予想されるのです。おそらく、論理的な文章と実用的な文章の融合問題だと予想されますが、2分野を融合することで複雑な設問も可能ですので、注意する必要があります。

次に、数学①は当初の予定通り、試験時間は70分のままで、センター試験より10分長くなりました。記述式問題はなくなりましたが、問題文が長く、会話文を読んでその内容をもとに数学的な考察につなげる問題の出題が予想されます。この長い問題文を読解させるために試験時間を長くしたわけです。

最後に、共通テスト結果の大学への提供時期とそれに伴う国公立大の第1段階選抜の合格発表日、共通テストの成績を利用する総合型選抜(旧AO入試)および学校推薦型選抜(旧推薦入試)の合格発表日などは、記述式問題の採点期間確保のために、センター試験より1週間遅らせる予定でしたが、この後ろ倒しはなくなり、センター試験と同じ日程に戻りました。

私立大の共通テスト利用方式の合格発表日についても大きな変化もなくなり、概ね2020年度入試の試験日程がそのまま踏襲される予定です。試験日程の変化によって、併願パターンまで大きく変わってしまう恐れがなくなったことは、受験生には安堵できることだと思います。

最後に、英語のリーディングとリスニングについては出題上の配点は各100点と均等配点に変わりましたが、各大学の合格判定に使う配点は傾斜配点を採用して、独自に設定できることになっています。今、まさに各大学からの発表が行われている最中ですが、来月号以降、まとまった段階でこのコラムでお知らせすることにします。

さて、大きな話題があります。2006年度入試でセンター試験に英語リスニングが導入されて以降、ずっと利用して来なかった東京大が、共通テスト元年となる2021年度入試からリスニングを利用することです。東京大は、2月12日にリーディング140点、リスニング60点という配点もすでに発表しています。

いずれにしても、今回の東京大のリスニング利用やその配点を見ても、英語4技能資格・検定試験の一括利用はなくなったものの、英語におけるオーラルコミュニケーション重視の方向性は間違いありません。センター試験よりも難化が予想されるリスニング対策には、気を引き締めて取り組んでください。

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