志望校選びのアドバイス

2020年度入試 主要私立22大学志願状況

いよいよ新年度ですね。今年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、3学期の途中から急に学校が休みになり、学習の区切りをうまくできなかった皆さんも多いと思います。新高3生は受験学年として、今までの学習状況や成績推移を振り返り、新しい計画をしっかりと立てて、これまで以上に学習のペースをあげていきましょう。さて、今回は2020年度の一般選抜(推薦・AO入試等の特別選抜を除く)における主要私立22大学の志願状況をまとめました。なお、文中の( )内の数値は、志願者数の前年度対比指数を示しています。

■主要私立22大学合計では2年連続減少

上の図表は、2020年度入試における主要私立22大学の志願状況をまとめたものです。

大学別では、日本大(113)、京都産業大(102)、立命館大(110)の3大学は増加しましたが、その他の19大学は減少しました。この結果、22大学合計(93)でも前年度の1,606,316人から1,498,737人(-107,579人)となり、2年連続減少となりました。これは受験人口の減少に加えて、当初予定されていた2021年度入試改革への不安から志望が弱気になる、いわゆる「安全志向」が強まったことが要因です。

方式別では、一般方式(97)がやや減少に留まったのに対し、センター利用方式(85)は15%以上の大幅減少で、22大学合計の減少数の約68%がセンター利用方式での減少数でした。要因としては、前年度はセンター試験利用方式の競争が厳しくなった大学が多かったことで合格目標ラインが高くなったことによる敬遠傾向と、2020年度センター試験の平均点ダウンによりセンター試験後に出願可能な募集単位への出願が慎重になったことなどが考えられます。

■駒澤大と東洋大は2万人前後もの減少、最難関大の慶應義塾大、早稲田大は減少継続

大学別では、駒澤大(59)、東洋大(83)の2万人前後という減少数の多さが目立ちました。駒澤大は、前年度志願者数が約9%増加したにもかかわらず、合格者数を17%減少させたことで厳しい入試になったことから敬遠されました。特にセンター試験利用方式(41)は、前年度の合格最低点を大きくアップさせたことが影響して6割近い大幅減少となり、大学全体の減少数の約66%がセンター利用方式での減少数でした。

東洋大は、前年度まで志願者数が5年連続増加し、近畿大に次いで全国で2番目の志願者数となり、これに伴い難易度がアップしたことにより慎重な出願となりました。特にセンター試験利用方式(68)は、駒澤大同様に前年度の合格最低点をアップさせたことが影響して30%以上の大幅減少となり、大学全体の減少数の約83%がセンター利用方式での減少数でした。

最難関大の慶應義塾大(92)は3年連続減少、早稲田大(94)は2年連続減少でした。これは最難関大を敬遠する傾向が影響したといえます。学部別では、慶應義塾大は全学部が減少、早稲田大は基幹理工(103)、文(102)の2学部のみ増加しました。

一方で、日本大(113)は、前年度大幅減少の反動で1万3千人以上も増加し、志願者数は113,902人となりました。これは近畿大に次ぐ多さでした。学部別でも多くの学部が増加しましたが、松戸歯(80)、歯(86)、薬(88)、医(93)のメディカル系4学部は、系統への人気低下の影響で全て減少したのが目立ちました。

■立命館大は初めて10万人を突破、近畿大は7年連続で全国最多

京阪神地区の8大学で増加した2大学のうち、立命館大は志願者数が初めて10万人を突破しました。15学部中増加したのは8学部でしたが、経営(145)、経済(129)、情報理工(121)などの大幅増加が影響しました。また、近畿大(94)は2年連続減少でしたが、志願者数は145,320人と7年連続で全国最多でした。文理別では、理系8学部合計(102)では微増でしたが、文系6学部は人気低下のため全て減少し、合計(87)では減少と対照的な志願状況でした。

なお、大学別の詳細な分析は駿台予備学校のホームページ(https://www2.sundai.ac.jp/yobi/sv/news/index.html)にまとめて掲載していますので、ぜひ参考にしてください。

さて、ここまでみてきたように、主要私立22大学全体では前年度と比較して競争が緩和したことがわかります。「安全志向」になりすぎず、「入りたい大学」に出願した受験生にとってはチャンス拡大の入試だったわけです。慎重になるあまり、早くから志望校をランクダウンすることは決して得策ではありません。むしろ、学力の伸長が鈍り、安全校と思った大学の合格も怪しくなっていきます。

2021年度入試に臨む新高3生のみなさんは、気持ちも新たにやる気に満ちていることでしょう。今の気持ちを忘れずに、まずはしっかりとした第1志望大学を決めて、それをしっかりと目標として見据えて、日々の勉強に励んでください。みなさんがこれからの1年、最後まであきらめず、努力を続けていくことを期待しています。

《コラム:2021年度入試に向けて⑨》

─2021年度入試改革の現状と対策─

2021年度入試に向けて入試改革のポイント、今月は、「2021年度入試改革の現状と対策」です。

先月号までのコラムでお知らせしてきたとおり、2021年度入試では、当初改革の大きなポイントとされた「民間の英語4技能資格・検定試験の大学入学共通テスト(「以下「共通テスト」」の枠組みでの一括利用」「共通テストの国語(現代文)および数学①(数学I、数学I・A)における記述式問題の出題」がなくなりました。

したがって、共通テストの大学入試センター試験(以下「センター試験」)との変更点は、「英語(リーディング(旧「筆記」))の出題内容(すべて読解問題)および配点(200点→100点)の変更」、「英語(リスニング)の問題文の1回読みの一部導入と配点(50点→100点)の変更」、「数学①の試験時間(60分→70分)の変更」の3点ということになります。

また、共通テストの導入以外では入学者選抜において多面的な評価を行うために、特に主体性評価(調査書、高校時代の活動歴など)を重視する方向性が示されてきましたが、これについても見直しが行われることになり、「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」が設置され、さる3月19日に第1回の会議が行われました。

今後、議論を重ねて今年12月までに1つの結論を出すことになっていることから、現段階で最終的な方向性を予想することは難しいのですが、第1回の議論を見る限りでは拙速な導入に対する慎重な意見が多く出されていますので、2021年度入試の一般選抜における大規模な導入はないと思われます。

このようにまとめていくと、「結局は、何も変わらないのに等しいのではないか?」と考える皆さんも多いと思いますが、そうではありません。すでに、センター試験としては、最後の実施だった2020年度センター試験でも、従来にないいわゆる「新傾向問題」が随所に見られました。単純に1対1対応の知識を問うのではなく、複雑で長い文章を複数読ませて、各教科の知識としては決して高度ではない基本的な事項の理解をもとにして、問題文の考察を進めて、正解を得るといった形式の問題です。

センター試験は30年間(前身の共通一次試験を加えると40年間)続いてきました。そこで出題された多数の過去問を分析していくと、頻出問題を中心とした過去問演習で対応できるという考え方があります。これは、全てが間違いだとは言えません。しかし、これからの不確実性が高い未来の社会に対応するためには、初めて見る問題に対していろいろな角度から考察、分析して、解答を導き出す力が必要になるのです。そこで、そういった能力を共通テストレベルでも評価したいというわけです。

また、文字を通したコミュニケーションに頼らなくても様々な手段で意思疎通が可能になっている現代に生きている若者たちは、読解力や文章表現力が落ちているという指摘があります。まだまだ大学での学習・研究、そして社会人としての活動にはこういった力が不可欠なことから、入試においても各教科の知識や学力評価とともに基本的な読解力を試そうとする出題形式が考えられているわけです。

2021年度共通テスト本番まではまだ9カ月余りの時間があります。過去問に慣れるというパターン学習だけでは高得点は厳しいでしょう。ぜひ、未知の問題にチャレンジするという積極的な学習が期待されているわけです。

新型コロナウィルスの感染拡大防止措置により、学校が休校となったりして、計画通りに受験勉強が進まないと、不安を覚えている皆さんも多いでしょう。でも、自分で使える時間が増えたのならば、新しい共通テスト対策の参考書や問題集などに今からじっくりと取り組んでみませんか?本格的な問題に取り組んだ経験を積み重ねて、初めて見る問題に対しても常に落ち着いて取り組める問題解決への自分なりのやり方を身に着けることが大事なのです。

2021年度入試は18歳人口が前年度比2.3%減少することから、さらに大学進学の間口は広くなります。新型コロナウィルス感染拡大のニュースなどから、2020年度入試以上に、受験生は無理をしないという弱気な志望動向が予想されます。こんな時にこそ、高い目標を突破するには最適な年度だと考えて、絶対に悔いのない大学入試を最後まで貫徹してください。

情報提供