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  来年、法政大学の工学部「建築学科」「都市環境デザイン工学科」「システムデザイン学科」の3学科が分離独立し、『デザイン工学部』として生まれ変わる。ひたすら効率を追い求めてきた技術の進歩から、人を中心に据え、社会や環境に配慮した持続可能な美しい技術へ。 “新しい時代に対応した学部”とうたう、この新学部の内容を設置準備委員長を務める小林尚登教授に伺った。

■人とモノの関わりをコンセプトに
  “モノをつくる”“クリエイションする”という場合に何が必要かというと、いろいろな角度から多面的にモノを見ることが必要です。「なぜ、そのモノをつくるのか?」「どういう理由で、そのモノが人々を幸せにするのか?」「今必要なのか?10年後必要なのか?100年後必要なのか?」…。そういうことを幅広く考えていく必要があります。

  とくに建築学科や都市環境デザイン工学科でつくられるモノは、一度つくってしまうとなかなか潰すわけにはいきません。また、潰すとき、あるいはリサイクルするときに環境を汚すなど、さまざまな問題があります。そのため、つくる前にまず社会を理解し、人とモノの関わりについて広い視野で考える必要があります。

  工学系の人間というのは非常に素直なところがあり、クライアントに言われたものをそのままつくってしまう傾向があります。姉歯問題などは、この意味で顕著に現れた一例と言えるでしょう。だから自分できちんと考え、提案できる人材を育てていきたい。これが第一のコンセプトです。

  第二のコンセプトは、“美しいもの”“デザイン的に優れたモノ”です。人が見て美しいと感じるモノ、気持ちがいいと感じるモノというのは、実は人を幸せにし、心を寛容にすると言われます。例えば多少嫌なことがあっても、キレイな家具に囲まれて生活していると、あまり怒りっぽくはなりません。

  これは従来の工学系の教育の反省にもなるのですが、これまではどうしても機能重視の教育に偏っていたと思います。家電製品の中でも実際、ほとんど使われないような機能が付いていたりする。機能的な側面はもちろん大事ですが、それと同様に使う人にとって本当に便利なのか、使っていて気持ちいいモノなのか、その部分の重要性を教えていきたいと考えています。

  また、東京という場所はアジアのデザインセンターという一面をもっています。確かに中国、韓国、インドといった国々の成長は目覚しいものがあります。しかし、まだしばらくの間は東京がリードしていくでしょう。その意味で、小金井キャンパスから市ケ谷キャンパスに移ってきたことには大きなメリットがあります。

■実践重視の授業と一新された共通科目
  小金井で学ぶ工学部と、市ケ谷で学ぶデザイン工学部では学問のスタート地点が少し異なります。小金井では、あくまで基盤的なモノづくりを教える。モノありきで“モノ”からスタートするため、最初からスキル面の課題があり、これをどう実現していくかを中心に学んでいく。一方、市ケ谷はモノづくりをしていくうえで、設計はもちろん企画段階から考えていきます。このため、実際に使うユーザー“人”からスタートし、社会や環境というものを考えることから始まります。

  法政大学では、“人から”のコンセプトをもとに2年ほど前からシステムデザイン学科で、人材を育ててきました。その成果は徐々に現れてきており、いろいろなことを提案し、また考えたことを他人に納得してもらえるよう、表現できる学生が育ってきました。今回は、これらの教育を建築学科や都市環境デザイン工学科にも応用できるということで、3学科を分離独立し「デザイン工学部」としてまとめたわけです。

  授業ではインターンシップなど、実践的な科目の充実を図ってきました。市ケ谷キャンパスに移ったおかげで、現場で実際に活躍しているプロを講師として招きやすくなったので、彼らの考え方などを学べる機会をなるべく増やしていきました。これからも「都心全体がキャンパスである」というのをモットーに、都心という環境から得られる刺激をより上手に利用していこうと考えています。

  また、3学科共通科目を充実させることにも力を入れています。各学科で縦割りに授業を展開していくのではなく、学部全体のコンセプトに合った科目を設置するため、例えば「色彩論」「デッサン史」「文化と文明」など、従来の工学部にはなかった科目をたくさん取り入れました。そして、この中で重視しているもののひとつがビジネス(経営)です。これからの人材はビジネスを理解していなければ生きていけません。このためアメリカのカリフォルニア州立大学イーストベイ校と提携し、MBA(経営管理学修士)の科目を10科目用意しました。これは1年間の留学で取得できるプログラムを日本で取得できるようにしたもので、テレビ会議室を使った「ハイブリット授業」という形で、アメリカの教授による授業を直接受講できるようにしています。

  さらに時間割も工夫しました。通常は前・後期に分かれているのですが、前期も後期もそれぞれ前半・後半に分け、クォーター制を採用しました。これは、それぞれの科目を短い期間で集中してできるようにしたのが狙いで、週2〜4回のペースで同じ科目を受講できるようにしています。



■お問い合わせ
法政大学入試センター
〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
電話:03-3264-9300
ホームページ http://www.hosei.ac.jp/
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