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■多文化共生時代を見すえた「複言語主義(Plurilingualism)」
  グローバリゼーションは、英語を共通言語として使うことにより、めざましく進みつつある。だからこれからの社会で活躍するためには、英語の運用能力を身につけておけばよい―そう考えている人が多いのではないでしょうか。たしかに、政治の世界や一部の経済活動を見る限り、そのようにも言えるかもしれません。

  しかし、広く周りを見回してみてください。グローバル化の結果として私たちが身をおいているのは「多文化共生社会」。国際社会は言うに及ばず、人の移動の拡大にともない、一国の社会の中でも、多様な文化が、そしてそれを背負った人たちのコミュニティが存在しています。

  文化の基盤は、言うまでもなく「言語」です。それぞれ異なる言語の上に成り立つ、これらの異文化同士のコミュニケーションを、英語という一言語だけで十分に担えるはずがありません。国際ビジネスを行なっている企業も、事業規模が新たな国や地域へと拡大すればするほど、このことを痛感しはじめています。

  そこで近年、EU諸国などから生まれてきたのが「複言語主義(Plurilingualism)」という考え方です。EUはご存知の通り、異なる言語・文化を持つ国々が政治・経済・生活の全般にわたって結びつきを深めつつある、いわば多文化共生の先進地域。そのような環境では、母語以外に複数の外国語を修得することが、より円滑で深いコミュニケーションを実現するために必要だというのです。 本学部は、この複言語主義を、日本でいちはやく取り入れた学部ということになるでしょう。国際社会で必須と考えられる英語、そして、日本人にとって重要度が高く使用人口も多いヨーロッパおよび東アジアの諸言語の中から、学生が選択した一言語について、徹底的に運用能力を磨いていきます。

  もちろんこれまでも、大学では、一般教養としての第二外国語、文学研究の手段としての外国語、あるいは語学そのものの専門家を養成するための外国語という形で、英語以外の言語教育が行なわれてきました。しかし、多文化共生社会実現のためのコミュニケーションの道具として、母語である日本語を含む三言語の運用能力を徹底的に磨くというコンセプトは、それらと一線を画す新しいものだと私たちは考えています。

■様々な文化を相対化する複眼的な思考を
  異文化コミュニケーション、あるいはそれと類似した名称を持つ学部・学科は、最近かなり増えてきました。「多文化共生社会」の到来が、強く意識され始めている証でしょう。ただし、質の高いコミュニケーションのカギを握る言語の運用能力の養成に対して、本学部のように力を注いでいる例はあまり見当たらないようです。これは本学部の大きな特徴のひとつと考えてよいと思います。 しかし、言語教育は、本学部の教育の柱の一つにすぎません。

  本学部の「異文化コミュニケーション」は、「With different culture 異文化との」ではなく、「Intercultural 異文化間の」コミュニケーションを意味します。私たちが身をおいている日本文化、あるいは私たちとなじみの深い英語文化を中心にすえて、それ以外の文化とのコミュニケーションを考えていくのではありません。日本文化、英語文化をも相対化して、すべての文化を同列にとらえる、そうした視点を養うことを目指しているのです。文化のよりよい「共生」を模索する時、このような発想は非常に重要だと考えます。

  ですから、言語教育とともに本学部の教育の柱となる諸文化の研究についても、独自のカリキュラムを工夫しています。学生は、それぞれが選択した言語の文化圏に限定せず、多様な文化を、「共生」をキーワードに複眼的に学んでいくことになります。

  異文化コミュニケーション学部で、複数言語によるコミュニケーション能力と、ことばと文化に対する柔軟な姿勢を身につけた若者が、真にボーダレス化した多文化共生社会の真ん中で、人と人とをつなぐリーダーとして活躍する日が、今から待ち遠しくてなりません。



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