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早慶大入試に精通した各教科のエキスパートが、過去問の出題傾向から早慶大合格へのヒントを伝授します。
(各教科のアドバイスは駿台文庫より刊行の「青本」より抜粋)

●入試対策
2000年度から02年度に顕著に見られた内容の易化と量の減少の傾向に03年度は歯止めがかかったが、04年度には再び易化に転じている。05年度はこの易化傾向に歯止めがかかり、特に読解問題で難化が見られた。この傾向は06年度、07年度も続いている。いずれにしても、読解力を重視し、語彙、語法、文法などの基本的な知識を幅広く様々な角度から試すという方向は今後も大きく変わることはないだろう。したがって、過去数年間の問題を研究検討することによって、無駄のない学習を行い、得点力向上に努めることが大切である。
≪読解問題対策≫
英文が完全に読めなくても設問の答えが分かる場合も皆無ではないが、そのような「幸運」をあてにして地道な学習をおろそかにする愚をおかしてはならない。英文を正しく読めるからこそ設問に答えることができるのであって、小手先のテクニックで処理できる問題などはごく一部に過ぎないことをしっかり肝に銘じておこう。また、英語の一つ一つの文が正確に読めて初めて速読やバラグラフリーディングなどが可能となるのであり、決してその逆ではない。いくら速く読んでも、英文の構造や約束を無視して、知っている単語だけ拾い読みして適当につなぐというやり方では、骨のある英文には対応できない。まずは文法の基本的知識を固め、それを基に一つ一つの文を正確に読む努力を続け(勿論、辞書を引く労を惜しんではならない)、徐々に長い文章を読み解くことを目指すのが筋道である。ある程度読解力がついてくると、そこから先は、どれだけ大量の英文を読むかという量の勝負になってくる。様々なジャンルの英文を一定の時間内で読み、日本語に置き換えないで内容を理解する練習を勧める。
≪英作文対策≫
難問の練習は不要である。口語表現を含む基本例文を、和英対照して反復練習することによって習得し、どのようなパターンでも必要に応じて使えるようにしておくことが最も有効な対策となる。その際、わけもわからず丸暗記をするのは避けること。文法の知識に照らし、さらに日本語と英語の発想の違いを確かめながら習得するように努めることで、興味も湧き効果も上がることが多い。自由英作文に対処する力もこの方法で身につくはずだ。

●入試対策
偏りのない正確な基礎知識と、典型的な問題に対するしっかりとした技術的素養とが必要であるが、特殊なテクニックの類を追い求める必要はまったくない。文系でありながら、「考えさせる」問題が主体の傾向はやや薄れたとはいえ、パターン化された「標準問題」の上っ面をなめた、記憶だけの解法技術で手っ取り早く片づけるつもりで立ち向かうと、痛い目にあう可能性がある。
教科書程度の基礎事項については、その前提条件や論理的内容、図形的意味に至るまで、正確に理解するように心がけることが大切である。そして「思考の過程を誤りなく、しかも簡潔に書き記す」ことができる言語感覚など、国語をはじめ、他の教科も含めた総合的な学力がものをいうことも忘れてはならない。

●入試対策
≪現代文≫
特に注目して触れておくべきことは、二つある。一つは、文学・芸術などについて。2000年度の(二)は、新傾向というべき、文学作品そのものの出題であった。2001年度の(二)とともに、夏目漱石の文章であることは、注目に値する。この際、漱石の『私の個人主義』『現代日本の開化』などの文明論には、必ず触れておくべきだろう。求められる読解力に変わりがあるわけではないが、近代の作家や評論家の書いた文章を視野に入れた学習が必要である。2002年度は森鴎外からの、2003年度は正岡子規、2004年度は高村光太郎、2005年度は柳宗悦、2006年度は長谷川天渓、2007年度は木下杢太郎からの出題であり、近代作家色が濃くなっている。今となっては古めかしく感じられる表現も含まれるので、語彙力を充実させるためにも、近代作家の文章に慣れておく必要があろう。
その一方で、科学・哲学・社会学的な視野をもった文章も必ず出題されてきた。<人間の存在>、<現代社会>、<近代日本>、<文化>、<文明>などという、いずれも大きく深い<話題>の文章であり、2000年度の(三)はこれに当たる。2001年度の(三)も芸術論ではあるが、「近代」という時代の理解が問われるものであった。2002・2003年度は文化論で、まさに視野の大きな話題である。2004年度は科学論が出題された。2005年度は、デザインというまさに現代的な話題についての文章であった。2006年度は、「知」のあり方そのものを考察する文章。2007年度は、哲学的な内容のものだった。論理的な文章による問題演習の中で、常に「人間」・「社会」・「近・現代」を視野に入れて考えるようにすることが必要だろう。それに、話題が何であれ、ある程度は抽象度の高い文章が出題されるのだから、ともかく、そういう硬い文章に十分取り組んでおくことである。そういう文章はまた、読解力を養うのに適切な文章でもある。
必ずある空欄補充、抜き出し、論旨展開にかかわる問題――設問で特に意識して訓練すべきものは、これらである。その訓練においては、もちろん全文の構造(構成)・論旨の問題を最重視すべきである。空欄や抜き出しは一喜一憂せずに、正解への道筋やどうして間違ったのかなどを深く追究することが大事だ。いかに文中に根拠を発見するか、その練習を積みたい。近代文学史や慣用表現などの知識も、学習の中でおろそかにしてはならない。
とにかく、解答時間の中で、問題文全体の大筋はつかめ、設問にも対応できる力を養うことである。そのためには、むしろ逆に、時間をかけてじっくり取り組み、深くわかる体験の積み重ねが大事だ。ことばの読み書きや意味はもちろんのこと、文と文、段落と段落との関係を微視的に、また文章を大きく巨視的にとらえる力を重視したい。そこには、指示語・接続語・同内容・対立関係等々の読解の基本、それらを正しくとらえる力が、全て含まれよう。そうである以上、あくまでオーソドックスな論理的文章による読解訓練の積み重ねがすべてである。
≪古文≫
基礎的な文法学習を背景とした堅実な読解力が求められるが、それとともに、なるべく多くの古典の文章に触れ、ある程度古典作品を読み馴れておくことも必要であろう。その中で古典常識や和歌への対応などを学ぶことである。また、近年の傾向に鑑み、和歌修辞の体系的学習を済ませておくことが望ましい。
各設問への対応を考えてみよう。必出と言ってもよい空欄補充問題は、問題文全体の大意を踏まえた上で考えることが大切。ただし、この空欄補充問題はその性質上、かなりの学力を備えた者でも必ず正答できるとは限らないものである。そこで、もう一方の頻出問題である文法問題・文学史問題等で取りこぼしをしないことが、合格の絶対条件。これらは、事前に十分に学習しておけば、ある程度確実な得点が期待できる。文法については、付属語や敬語の知識を確実なものにしておきたい。また、文学史問題には、ジャンルごとに主要な作品を系統立てて押さえていく学習が大切。出来ればメジャーな作品については、その梗概や時代背景も知っておくと、出題文の読解にもそれが役立とう。解釈問題の選択肢は、きちんとした直訳ではなく意訳の形になっている場合が多いので、やはり全体の大意を踏まえて考察すべきだろう。問題文中に少々難解な部分や未知の単語があっても、細部にばかりこだわらず、文章全体の論旨をつかむことを主眼とする姿勢が求められる。しかし、一方で助動詞・助詞の付属語に代表される基本的な文法や古語の、語学的な学習が軽視されるべきでないのは、もちろんである。部分部分を正確に解釈し得るだけの学力なしに、意訳だの大意把握だのと言っても、それは絵空事に過ぎない。設問は選択形式が過半だが、選択肢の中の正解が非常に紛らわしい場合がある。選択肢一つ一つを吟味して、傷(難点)の大きなものから先に消していき、最後まで残った一つが正解――という消去法が、難解な選択肢問題の解法の定石である。
≪漢文≫
漢文読解の基礎、すなわち語彙や句法の習得が不可欠である。特に傍線部書き下し(あるいは返り点を施す)の問題は毎年問われるので、基本句法全てをマスターしておくことが最低限度必要。白文でも書き下せるようにトレーニングを積んでおこう。また、問題文中に用いられた一字の漢字を、同じ意味の二字熟語に直す訓練や、同じ意味の他の漢字を想起する訓練も積んでおきたい。日常の漢文学習を通じて、絶えず「熟語に直すと何が適当か」を考える習慣をもつことである。また、「何為」、「何如」、「如何」、「幾何」、「孰与」、「孰若」など、難読の疑問詞にも十分注意したい。

●入試対策
クイズ的な出題は減ってきているので、重箱の隅をつつくような事項の羅列・一問一答的な学習ではかえって合格しにくくなっている。
今後は、頻出テーマ史をしっかり理解することが、政治経済学部合格には必須の条件となる。教科書のみならず、史料集の図版・グラフ・用語集によく目を通すこと。また早大独特の正誤問題の克服には、特に基本事項を整理した上で、歴史の流れ・因果関係を理解する学習が必要である。
時代・テーマ的には16〜20世紀の政治史と社会経済史は徹底的に整理しておくことが重要である。時事的問題には特に関心を払い、問題の歴史的背景を分析しておくことが望ましい。
第一に、大学入試でなぜ日本史が課されているのかをよく考えた上で日本史の学習に取り組むこと。なぜ大学は入試において日本史を課すのか。それは大学が日本史の専門家を求めているからではもちろんなく、歴史が諸学問の前提であるからである。つまり大学は、大学で様々な学問を学ぶために欠くことのできない歴史的教養や歴史的物の見方を受験生が持っているかどうか、それを知るために入試に日本史を課しているのである。このことをよく自覚してほしい。特に政経学部を受験するのだから、政治学や経済学を学ぼうとする学生に要求されていることは何かということを考え、大学での専門教育の準備をするようなつもりで歴史の学習に臨むことが重要である。

第二に、政経学部の日本史は近現代史を中心にした入試だと捉え、近現代史の徹底的な学習を行うこと。近現代史に関しては、細かい知識だけではなく、深い理解が要求されていることを再確認する必要がある。
主要なテーマとしては、前述したように「日本のアジア侵略と植民地支配」、「ファシズムの台頭と国際関係」、「デモクラシー思想・社会運動およびそれに対する政府の対応」、「政党内閣とその変遷」、「近現代の経済史」、「現代のジャーナリズム」などが主要なテーマとなっているが、教科書による通史的な理解だけでなく、部門史的整理を行う必要があるし、特に国際関係史は日中関係史、日朝関係史、対欧米関係史、琉球・沖縄史、アイヌ民族史などテーマごとにまとめていくことが重要である。また思想史も、思想家と著作を用語的にまとまるだけでよいなどという甘いことは全くなく、例えば、吉野作造の民本主義や美濃部達吉の天皇機関説が、どのような内容を持った思想・学説であるのか説明できるぐらいの実力をつけていかなければ対応できない。さらに経済史は、国際金本位体制のシステムの理解など貨幣・金融史を含め深い理解が要求される。『政治・経済』の教科書を一読するぐらいのことはしたほうがよい。
大問の1題は現代史(戦後史)になり、それも教科書を超える時事的な知識も要求されている。戦後史ができるかどうかは合否を分ける決め手となるといっても過言ではない。ところが、高校で戦後史を十分に学習していない受験生が多いことも悲しいことではあるが実情である。戦後は、1945年の日本敗戦から現在まで60年以上、すでに1885年の太政官制廃止・内閣制度成立から日本敗戦までの60年間より長い。そのため、より複雑・難解になっている戦後史の学習には、内閣制度成立から日本敗戦までの学習と同等以上の時間を割かなければ本来は完成しないはずである。しかし、戦後史を授業で扱っている高校でさえ、非常に短い時間しか戦後史の授業時間に割かれていないのが現状であるので、参考書だけではなく、戦後史の概説書なども入手して自学自習に努めてほしい。そのレベルが要求されている。もし、駿台予備学校に通える条件を持つ諸君ならば、夏期講習と冬期講習の両方に、駿台校内生の必修講座として設置される『日本現代史(戦後史)』の講座が4日間(12時間)あるので是非受講することをお勧めする。12時間は通常学期の講座では1学期分(前期11時間、後期13時間)の長さである。また、近現代史の出題では、受験生が高校までの歴史的知識を「死んだ知識」とせず、それを利用し、現在起きている政治的事件・経済的事件・国際的事件を理解しているか、あるいは理解しようと努めているかを問おうとしている。政治学や経済学を学ぼうとしているのだから、毎日、新聞やテレビのニュースに目を通すことは受験の最低限の前提である。そしてさらに、その事件を歴史の文脈で読んでいく力を養成していかなければならない。子供時代の「お受験」の気分で臨んでは相手にされない。なぜならば、近現代史の入試は、「現在の問題」を歴史的にとらえられているかという視点で作成されているからである。

第三に、史料問題の対策を十分にしておくこと。第1問は古代・中世の史料問題となっており、「基本史料」「未見史料」の双方が出題されている。「基本史料」は、空欄になる歴史用語、線を引かれて質問される事項など、出題される箇所は全て決まっているといってよい。それゆえ、「基本史料」は「やっておきさえすればよい」のである。対策としては、駿台文庫の『日本史史料集〈改訂版〉』を使って学習することをお勧めする。使い方としては、
(1)『ポイント』を熟読、(2)「注」を含めて本文を読む、(3)「赤い太字」は空欄にされても「穴埋め」できるようにチェック。
これで一つの史料の完成である。一方、「未見史料」は「実力問題」である。本当は対策など必要はなく、諸君の「実力」を表現していけばいいのである。ただし、“コツ”としては、
(1)設問文を全て先に読む、(2)キーワードを探して史料を熟読する、(3)設問を解く。
これでよいのである。「未見」であることであわててしまうことが最大の失敗の要因である。

第四に、駿台文庫より刊行の『青本』をとことん使いこなすこと。まずは
(1)過去問を解く
(2)解き終わったら、「解答・解説」を見る前に、教科書・参考書などを使ってできなかった箇所や自信のなかったところをチェックする
(3)最も重要な作業である「解説」の熟読を行い、関連事項まで徹底的に整理する学習に全力を注ぐ
(4)誤答した箇所を再検討するだけではなく、正解したところも含めて、もう一度新たな気持ちで全問を解き直す
(5)その際、ラインマーカーで重要歴史用語や人物をチェックしながら、「問題文」を参考書でも読むような気持ちで熟読すること。なぜならば、受験生は意外と気づいていないようだが、「問題文」こそ、諸君が受験する入試の作者の「生の文章」であるからである。そして、最も直接的な「ネタ」や作者の歴史観・メッセージが含まれている文章だからである。
以上のように、『青本』を徹底的に使いこなし、「解説」を熟読して関連事項を整理すること。それを実行すれば、出題者の歴史的世界が垣間見られるようになり、最も高度な対策となるからである。
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