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  上智大学ならではの名物学部だった比較文化学部が、06年4月から国際教養学部に生まれ変わる。大学院でも外国語学研究科から分離発展したグローバル・スタディーズ研究科がスタートするほか、言語学専攻に英語教授法(TESOL)コースが加わる。新しい一歩を踏み出した上智大学の近況と、大学で私たちは何が学ぶべきかを石澤良昭学長に聞いた。
■真のリベラル・アーツが学べる国際教養学部

  上智大学の中には、1949年に創設された国際部が日本における国際大学教育の先陣を切りました。その国際部を母体として外国語学部比較文化学科へと発展し、1987年には比較文化学部として独立し、そして2006年4月に国際教養学部に発展します。この学部では英語で授業を行い、米国の大学とリンクしたセメスター制を取るなど、本当の意味でのリベラル・アーツ(教養)を身につけることを主軸としています。どうぞそのカリキュラムを見て下さい。基礎から専門分野へと段階的に進めるカリキュラムになっていますが、英語で日本文化とアジアのことを学び、同時に世界のビジネスなどを勉強できるという21世紀型先取り学部です。そのことを強調したいですね。

  日本はこれまで欧米をモデルとして、それに追いつけ、追い越せと頑張ってきました。しかしながら、今では追いつくべき先進モデルは世界のどこにもありません。ならば私たち上智大学がそのモデルなるものを創ろうという意欲に燃えています。ぜひ一度四谷キャンパスに来て活発な研究会や国際シンポジウムに出席してください。そして、モデル創りのため直面する問題の本質の発見と、解決に向けての方法論を新たに再構築しなければなりません。そこで大学院には、やはり英語で講義を行うグローバル・スタディーズ研究科を独立させたということです。この研究科は現場主義を研究の出発点とするフィールド・スタディがひとつの特長となっており、学生にはどんどん国内外に出ていただきます。自分で見たこと、聞いたこと、肌で感じたことを研究していく、つまり「暮らしといのち」を見つめようとするものです。閉じられた文献だけではなく既存の「学」の枠を超えた新しい解決方法論を見つけ出し、それが一つのモデルとなっていくのです。激動の時代を生きている現実を見据えることで、学生自身も大きく変わっていくはずです。

■大学として当然の改革、当然の進歩

 上智大学というのは、特に宣伝をしない大学です。それは本来の大学としてあたりまえのことをずっとやってきたからです。大学として当然のこと、例えば少人数教育とか、語学教育など、大変熱心にやってきました。時代が変化すれば、教育もそれに対応して改善するのも当然のことです。大学院の新しいコースとなる言語学専攻の中に英語教授法(TESOL)を開設しますが、それは日本の英語教育を根本から改善しなければならないと考えたからです。

  国際化の時代というのに、英語が苦手な日本人が今も少なくありません。これは明らかに英語教育に問題があるからで、その改善のためには先ず中学・高校の英語教師を再教育しなければならない。英語ネイティブに任せるだけでは、本当の英語教育とはいえないでしょう。特にリスニングですが、現実の英会話をきちんと聴き取ることができ、通じるように話せる教授法、教育スキルが必要なのです。いいかえれば、英語の教員になる先生をもう一度上智方式にもとづき鍛えるということです。すでに上智の卒業生を含めて入学希望の声が多く、これは上智の新しい名物になると確信しています。

  今年は21世紀COEプログラムをはじめとして、4つの分野で文部科学省の支援プログラムに選ばれましたが、いずれも学内で当然のように実施されてきた高度な研究や教育活動をずっと進めてきた成果なのです。上智大学としてはあたり前のことであり、それがようやく文部科学省の眼にとまり評価してくれたというのが正直な感想です。

■真面目な教員、真面目な学生

  上智大学の際立った特長をひとつ挙げるとすれば、「真面目に鍛えあげる」ということでしょうね。学生も教員も真面目に討論し、真剣に勉強します。その中心にいるのが、イエズス会の神父たちです。生涯独身で、教育と研究に一生を捧げる学僧の先生方です。私も経験しましたが、一晩かけて書いたフランス語の作文が翌朝真っ赤に添削されます。それをまた写して、書き直す。これまでの神父の中には中国文学で世界的な第一人者がいたり、人名事典に名前があるほどの神父もいます。英語でTo Be On Missionというのですが、奉仕の精神に満ちあふれています。こうした研究的雰囲気を他の大学で探すのは困難ではないかと私は思います。こうした奉仕に支えられて実力がつき、社会に出ても足腰の強い学生へと成長していくわけです。

■「ソフィアン」として生きる

 上智大学の学生並びに卒業生を、「ソフィアン」と呼びます。まず語学が得意であり、奉仕の精神に満ちあふれ、日本が直面している諸問題やグローバル・イシュー(世界的問題)から決して逃げることなく、真正面から取り組み、解決策を考える人たちだと私は考えています。

  今の学生諸君は日本がどちらかといえば経済は下り坂でなんとなく元気がないと感じておられるでしょう。不安ばかりで先行きが少しも見えない国になってしまいました。その意味で今の学生は気の毒としかいいようがない。しかし、絶望しても何も始まりません。そこで私は、「国際社会に出ていけ」と勧めています。様々な人々が様々な言葉を使い、暮らしています。どんな場所でもいいから、出かけていき、そこの命と暮らしを見つめ日本と比較することで、意識が大きく変わるものです。  私は毎年1回、学生たちをアンコールワットに連れていき、ゴミや空缶拾いのボランティアをさせています。航空運賃だけは自前ですが、現地では一応、寝る場所とゴハンと足だけはこちらで用意します。ある時に現地で学生が「彼らはあんなに貧しいのに、どうしてあれほど元気なのだろう」と呟きました。それは人々の心が満たされているからです。生きるよろこびに満ちあふれた人たちがいることに気がつくことが第一歩であり、そこからすべてが始まります。

  しかし、このように外国に出て、大いに日本を語り、現地の人々の生活を識るためには、一般常識や教養が必要です。上智大学では全学共通科目(約700科目)がまるごと教養早わかり科目として開講されています。この教養を身につけた上で、大きく地球世界に向けて飛翔してほしいですね。
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