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  生命科学、物理学など多くの分野で優れた研究成果をあげるとともに、理数系の教員をはじめ、理学・工学の専門知識をもって活躍する優秀な人材を数多く輩出してきた東京理科大学が、今年創立125周年を迎えた。新校舎の建設も進む理科大は、これからどう変わるのか。決意とビジョンを竹内伸学長に伺った。
■「Conscience」を新たなコンセプトに

  20世紀、科学技術は目覚しい進歩をとげ、人類は便利で豊かな生活を手に入れました。その半面、環境破壊、兵器開発など、人類の将来を危うくしかねない「負」の遺産をも抱えることとなったのです。

  しかし、こうしたマイナスの面を解決する方法もまた、やはり科学技術の適正な発展と応用以外にはない。この共通認識のもと、今あらためて科学技術に対する期待が高まっているのではないでしょうか。

  実際、米、中、韓はじめ世界主要国の科学技術開発費は大きく伸びています。20世紀の科学技術を超える、21世紀の「知」を創造する競争が始まっているのです。資源に乏しく「科学技術創造立国」を標榜するわが国は、この競争に遅れるわけにはいきません。

  この世紀の変わり目に、私ども東京理科大学も創立125周年の節目を迎えました。日本を代表する科学技術の教育機関、研究機関の一つとして、こうした「知」の創造に大きく貢献したい。そんな想いをこめて、本学は新しいコンセプト「Conscience」を掲げました。この言葉は「良心」という意味を持つと同時に、接頭語の「con(=共に)」と「science(科学)」に分けることで、「科学とともに」と解釈することもできます。

  教育機関として「良心」をもって教育を行い、専門知識だけでなく幅広い教養と高い倫理観を備えた、「良心」ある科学者・技術者を育てる。また研究機関として、それぞれが専門分野にのみ目を向けるのではなく、ほかの分野との関連、社会や環境への影響まで考える広い視野をもった「良心」的な研究を行なう。そのことによって、科学技術の発展と人類の幸福の両立をはかり、「科学とともに」繁栄する未来を実現する。そうした決意を1語で表現したものが、この「Conscience」なのです。

■実社会で真価を発揮する「実力主義」

  東京理科大学の出発点は1881年、東京大学理学部の若き卒業生21名が設立した「東京物理学講習所」で、間もなく「東京物理学校」と名を変えました。「理学の普及をもって国運発展の基礎となす」――建学の精神はいかにも「富国強兵」の時代を反映した表現となっていますが、その内容はもちろん現代にも通用します。

  当時のエリートコースであった師範学校、中等学校の理数系教員の、実に6割あまりを供給するなど、文字通り理学の普及に貢献。その教育への情熱は、度重なる戦争をはじめ数々の困難を経ても衰えることなく、戦後に改組・改名した東京理科大学へと受け継がれています。

  現在本学は、新宿区・神楽坂のほかに千葉県・野田市、埼玉県・久喜市、北海道・長万部にキャンパスをもち、理学部(第一部・第二部)、工学部(第一部・第二部)、理工学部、基礎工学部、薬学部、さらに文系の要素も併せ持つ経営学部を擁する理工系中心の総合大学へと発展していることはご存知の通りです。

  本学はその歴史を通して、「実力主義」をうたってきました。本学に入学した以上、本学の求める高いレベルの知識・能力を身につけない限り卒業を認めない。この厳しい姿勢は、入ってしまえば卒業はできて当たり前の「トコロテン式」といわれる日本の大学の中にあって、異色なのかもしれません。その分、教員たちが教育面の充実にとくに力を注いで工夫をこらしていることは言うまでもありませんが、学生にとっては楽でない部分もあることでしょう。

  しかし、わが国の企業の考え方が「年功序列」から「能力主義」へと移行している今、ここで学び、「実力主義」でもまれた体験は、実社会で間違いなく生きるはずです。企業において、本学卒業生の評価が大変高い、その理由もそこにあるのだと思います。

  一人でも多くの学生が本学で確かな実力を身につけ、社会のさまざまな分野で大きな貢献をしてくれることを願っています。

■新しい理科大へ――進むカリキュラム改革

  東京理科大学は、125周年を機に、さらなる飛躍のためのさまざまな改革を行ないます。

  第一は、カリキュラムのバリアフリー化。従来の学問領域にとらわれていては解決できない問題が増えている現在、「良心へ向かう科学」を追求するためにも、領域を超えた関心・知識を持つことが、科学者として不可欠となっています。学生たちが、興味にしたがって他学部・他学科の科目も自由に履修できるよう、カリキュラムの改編を進めています。

  第二は、教養教育の充実。最近、科学者・技術者の不祥事が目につきますが、「良心」を形づくる教養・倫理観を身につけさせる大きな責任を、大学は負っているのだと思います。教養課程が廃止されて以来、縮小される傾向にあった教養科目の内容を見直します。

  第三は、教職教育の強化。教員の需要は少子化とともに減っていましたが、いわゆる団塊の世代が定年を迎える今後、再び増えることが予想されます。理数系教員の養成に確かな実績をもつ本学が、高い能力を持った人材を教育現場に送り出すことにより、昨今問題となっている子どもの「理科離れ」対策にも貢献できるのではないかと考えています。

  第四は、第二部(夜間部)の見直し。最先端技術がかかわるビジネスの世界では、競争の激化とともに、とくに管理職に科学技術の専門知識を備えた人材が求められています。社会人として経験をつんでから最新の知識を学びたい。その要望にこたえることは、わが国唯一の夜間理学部を持つ本学の責務だと考えているのです。

  最後は国際化。語学教育の充実、海外からの教員の招聘など、教育面の改革に現在取り組んでいます。さらに研究面でも、国内ではすでに高い評価を得ている本学のレベルを、世界に認められるところまで引き上げたい。そして名実ともに、東京理科大学から「TUS (Tokyo University of Science)」へと進化したいと考えています。

  さらに神楽坂キャンパスでは、老朽化した建物に代わる新しい高層の校舎を建設中です。形も中身も生まれ変わる東京理科大学にご期待ください。
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