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  学習院大学は、少人数制による「教養教育」などを通じて、「考える」「表現する」という、いつの時代にも大切な「人間力」の育成をめざしてきましたが、そのなかで時代の要請に応えるべく変わろうとしています。
  例えば、映画・演劇などの文化現象へのカリキュラムの現代化と広がりを示すため、平成19年4月から文学部ドイツ文学科とフランス文学科は、ドイツ語圏文化学科、フランス語圏文化学科となる予定です。
  常に新たなチャレンジを続ける学習院大学の永田学長に、同校の理念・特色と併せてお話を伺いました。

■幅広い教養教育を重視

  学習院大学は、1847年(弘化4 年)に京都で開講された公家の教育機関をルーツとしています。1877年(明治10年)に現在の名称となり、戦後は新制大学としてすべての人々に開かれた存在になりました。こうした経緯の中でも、学習院としての伝統は脈々と受け継がれてきました。

  それは、「深い教養を与え、高潔な人格、確固とした識見並びに近代人にふさわしい健全で豊かな思想心情を培い、これによって人類と祖国とに奉仕する人材を育成する」ということです。

  最近は実学を重視する大学も少なくないようですが、学習院大学では即戦力としての実用教育ではなく、卒業後にどんな分野に進んでも、自力で、その分野に必要な知識やスキルを身につけていけるための土台となる幅広い教養の育成を大きな目標としています。

  このため、少人数教育を基本として、1年次からゼミナール形式の演習を実施。その一方で、学部学科の枠を超えた「総合基礎科目」を設定しています。

  また、学内の教育だけでなく、早稲田大学、立教大学、日本女子大学、それに学習院女子大学の4大学と提携した幅広い単位互換制度も際立った特色といえるでしょう。これは「f-Campus」と称しており、約2000科目から選択履修することができます。f とは、five(5大学)、freedom (自由)、friendship(友好)、future(未来)を意味しており、履修単位を互換できるというだけでなく、他大学の学生との交流によって、幅広い視野と友人・知人を得ることができます。こうした交流は、学部だけでなく、大学院の前期課程でも活発に行われています。 


■充実した語学教育と3年修了で同修士課程に入学を目指す政治学科FTコースの設置

  国際化した現代では不可欠の語学教育も、外国語教育の専門家を揃えた外国語教育研究センターを中心に、充実させてきました。英語、ドイツ語、フランス語、中国語、ロシア語、イタリア語、スペイン語、朝鮮語、アラビア語と9言語の科目が設置されています。

  語学の実践的な運用能力を高めることが教育目標ですが、現在は、どの学部の学生も外国語のいわゆるクオリティペーパーとされるレベルの高い新聞を辞書なしでも理解できるなど、全学共通の具体的な目標を定めています。それによって、学生の学習意欲も刺激されると考えています。協定留学・協定校以外の留学によって学内・学外における国際交流も活発です。

  このように語学も含めた幅広い教養教育が学習院大学の特徴ですが、それだけでなく専門教育も重視しています。その典型が「FT course」と呼ぶ学部・大学院5年一貫の修士課程です。法学部政治学科と大学院政治学研究科がドッキングしており、学部1年修了時の選抜試験に合格した学生は、5年間で修士号を取得できます。通常は最短で学部4年、修士課程2年の6年間ですが、期間を短縮できるというだけでなく、学部段階から一貫した学習・研究ができることも大きなメリットです。

  現在大学院では「日本政治・政策」「国際関係・地域」「社会・公共領域」という3つの研究コースがあるほか、共通科目として「政策・実務」も設置されています。就職にも配慮して、インターンシップも用意しています。

■教育内容、施設ともに積極的に刷新

 学習院大学は、このように「幅広い教養教育」を伝統としていますが、時代の急激な変化によって、求められる内容も変わってきます。このため、学部・学科の改組も含めた教育改革と、施設の刷新にも取り組んでいます。

  まず、文学部では2007年度からドイツ文学科をドイツ語圏文化学科、フランス文学科をフランス語圏文化学科と名称変更することを予定しています。ドイツ語圏文化学科では、1)言語・情報コース、2)文学・文化コース、3)現代地域事情コースの3コースを選択できるほか、特別プログラム:通訳・翻訳者養成演習も設置します。

  フランス語圏文化学科では、1)言語・翻訳コース、2)舞台・映像コース、3)広域文化コース、4)文学・思想コースの4コース。いずれも従来からの少人数教育の良さと質を徹底し、語学や文学の枠に留まらない多様な社会・文化を学ぶことで、実践的な教養を身につけてもらうことが主眼となっています。

  そして、2008年度に自然科学研究科の生命科学専攻増設、文学部英米文学科の英語英米文化学科への名称変更とカリキュラムの刷新、人文科学研究科のアーカイブズ学専攻、身体表象文化学専攻、美術史学専攻の増設、また、なるべく早期に臨床心理学専攻の開設構想を具体化させ、さらに2009年度に、理学部の生命科学科の増設など、新時代に即した教育を行うための計画を構想中です。

  こうした刷新に対応して、施設や設備など大学のハードという面でもさらなる充実を図る予定であり、このほど「教育・研究体制の刷新計画とそれに関連する施設建設について」という計画をまとめたところです。現在2009年度竣工を目指し、自然科学研究棟および法科大学院の新設備をも含む中央教育研究棟を建設する計画をすすめています。

■高い志を持つ人材を育成

  入試制度では、07年度より、公募制推薦の実施学科に文学部哲学科と理学部物理学科を加えました。

  さらに昨今の課題であるキャリアデザインについても、経済学部経営学科ではこの4月から特別客員教授を採用。単なる就職指導ではなく、将来の人生設計まで視野にいれた考え方を指導する授業を実施しています。この試みの評価や成果を見定めてから、全学への拡大を検討するつもりです。

  学習院大学は、世の中のために奉仕し、社会にいかに寄与できるかということを考えられる、ひとの視点を理解できるとともに、自己を失うことのない高い志を持った人材を育てたいと思っています。自分で考え、学ぶ意欲のある学生にとって最高の環境が、ここにはあるのです。
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