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  昨年度、大規模な学部・学科の再編を実施した立教大学は、来年度にも新学部(異文化コミュニケーション学部・池袋キャンパス)・学科(コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科・新座キャンパス)の開設を予定しているという。
  こうした改革をはじめとする立教大学の挑戦はどこを目指し、いつまで続くのか。大橋英五総長にお話を伺った。

■変化の時代に輝き続ける大学へ

  立教大学は2006年4月、2学部7学科の新設をはじめとする、他に類をみない大規模な改革を実施しました。さらに2008年度には、1学部2学科の新設を予定しています。

  本学に限らず、規模の差こそあれ、教学の改革は各大学で最近盛んに行なわれており、その背景として、18歳人口の減少にともなう大学の経営危機がよく指摘されます。しかし私は、学生の減少をそれほど深刻な問題とはとらえていません。数が減ったとしても、若者が存在する限り、研究教育機関としての大学の使命・意義がなくなることはありえないからです。

  大切なことは、学生の資質の変化、社会のあり方の変化にいかに対応するかです。

  かつて日本の子どもは、近所の、年齢にも幅のある子どもたちとの集団の遊びを通して、あるいは家庭内でも、両親や兄弟姉妹との関わりを通して、自然に社会性を身につけていました。しかし最近の若者は、そうした体験をする機会が少なくなってきています。

  また、バブル崩壊を境に、若者は自分の将来に対して、希望よりむしろ不安を強く感じるようになりました。こうしたことが、学生の資質に大きな影響を及ぼしています。

  一方、社会は、環境問題をはじめ、人類がかつて体験したことのない数々の問題に直面しています。既存のノウハウを修得し、それを応用するという高度成長期までのやり方は、もはや全く通用しません。当然、大学を卒業して新たに社会の一員となる人材に求められる能力も、従来とは大きく変わってきているのです。

  これまでとは違う資質を持つ学生に、これまでとは違う能力を身につけさせる教育を提供するために、大学は変わらなければならないと思います。そして、それができるかどうかによって、これから輝く大学になれるかどうかが決まってくる。私はそう考えています。

  立教大学が挑戦しているのは、小手先の改革による学生の確保、単なる大学の生き残りではありません。新しい時代に必要とされる、新しい大学のあり方の提案、そしてその実現なのです。


■社会との連携を進める立教の取り組み

  立教大学にとって、今述べたような、学生や社会の変化に応じた教育改革という考え方は、別に目新しいものではありません。この点で本学は、常に斬新な試みを打ち出し、先駆的な役割を果たしてきた大学の一つであると自負しています。

  ですから、一見大手術に見えるここ数年の改革も、本学がこれまでの歴史の中で生み出し、培ってきたものが、より大きな力を発揮するよう環境を整えたにすぎません。ただ、そのことが結果的に、本学が模索してきた新しい学問体系や教育システムを、一気に見えやすい形で提示することにつながったのです。

  たとえば来年度新設の「異文化コミュニケーション学部・異文化コミュニケーション学科」は、本学独自のリベラルアーツ(教養)教育課程として評価の高い「全学共通カリキュラム」に含まれる語学教育を再編成し、専門教育と結びつけることで、より効率的な語学教育システムを構築すると同時に、多文化共生時代のコミュニケーション能力というきわめて今日的なニーズに対応しようとするものです。また、コミュニティ福祉学部に新設される「スポーツウエルネス学科」も、同学部の福祉やコミュニティに対する視点と、本学が一般教養課程以来擁しているスポーツ・健康関係の教員およびその研究を結びつけ、スポーツと福祉のかかわりという、やはりきわめて今日的な課題に取り組もうとしているのです。

  本学の変革の試みは、こうした学部・学科体制の整備にとどまりません。なかでも、社会に人材を送り出すという大学の大きな使命をよりよく果たすための「キャリア教育」の充実さについては強調してよいでしょう。

  単に就職を支援するのではなく、仕事を含めた人生全体をキャリアとしてとらえ、それを自ら組み立てる力を養う。そして、社会が必要とする人材の育成については、企業や社会と大学が協力(co-operate)して若者の教育にあたる「コオプ教育」の考え方を、わが国でいちはやく提案、具体化、実行し、現在着実に成果をあげつつあります。

  社会との連携という意味では、ここ2年間、全学的取り組みとして連続シンポジウムを実施、今年度も継続します。これは本学から社会へ情報を発信する場であると同時に、社会から本学への意見・要望を受け取る場ともなり、本学の改革の推進にも大いにプラスとなっています。

■自立させるが孤立させない教育

  以上のような取り組みが、学生の資質の変化にも対応するものであることは言うまでもありませんが、もっと直接的に個々の学生にかかわる取り組みとして、学生相談所によるカウンセリングの充実があげられます。こうした機関を設置したのは、私学の中で本学は先陣を切っています。同相談所は長い間学生たちの大きな支えとなってきました。学生の変化を肌で感じつつ、最も適切な対応を追及してきた結果、その取り組みは昨年度の文部科学省「特色GP」に採択されました。大学としての、現代的なニーズに対応したすぐれた取り組みと評価されたのです。

  同相談所やキャリアセンターに象徴される、学生に対する面倒見のよさは、立教大学全体の特徴でもあります。それはおそらく、教員同士の関係がフラットで学部間の垣根も低いという土壌が、教員・職員と学生の間の垣根を取り去り、さらには先輩後輩の垣根も取り去って、お互い親身に面倒を見合うという環境が自然にできているのかもしれません。それがそのまま、自立はさせるけれども孤立はさせないという本学の教育にもつながっているのでしょう。

  本学の学生の中には、正直にいって、本学が第一志望ではなかったという人も少なからずいるはずですが、それでも中途退学者の割合が0.8%と平均的な大学の4分の1にとどまり、卒業時には皆、立教を気に入って巣立っていってくれます。その秘密は、この立教独特の空気にあるのではないかと思うのですが。

  企業が社員を大学の偏差値だけで選ぶ時代は終わりました。受験にあたっても、偏差値で大学を選ぶのではつまらないと思います。高校生諸君には、その大学で何ができるか、その先にどんな未来が開けるか、よく考えた上で、ベストの選択として本学を志望していただければ幸いです。

  本学の自己改革の挑戦には、終点はありません。先ほど述べた「立教らしさ」を大切にしつつ、進化し続けていきたいと考えています。
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