■「個」を強くする大学
グローバル化が一段と進展する中で、日本は明治維新や戦後改革に次ぐ「第三番目の開国」とも言うべき大きな質的転換を迫られています。
明治維新ではドイツやフランスが、戦後改革ではアメリカが日本のモデルになりました。しかし21世紀は自ら新しいモデルを構築することが求められ、若者の創造力が期待されています。
明治大学は、明治維新の大きな価値観の転換期に、わが国は「個の確立」を通じて近代化を図るべきであるとの視点のもと、近代市民の育成をめざし創立された大学です。
以来、建学の精神として「権利自由」「独立自治」を提唱し、世に有為な人材を数多く輩出してきました。昨今これらを表するに「『個』を強くする大学」とのキャッチフレーズを用いています。
強い「個」を形成する教育は、国際社会でどんな役割を果たすべきか。個々の人間が自覚を持って活動すべき今、明治大学の掲げてきた精神は、今の時代にマッチしていて、まさに明治大学の時代といえるでしょう。

では、現代において「個」を強くするとはどういうことか。私は、タテの歴史とヨコの現況・動きを深く理解していることが必要だと思います。また、グローバル社会を大前提とすれば、それにふさわしい理論やスキルも必要になります。もちろん各学部ではそれに対応した教育改革を進めていますが、明治大学としては新たなパラダイムに対応した具体的な教育モデルを創造しなければならないと考えています。
そこで2008年に新たに誕生するのが、国際日本学部なのです。
■根っこを日本に置いた国際人を養成
「国際日本学部」はその最先端に立ち、グローバル化した現代社会において「強い『個』」として広く活躍できる真の国際人の育成を目指します。
国際人といえば、英語を話せる・読めるという語学力が注目されがちですが、自分の国をよく知らない根なし草では国際社会では信用されないでしょう。つまり、英語が使えると同時に、日本語と日本を深く理解していなければなりません。しかも、先に述べたタテの歴史とヨコの動きである現代社会・現代文化を理解することが、「個」を強くする原動力となります。
このため少人数による実践的な英語教育はもちろん、国際日本学部では在学中に海外に留学するチャンスが学部カリキュラムとして設けてあります。また、留学生を多く受け入れて、キャンパスを国際交流の実践の場にするつもりです。そうした環境の中で、「世界の中の日本」を学ぶわけです。
これまでの比較文化学であれば、アメリカなりヨーロッパに行ったほうが早い。そうではなくて、国際社会における日本とは何か、どうあるべきかを考える学部ですから、根っこをきちんと日本に置いて、現代社会や現代文化と、その背後にある歴史を踏まえた上で「国際社会の視点」を持つことが目的となります。いわば新しい「国際教養学部」であり、大変に先端的な試みだと思います。
研究する対象も、日本の現代社会、現代文化、そして国際社会というナマモノなので、これまでの研究モデルや理論が通用しない分野ばかりです。だからこそ、興味深く、ワクワクしながら勉強できると思いますよ。
そして、この先端的な分野をバックアップするのが、やはり2008年度から発足する大学院の教養デザイン研究科なのです。学部での教育実践と大学院での研究を相互にフィードバックさせることで、大きく発展させていくことができるはずです。さらに大学院では、2008年度から情報コミュニケーション研究科をスタートさせるほか、理工学研究科に新領域創造専攻を新設します。モデルなき時代だからこそ、私たちが様々な分野でモデルを創造していかねばならない。明治大学には、その力があると思います。
■熱くなれ、感動を忘れるな
国際日本学部の評判は高く、すでに志願希望者はかなりの数にのぼると聞いております。大学教育全体に関しても、関係者からは「期待以上」という評価をいただいており、ありがたく思っております。

それに慢心することなく大学改革を前進し続けていくつもりですが、やはり私の悲願はスポーツ系学部の新設ということになります。特に最近は感動する場が少ない。ドキドキする感動を、スポーツを通して学生たちと分かちあいたいのです(笑)。現在、カリキュラム、施設のさらなる検討を進めて積極的に準備していきます。
スポーツに限らず、「熱く」ならなければ人生は少しも面白くありません。自分の資質を信じて、世界に飛び立っていく志を持ってほしい。何かやり遂げるべきことを自ら見つけ出して、それに向かって、一歩前へ。これが明治の精神なのです。
安全なところで失敗のないことをやるのでなく、他から無謀とみられてもいいから一歩前に出る。そんな気概と熱意を持った若者を、明治大学は全面的に支援します。