協力/朝日新聞社出版本部「大学ランキング」編集室
取材協力/日本評論社 「法律時報」編集長 串崎 浩氏
現在、司法改革の雑誌「Causa(カウサ)」も編集しており、「法科大学院構想は注目している。
各大学にその理念の実現を期待したい」と語る。http://www.nippyo.co.jp/



【お問い合わせ先】03-5427-1778(法科専門大学院(仮称)開設準備室)
【住所】〒108-8345 東京都港区三田2-15-45
【URL】http://www.lspre.keio.ac.jp/


【お問い合わせ先】0426-74-2312(法科大学院開設準備室)
【住所】〒192-0393 東京都八王子市東中野742-1
【URL】http://www2.tamacc.chuo-u.ac.jp/law-school


【お問い合わせ先】03-5275-8110(本部)
【住所】〒101-8375 東京都千代田区九段南4-8-24
【URL】http://www.nihon-u.ac.jp/
法科大学院設置予定場所:現・お茶の水スクエアビル(2002年12月取得)


【お問い合わせ先】03-3264-9880(ロースクール担当)
【住所】〒102-8160 東京都千代田区富士見2-17-1
【URL】http://www.hosei.ac.jp/


【お問い合わせ先】03-3296-4082 (広報部)
【住所】〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1
【URL】http://www.meiji.ac.jp/


【お問い合わせ先】052-937-8111(法科大学院設置準備委員会)
【住所】〒461-8641 愛知県名古屋市東区筒井2-10-31
【URL】http://www.aichi-u.ac.jp/


【お問い合わせ先】06-6368-0006(企画室)
【住所】〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35
【URL】http://www.kansai-u.ac.jp/


【お問い合わせ先】0798-54-6339(ロースクール開設準備室)
【住所】〒662-8501 兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155
【URL】http://www.kwansei.ac.jp/


【お問い合わせ先】06-6721-2332(代表)法科大学院設置準備室 内線2307
【住所】〒577-8502 大阪府東大阪市小若江3-4-1
【URL】http://www.kindai.ac.jp/


【お問い合わせ先】078-435-2603(法曹養成高等教育研究所)
【住所】〒658-8501 兵庫県神戸市東灘区岡本8-9-1
【URL】http://www.konan-u.ac.jp/
http://lawschool-konan.jp/(法曹養成高等教育研究所)

 
少子化による受験者数の低迷で大学を取り巻く環境が大きく変動している今日、教育分野はかつてない改革の必要性を迫られている。そのような中、学校側も新しい教育のあり方を模索しはじめ、特色あるカリキュラムを提案する大学が増えてきた。21世紀の社会を担う若者たちを育成する教育の現場。その最新の取り組みをシリーズで紹介する。第1回の今回は、「ロースクール構想」。2004年4月に「ロースクール(法科大学院)」が開講されるのにともない、注目されている。国民参加型の司法制度や知的財産権、企業のリスクマネジメントに対応できる司法のあり方を追った。
〈注〉TA=ティーチング・アシスタント





 法曹界が抱えている問題を解決するために、日本はいま、司法改革に着手している。その一環として実施する日本版ロースクール(法科大学院)の開校は、法曹界変革の根底部分として考えられている。法科大学院から巣立った法律家の善しあしによって法治国家としてのクオリティーが問われるからだ。その意味からも各大学がどのような姿勢で開校の準備をしているのか気になる。
 現行の司法制度の中で、さまざまな問題が指摘されているが、とくに経済活動の国際化と国民の価値観の多様化によって紛争調停の必要な場面が増えているにもかかわらず、裁判にたずさわる裁判官、検察官、弁護士の数が不足していることが挙げられている。現状を打破するため、高い能力の法曹人口を増やすことを柱とした司法改革は時代の要請といえる。
 現在、日本の法曹人口は、約2万人強いるが、2018年(平成30年)頃までに実働法曹人口が5万人規模まで増える見込みだ。
 これからは、司法が国民にとって身近な存在になって、これまで敷居が高かった法律事務所の扉を容易にたたける環境も必要だろう。国民が裁判の判決に加わる「裁判員制度」の導入が実現すれば、これまでにないスキルが法曹界で求められるようにもなる。山積している課題を解決し、ベストな態勢での法科大学院の開校を期待したい。



朝日新聞編集委員(『大学ランキング』編集長) 清水 建宇

 全国に679ある4年制大学のうち、法学部か法学科を持つ大学は93あり、入学定員は計3万8千人を超えます。
 法学の勉強がもっとも直接的に役立つ仕事は、裁判官、検察官、弁護士の法曹ですが、その資格を得るための司法試験は難しく、今年も4万5千人あまりが出願して1183人しか合格できません。法学部出身者のほとんどは企業や官庁に就職するため、大学は法曹志望者のための教育に特化できず、司法試験をめざす学生たちは受験専門校に通わざるを得ない、という事態が続いてきました。
 法科大学院は法曹の専門職を養成する教育機関です。体系的な法律知識だけでなく、実際的な解決能力の教育にも重点を置きます。文科系や理工系学部、社会人からも多彩な人材を受け入れ、8年後には司法試験合格者を3倍の3000人に増やす計画です。
 法曹専門の大学院ができれば、学部ではカリキュラムを見直し、法学の基礎や周辺学問に力を入れ、法学以外の副専攻を選択させることもできます。これは法学教育を根底から変える契機になるでしょう。
 日本の司法は、担い手である法曹人口が諸外国に比べて極端に少なすぎると、指摘されてきました。弁護士のいない自治体は半数を超えています。特許権や医療などの専門的な問題にも十分対応できていません。
 法治国家の基本は、国民が望むリーガルサービスを等しく受けられるようになること。法科大学院はそのための一歩です。




平良木 登規男 法科専門大学院(仮称)開設準備室長

 安政5年(1858年)に福澤諭吉によって創設された慶應義塾は「独立自尊」「気品の泉源」「智徳の模範」を建学の精神とし、このような精神を身につけた数多くの法曹が輩出してきた。ここで培われた実績と伝統をさらに発展させるべく、法科大学院の設立を企図し、国際性、先端性及び学際性を柱に国際競争にも強い法曹の育成を目指す。
 そのため、1学年230名の定員のうち70名程度を法学未修者とし、他学部出身者や社会経験を積んだ者等を予定し、幅広く意欲的かつ積極性のある学生を求めることにしている。一方、教員についても、研究フィールドを確立し、かつ幅広い素養を持った研究者教員と、他分野にわたる選択科目を担当する教員、とりわけ知的財産権、企業法務、渉外法務、金融法務などに深い経験と素養を持った研究者教員及び実務家教員を予定している。このうち実務家教員については三田法曹会の全面的なバックアップの下に、大学にとらわれず、広く裁判官、検察官、弁護士から採用するほか、渉外弁護士事務所との提携(実務家教員の派遣)も予定するなど、質の高い教育を提供する。
 カリキュラムの特色としては、総合大学の利点を生かした他分野との提携による先端的あるいは学際的法分野(例えば、医学部との共同による医事法、理工学部との提携による知的財産法、湘南藤沢の各学部との提携によるサイバー法等)の発展、さらに他分野の法的支援を図るべく準備中である。
 さらに、地上11階、地下5階の新校舎建設を予定し、IT対応施設、ライブラリー、自習室を設けて、学習の支援を行う予定である。



小島 武司 法科大学院開設準備室長

 中央大学の歴史は明治18年(1885年)の英吉利(イギリス)法律学校に始まる。実際的実用主義を重んじるイギリス法に学び、理論と実践の融合を教育理念に多くの実務法曹を育て、現在の法曹界の約2割を同大学出身者が占めるという実績と伝統を有する。この実績と校風を基盤に、専用のライブラリーや自習室を備えた市ヶ谷キャンパスで都心展開する法科大学院は最大規模の1学年300名の独立研究科として質の高い法科大学院を目指す。教員には優れた研究者教員はもちろん、研究者としても有能な同大学出身の実務家などを多数迎え、共同作業により教育と研究を活力あるものにする。
 カリキュラムの特色として、英米法等の基礎法学の充実とともに「企業再編と法」「知的財産法」「ビジネス法務戦略」等の先端展開科目を配置し、国際的ビジネスローヤーの養成を主眼とする。同時に立法・行政機関、国際機関、NGOなど公共政策、公共訴訟や人権擁護の各分野で活躍できる法曹の養成も重視する。さらに、アメリカの法曹資格もスムーズに取得できるようアメリカのロースクールとの提携も計画する。
 リーガルクリニックは(1)法律相談と(2)独自に設置するローファームにおける訴訟クリニックを設営する。エクスターンシップは中央大学法曹会の全面協力により、東京に150、地方に150の法律事務所で展開し、学生のために幅広い選択肢を用意し、実務感覚と創造的思考を育む。各種の奨学金を充実させて、幅広く多様な層から学生を受け入れ、また独自の基金を創設して研究・教育の高度化を推進する予定である。



瀬在 幸安 法科大学院開設準備総括責任者

 日本大学は明治22年(1889年)に、日本初代の法務大臣を務めた山田顕義が日本の精神、伝統を生かしながら、西欧の法制度を取り入れ、国家の近代化のために学べる学校を設立しようと志し、「日本法律学校」を設立したことに始まる。現在では14学部、18大学院研究科からなる日本最大の総合私立大学として発展した。
 平成16年度にスタートする法科大学院は、この建学の精神に基づき、全学のバックアップ体制の下に独立研究科の形をとる。
 教員は裁判官、検察官経験者や先端部門に精通した実務家を含め、全国から気鋭の研究者教員、また法学部及び他学部の教員、さらに学術交流協定を結ぶ外国のロースクールからも専任及び客員教員を迎える。すでに数名の教員予定者は同大学の総合科学研究所に所属し、開設に備えている。
 カリキュラムの特色として、法律基本科目は15〜20名単位で開講し、少人数できめ細かい指導を行い、また専門性を重視するコース制も検討する。さらにすべての学問領域に対応できる日本大学の特徴を生かし、先端展開科目では他分野の専門家と共同して「法と医療」「環境法」「土地法」「知的財産法」などを開講する。エクスターンシップは日本大学法曹会の全面的協力を得て出身者の法律事務所を中心に展開する。
 独自の給付奨学金制度の創設や都内に学生寮を完備し、全国規模で優秀な学生が入学できる環境を整える。またお茶の水(旧主婦の友社跡)に設置するIT対応の専用棟はライブラリーと自習室等を完備し、多数の法曹を生んだ本部の「司法研究所」は改組し、TA体制や新司法試験対策にも十全な対策を講ずる。



浜川 清 法科大学院委員長代理

 法政大学の歴史は明治13年(1880年)にフランス法学の流れをくむ金丸鉄、伊藤修らが代言人(弁護士)業務と法学教育の必要に応えるべく創設した「東京法学社」に始まり、多くの法曹が輩出した実績と伝統を有する。
 法政大学法科大学院は、この実績と伝統の上に司法制度改革の理念が示す具体的な事件を通じて、法や社会規範を新たに創造、発展、展開できる質の高い法曹の養成を目指す。
 独立大学院としての開放性を重視し、1学年の定員100名は、法政大学法学部出身者だけでなく、他学部、他大学、社会人を広く受け入れる。
 教員組織はとくに優れた先進的研究に基づき実務教育を行える能力を有する若手、中堅研究者教員とともに、高い研究業績、教育歴の豊富な多数の実務家教員で構成する。
 カリキュラムの特色としては、先端科目に会社合併・倒産、債権回収、証券取引法、経済刑法、知的財産法など企業法務に関連する科目、法曹資格を有する公務員養成のための行政法関連科目、アジア関係に強い政治学スタッフによる国際取引の背景を理解できる科目などを準備している。また25名を一つの単位として複数開講を予定する法律基本科目は、すでに法学部で実験授業をはじめ、教材づくりに着手している。
 IT対応の法科大学院専用棟には専用ライブラリーと自習室のほかに、実際に事件を受任する付属の法律事務所を設け、クリニック科目にもとくに力を入れることを予定している。独自の奨学金制度とTA制度、新司法試験のための補習制度など学生支援にも万全を期す。



納谷 廣美 法学部長

 明治大学の歴史は明治14年(1881年)、フランス留学から帰国した岸本辰雄と宮城浩蔵が矢代操とともに、自由民権思想の定着を法律学を通じて実現しようと考え、「明治法律学校」を創設したことに始まる。その建学の精神は「権利自由」「独立自治」にあり、これまで多くの在野法曹が輩出するとともに日本初の女性法曹を誕生させた実績と歴史を持つ。
 1学年定員200名の法科大学院は、この「明治法律学校」の歴史と伝統を踏まえ、国際的な視野を持った法曹の養成を目標とする。
 教員は実務と法学教育の接点を見据えながら、司法試験委員をはじめ司法研修所教官経験者など法曹養成に豊富な経験を持つスタッフ、企業法務や官庁出身のスタッフの就任を予定している。
 カリキュラムの特色として、先端展開科目に研究者教員、他分野の専門家、実務家が共同で教える「医療・生命倫理と法」「ジェンダーと法」「知的財産と法」「環境と法」「企業実務と法」等、学生の専門分野の選択肢を広げる学際的で多彩な科目を用意している。また、ロー・クリニックについては法科大学院独自の法律事務所を設置し、同時に伝統ある「法律相談部」の経験を生かすことを考えている。エクスターンシップは明治大学法曹会の全面的バックアップのもとに出身者の法律事務所を中心に展開する。授業は、東京・お茶の水に建設が進められている新タワービル「アカデミーコモン」内で行われる。また、法科大学院独自の奨学金など、学習支援体制の充実も計画されている。



堀 彰三 法科大学院設置準備委員長

 愛知大学は、昭和22年(1947年)に法経学部を開設し、中部地方でもっとも伝統のある旧制法文系大学として、設立当初から「真の国際人の育成」「地域への貢献」という精神を基調としてきた。これまで、中部地方の私大としては、最多の司法試験合格者が輩出している。法科大学院は、名古屋の中心部に位置する車道キャンパスに設け、こうした精神を将来にわたり実現することを目指す。
 定員は1学年30名。最小限の学生数に対して、きめ細かく手厚い教育環境を実現し、国際的素養を持った企業法務法曹、地域に貢献するホームドクター的法曹になりうる優秀な人材の養成に力を入れる。そのため、企業に勤める人や司法書士などの法律職で法曹を目指す社会人向けの入学試験を検討し、特別枠により潜在能力の高い社会人に門戸を開くことを計画している。
 カリキュラムでは、国際取引法、知的財産法などの先端科目に専任教員を配し、契約実務などの科目では国際実務も内容に含める。また国際的素養を持つ法曹養成のため、中国、アジアを中心とした諸外国と交流が盛んな同大学の実績を生かして、現代中国法などの外国法の開講を予定している。
 学生支援システムとして一部給付と貸与型の特別奨学金制度の新設を検討しており、24時間利用型のロースクールスペースにはローライブラリーと1人1席のキャレルデスクを配し、生活面でのカウンセリングも兼ねる若い弁護士をTAとして迎えて、学生の目線での援助を計画する。さらに名古屋弁護士会との密接な連携により、研究もできる実務家の養成という特色も打ち出す。



山中 敬一 法科大学院設置担当者法学部教授

 明治19年(1886年)、児島惟謙(当時大阪控訴院長)らの指導を受けた若い司法官が中心になり、「関西法律学校」として創設された関西大学の建学の理念は「学の実化」。理論を実務に応用しようという法科大学院の理念と一致する。同大学院の目標は正義の守り手に加え、グローバルソーシャルシステムの構築に貢献できる人材育成。とりわけ、21世紀社会が求める自由と人権の守り手であり、メガコンペティションに伴って世界規模で生起する法律問題を解決できる法曹の需要に応える教育体制の具体化を検討している。
 教育システムは、定員100名に対して、基礎学力を持った法曹を育てることをベースに知的財産法や金融法、国際経済法などの先端科目を用意し、経済官庁出身者や外国人法曹のほか、民事、刑事法には高裁長官経験者を専任で迎えるなど、実務を意識した人事とカリキュラム編成を行っている。さらに大学独自で法律事務所を開設し、リーガルクリニックを展開するだけでなく、法曹資格取得後の進路も念頭に置いた教育体制も計画する。
 施設面では、ロースクール棟に専用ライブラリーを設けて、学生全員が自習できるスペースを確保し、建物内の各所に設置したパソコン端末からデータベース等へのアクセスを容易にする。また、若手弁護士による指導体制やTA制度を整備して学習をサポートするほか、大学独自の奨学金制度を検討するなど、全学的な体制の下で学生支援システムの充実を図っている。アメリカのロースクールとの教育連携も検討しており、関西法曹界に影響を持っている同大学の新たな展開が期待される。



加藤 徹 ロースクール開設準備室長

 関西学院大学の建学の精神であるキリスト教主義は、第4代院長C・J・Lベーツ氏が提唱した"Mastery for Service(奉仕のための練達)"に具体化される。そして従来の法学部教育は社会現実にアクセスする態度(Social Approach)により教育効果を上げている。
 この二つの基礎の上に立って法曹養成にあたる法科大学院は、国際的に活躍できる法曹、企業に強い同大学の伝統を生かし企業法務で活躍できる法曹、鋭敏な人権感覚を持ち、社会的弱者の権利を守ることのできる市民法曹の育成を目指す。関西企業や法曹界、そして大学全体から期待は大きく、現在1学年の定員は100名を予定している。
 カリキュラムの特色としては国際関係科目、企業関係科目、現代社会と法関係科目群の3本柱を予定する。そして、企業法実務科目など「実務」科目は専任の実務家が担当し、問題に即し一貫した授業展開を行う。またアメリカ法などは英語授業として開講し、海外のロースクールとの提携によりLL・Mの資格やアメリカの法曹資格を取得させることも検討している。このため、入試では特に高い語学力のある学生を一定数優先的に入学させるなどの方策も検討している。教育方法は少人数教育を重点とし、法学未修者を対象とした「基礎演習」の開講をはじめ、クラス担任制による学力と人格形成を目的にきめ細かい指導を行う。施設面ではロースクール専用棟を建設し、最終学年に1人1席のキャレルを与えるとともにすべての座席からネットワーク接続を可能とする。また法科大学院独自の奨学金制度を検討している。



鈴木 茂嗣 法科大学院設置準備委員

 昭和24年(1949年)に設立された近畿大学は、建学の理念に「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人の育成」を掲げ、広い教養と良識を持ち、常に未来に挑戦する人材を育成するため、実践的学問、実学を重視した教育を実践してきた。法科大学院はこの建学の理念を法曹教育の面で実現することを目的に、幅広い良識、健全な市民感覚と、グローバルで多角的な視座を持ち、チャレンジ精神旺盛な法曹を育成することをめざす。
 そのため、1学年の定員は60名とし、専任教員15名を中心に、実務家教員には検察官経験のある弁護士、渉外弁護士などを配し、よく目が行き届く規模で法律基本科目を重視した密度の濃い教育を予定している。また、学生構成として3割以上の他学部出身者を受け入れ、多様な人材の育成を目指す。
 カリキュラム面では、まず国際取引法、国際租税法や中国法中心のアジア法など国際関係科目を充実し、外国人刑事手続などの先端的科目のほか、外国人弁護士による英語法文書作成等の実務的科目も開講する。さらに地域社会に貢献する法曹養成という視点から、中小企業が多い東大阪地域での貢献を念頭に、その特有の問題を取り扱う「小規模閉鎖会社法」等の開講も予定している。
 またTA制度を充実し、学習、教育面で学生の支援、相談体制をとるとともに、ロースクール棟には1人1席のパソコン端末付きキャレルデスクとロースクール専用のライブラリーを用意する。さらに特待生に対する授業料免除制度などの奨学制度を検討するなど、学生への経済的支援システムの検討も進んでいる。



谷口 勢津夫 法曹養成高等教育研究所長

 甲南大学では、すでに本年10月に「法曹養成高等教育研究所」を開設し、教員、実務家による教育の内容・方法を含めた多面的な研究、模擬授業など法科大学院開設に向けた具体的準備を本格的に進めている。
 定員は1学年60名。設置基準の約2倍の専任教員を配し、少人数教育をベースに、特に法学部出身者だけでなく、他学部出身者、社会人も積極的に受け入れる開放性・多様性のある法科大学院を目指している。教育面での特色としては、経済界で活躍する人材が多数輩出している同大学の伝統を受け継ぎ、知的財産法、経済法などの企業法務基幹科目や企業法務の体験を目的とする「企業実務」科目を充実させ、実際に企業法務で活躍できる法曹の養成を目的とするカリキュラムづくりを進めている。
 学生支援システムとして、学生約10名に1人の割合でTAを配し、教員―TA―学生という人的つながりも大切にしながら、法曹を目指すための責任指導体制をとる。施設面でも、ロースクール棟を新築し法廷教室だけでなく、学生用キャレルデスクとパソコンの端末設備を設置し、自学自修の環境を提供する。
 さらにこうした教育システムの構築だけでなく、法科大学院の付属機関として、法学研究のリソースと実務の経験を架橋するために「企業法務研究所」(仮称)を創設する準備も始めており、一貫したプロセスの中で質の高い企業法務法曹の育成を目指している。大学・学園全体でバックアップする体制がしっかりできており、その中で奨学金制度も検討されるなど、トータルな勉学環境重視の姿勢がうかがえる。



霞ヶ関総合法律事務所 弁護士 川端 和治氏

 法科大学院に寄せる期待は、当然ながら質の高い法律家を多数育て、国民と司法の距離を短くすることにあります。身近にいて信頼できる弁護士を増やして、小さなトラブルでも気軽に法律事務所に足を運ぶようになる環境が望ましいのです。 
 そのためには、市民とのかかわりを大切にした教育も必要で、面談や交渉などカウンセラーや、コンサルタント的な技術を身に付けて対話できる能力を育むことが大切です。これからの弁護士は、「社会生活上の医師」として、法廷の外でも活躍しなければならないのです。
 その一方で、知的財産権や金融法務、国際取引法などの専門性を持った人材の育成に対応しなければなりません。その意味からも法科大学院には、市民レベルから企業法務まで対処できる法律家の育成へ向けて、多様な人材を受け入れてもらいたい。法学部以外の学部出身者や十分な社会経験を積んだ人など、異なる道を歩み、法学以外の専門性を身につけた人たちが刺激しあうことで幅広い能力を持った多様な法律家が育つからです。理学、工学、文学、哲学、経済学など、多様なバックグラウンドを持つ法律家が、今、必要とされているのです。
 法科大学院が、法曹を志す人が、受験テクニックから離れ、法の理念とそれを使う技能を学ぶ場となることを願っています。


日本弁護士連合会 司法改革調査室嘱託 弁護士 道 あゆみ氏

 米国では州によって独自の法律が存在し、各州ごとの法曹資格と司法試験制度があります。そして、法律家を志す人は、日本の大学院レベルに相当するロースクールで3年間(J・Dコース)学びます。
 アメリカのロースクールは、実際の事件を扱って進められる臨床教育や模擬裁判、法文書作成などのカリキュラムを導入するなど、実務家としての人材育成に視点が置かれています。双方向性を大切にした教育現場はエネルギッシュで印象的。学生は授業の予習に苦しみますが、教室では先生が学生の質問に丁寧に対応してくれます。ただ、学費が高いのが大きな悩みです。米国は奨学金制度が充実しているものの、それでも高い。日本の奨学金制度は、米国に比べて貧弱といわれています。ぜひとも今後、米国以上に奨学金制度を充実させ、平等に法曹教育が受けられる環境づくりをしてほしいと思います。
 また米国は、基本的に弁護士として経験を重ねた後に、裁判官や検察官になるシステムなので、司法試験に合格したら、多くが弁護士として司法界へデビューします。その弁護士の勤め先は、日本とは比べものにならないほど多種多様。法律事務所にこだわらず、非営利団体組織や行政機関など、弁護士として活躍できる土壌が成熟しています。日米の優れた部分を導入した、新しい法曹養成制度の実現を期待しています。

 



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