大学プロジェクト【理工系】未来を切り開く東京4理工





 子どもたちの理系離れが広まり、少子化問題と併せて理工系大学を取り巻く環境は厳しさを増している。東京4理工では、小・中・高校生を対象にした理科・工学の体験教室を実施し、科学技術教育の導入としている。
 内容は、暮らしに身近な科学や化学を紹介するものから、子どもたち向けに大学が独自に開発した工作ロボットキットでの工作教室までさまざま。大学生が主体となるケースから、大学教員による講義が用意されるものまで各大学の個性が表れている。
 こうした若年層への取り組みは、次代を担う子どもたちの理系回帰という成果を得るだけではない。体験教室をサポートする学生たちにとっては、子どもたちとの交流が大きな刺激となっていて、コミュニケーション能力の向上に役立つことから「特色ある大学教育支援プログラム(GP)」に選ばれているものもある。
 さらに、体験教室を開催しているキャンパスでは、周辺地域との交流が活発化しているという。若年層への取り組みは、大学の社会貢献活動としても重視されはじめているようだ。



技術者育成を先駆してきた理工系4大学

 東京4理工は、工学院大学、芝浦工業大学、東京電機大学、武蔵工業大学から成り、いずれも明治から昭和初期にかけて創設され、技術者育成の先駆を務めてきた理工系大学だ。各校の卒業生は、日本の科学技術の進歩・発展に貢献し、戦後の高度経済成長はもちろん、技術立国へと躍進する一翼を担ってきた。
 技術の進化はとどまるところを知らず、技術分野の多様化・細分化をもたらしてきた。こうした状況のなかで、技術者は今まで以上に専門的で幅広い知識が求められるようになっていった。
 東京4理工は、テクノロジーを取り巻くこれらの環境変化にいち早く対応し、次代を担うエンジニアの育成のために「学術と教育の交流に関する協定」を1996年1月に締結。「東京4理工」として大学の枠を超えた理工系教育体制を確立したのである。
単位互換から大学院修士課程まで相互協力
 協定による協力体制には、東京4理工の学生ならば、各大学の授業科目を聴講料等なしで受講でき、卒業に必要な単位として認められる「単位互換制度」がある。また、各大学が得意分野を開放し、多様な科目が専攻可能という「大学院カリキュラムの相互開放」。さらに、大学院への「特別推薦入試制度」もあり、各大学の学部生が相互に大学院修士課程に入学できる。
 未来を見据えた若年層への取り組みと共に、明日のテクノロジーを担うエンジニアの育成に情熱を注いでいる東京4理工は理工系大学が歩むべき道をこれからも示し続けていくだろう。

工学院大学
【学部】
工学部第1部
(機械工学科/機械システム工学科/応用化学科/環境化学工学科/マテリアル科学科/電気システム工学科/情報通信工学科/建築学科/建築都市デザイン学科)
情報学部
(コンピュータ科学科/情報デザイン学科)
グローバルエンジニアリング学部
(機械創造工学科)
工学部第2部
(情報通信メディア工学科/建築学科)
【選抜方法】
AO入試
公募推薦入試
センター試験利用入試
特別入試(S日程)
一般入試(A・B・M日程)
【問い合わせ先】
新宿キャンパス アドミッションセンター入学課
〒163-8677 東京都新宿区西新宿1-24-2 
TEL:03-3340-0130
FAX:03-3342-5304
八王子キャンパス
〒192-0015 東京都八王子市中野町2665-1
http://www.kogakuin.ac.jp

芝浦工業大学
【学部】

工学部
(機械工学科/機械工学第二学科/材料工学科/応用化学科/電気工学科/通信工学科/電子工学科/土木工学科〈社会基盤コース・社会システムデザインコース〉/建築学科/建築工学科/情報工学科)
システム工学部
(電子情報システム学科/機械制御システム学科/環境システム学科/生命科学科〈生命科学コース・医療福祉コース〉※2008年4月開設)
【選抜方法】
AO入試
センター試験利用入試
一般入試(前期・全学統一・後期ほか)
【問い合わせ先】
芝浦工業大学 入試課
〒135-8548  東京都江東区豊洲3-7-5
TEL:03-5859-7100
FAX:03-5859-7101

【受験生応援サイト】

http://office.shibaura-it.ac.jp/nyushi/

東京電気大学
【学部】

未来科学部
(建築学科/情報メディア学科/ロボット・メカトロニクス学科)工学部(電気電子工学科/環境化学科/機械工学科/情報通信工学科)
理工学部
(理工学科〈サイエンス学系/情報システムデザイン学系/創造工学系/生命理工学系〉)
情報環境学部
(情報環境学科〈ネットワーク・コンピュータ工学コース/先端システム設計コース/メディア・人間環境デザインコース/コミュニケーションデザインコース(2008年4月新設)〉)
工学部第二部
(電気電子工学科(2008年4月新設)/機械工学科/情報通信工学科)
【選抜方法】
センター試験利用入試
一般入試(A日程・B日程・C日程・工学部第二部))
【問い合わせ先】
東京電機大学 入試センター
〒101-8457  東京都千代田区神田錦町2-2
TEL:03-5280-3511
FAX:03-5280-3599
http://www.dendai.ac.jp

武蔵工業大学
【学部】

工学部
(機械工学科/機械システム工学科/原子力安全工学科(2008年4月開設予定)/生体医工学科/電気電子工学科/エネルギー化学科(2008年4月名称変更予定)/建築学科/都市工学科)
知識工学部
(情報科学科/情報ネットワーク工学科/応用情報工学科)環境情報学部(環境情報学科/情報メディア学科)
【選抜方法】
AO型入試
公募推薦入試
センター利用入試
全学部統一入試
一般入試(前期・後期)
【問い合わせ先】
武蔵工業大学 企画広報室
〒158-8557  東京都世田谷区玉堤1-28-1
TEL:03-3703-3111 
FAX:03-5707-2112
http://www.musashi-tech.ac.jp

 

工学院大学タイトル
工学院大学外観 工学院大学では八王子キャンパスで小・中・高校生を対象とした理科教室(正式名称は、工学院大学わくわくサイエンス祭「大学の先生と楽しむ理科教室」)を毎年夏に実施している。14回目の開催となった今年も約7000人の子どもたちが参加し、理科振興事業としてだけではなく、教育活動による地域貢献としても注目されている。
 この教室は、教員と学生が設定した80以上の実験・観察テーマのなかから子どもたちが自ら選び、先生役の学生の手ほどきを受けながら、理科や工学の楽しさを体験していくというもの。
 理科教室の実行委員長でもある三浦宏文学長は「本来の目的は子どもたちに工学の魅力を体験してもらうことですが、子どもの素朴な疑問や質問に答える学生のコミュニケーション能力の養成にも大きく貢献しています。現在では社会人基礎力の向上のための実習として、本学の教育活動の一環に位置づけています」と語る。
 この理科教室は文部科学省の定める「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」にも採択されている。これを受け、現在では八王子キャンパス周辺地域のみならず、幅広い地域の自治体や教育機関の要請により、出張理科教室も実施している。
 「今、大学教育には専門知識を学生に授けるだけでなく、社会で通用する人間力の育成も期待されている」と語る三浦学長。細分化・グローバル化が進む現代の工学分野では、他分野との協調も必要不可欠なため、集団創造を可能にする豊かな人間力は欠かせないという。
 昨年度は119年続いてきた工科系単科大学から「工学部」「情報学部」「グローバルエンジニアリング学部」の3学部体制へと改革を実施した工学院大学だが、時代を見据えた変革が留まることはない。医療工学や工学と社会学を結びつける社会システム工学なども検討しており、広がりをみせる工学分野への対応も視野に入れ、2012年の創立125周年に向けて進化を続けている。

芝浦工業大学タイトル
芝浦工業大学外観 芝浦工業大学では1984年から小中高生を対象とした「少年少女ロボットセミナー」を開催。組み立て式の芝浦工業大学オリジナルロボットの制作を通じて、子どもたちの工学への興味や創造力を養っている。3日間にわたって実施されるこのセミナーでは、さまざまな素材を用いて世界で唯一の「マイロボット」作りにも挑戦し、最終日には完成したロボットのデザインコンテストやボクサーロボット同士のバトル大会も催される。このセミナーは、ロボット教材を用いた創造性教育の総合的な取り組みとして、2003年にグッドデザイン賞を受賞している。
 「プラモデルと違い、ロボットというメカニズムに触れることで探究心を喚起することが教育的な狙いです。このセミナーには具体的にモノが完成する楽しさがあります。その楽しさが、子どもにとって学ぶ楽しさになればと思います」と語るのは学事部の大坪隆明部長。「こうした事業は、大学にとって社会との接点となるもの。今後はさらに積極的にかかわっていく必要がある」とも語る。
 社会との接点という意味で、昨年江東区にオープンした豊洲キャンパスでは、地域の人が自由に出入りできる開放的な造りが特長となっている。定期的なオープンカレッジのほか、地域貢献、地域連携をテーマに「大学開放Day!」を実施。科学実験ショーや工作教室なども開催し、地域住民に広く大学の姿、そして理系の今を伝えている。
 今年で創立80周年を迎える芝浦工業大学だが、さまざまな周年事業と共に、教育プログラムにも新しい動きが見られる。その一つが工学部ではじまった基底科目(数学・物理・化学・英語)だ。工学部としての基礎学力確保を目的に、工学部の学生は全員が統一基準による試験にパスすることをめざすようになった。このほか、2008年度にはシステム工学部に工学と医学・生物学を融合させた生命科学科が新設される。
 活力を取り戻しつつある日本のメーカーでは技術者のニーズが高まっている。そうしたニーズに応えられる理系の層を広げ、『仕事に強い学生』を育成していくために、芝浦工業大学の新しい一歩は踏み出されているようだ。

東京電気大学タイトル
東京電気大学外観 最新の電気・機械を第一線で扱える技術者養成をめざし、1907年に設立された電機学校を前身とする東京電機大学。日本を代表する発明家としても知られた初代学長・丹羽保次郎の名言「技術は人なり」を建学の精神とし、実学重視の人材育成を続け、これまでに19万人以上の卒業生を世に送り出している。
 今年創立100周年という節目を迎えた同大学では、「次の100年へ向けての変革の時期」と位置づけ、新たなスタートをした。
 藤田聡工学部長は「全学改編は、次代への改革の第一歩です。改革は世の中の動きに合わせて連続的に行う必要がある」と持続的な改革を実施していくとし、これからの100年に向けては「今までのようなドラスティックな発明・発見だけでなく、テクノロジーの安全性や環境性能を高める技術の育成も大切だと思う」と、技術者モラルなどの人間教育もさらに重要になるだろうと予見している。
 実学重視の同大学では、創設から今日まで時代のニーズに応える人材育成に務めてきた。卒業生は、一人ひとりが社会的信頼を広く築いており、その結果、景気低迷期でも学生一人に対して20件以上の求人が寄せられていたという。
 理工系の道を学ぶということに対して、「日本でナンバーワンの技術者になれれば、おそらく世界トップクラスの技術者といえます。こんな例えができるのはエンジニアの世界ならではでしょう」と藤田工学部長は語る。この100年の間に日本が磨き続けたテクノロジーは、世界をリードするレベルにある。その洗練された技術や知識を次の世代に伝え、未来の日本の礎を築いていくために、東京電機大学は新たな100年の歩みをスタートしている。
 同大学の若年層への取り組みは、理工学部による公開講座「親子で学ぶ おもしろサイエンス」がある。この講座は小中学生と保護者を対象とし、身近な題材を科学的な視点で紹介していくというもの。さまざまなテーマで夏〜秋季に開催中で、詳細はホームページで確認できる。

武蔵工業大学タイトル
武蔵工業大学外観
 1929年に工学教育の理想を求める学生たちを中心に武蔵高等工科学校として設立された武蔵工業大学。学生たちの独立自主への思いを、公正、自由、自治という建学の精神に込め、創立以来、少人数制教育で高度な専門性と幅広い総合力を有する人材育成に取り組んできた。
 同大学が若い世代に工学の魅力を伝えるため実施しているのが、毎年夏に実施している中・高校生対象の「バッテリーカーコンテスト」と小・中学生対象の「科学体験教室」だ。大学では「創立75周年事業のプレイベントとして教職員が一丸となってプロジェクトチームを作り、始めたものです。しかし、開催ごとに反響が大きくなり、周年事業が終了した2003年以降も継続しています。社会貢献や地域貢献といった大学の使命を果たす活動として、これからも重視していきたい」としている。
 「科学体験教室」では、学生たちが主役となり子どもに科学の魅力を伝えている。「理論や技術ではなく、理系の面白さを体験し、興味を増してくれれば大きな成果。工学の魅力を子どもたちに伝える側の学生たちにも、学ぶべきことが多いイベント」と大学側はいう。
 また、今年度から新しい教育システムとして工学部と知識工学部に、同系統の複数学科を「学群」とし、1年次は全員が学群単位で学ぶ「学群制」を導入。08年からは、知識工学部に「マネジメント学群」を新設。両学部あわせて6学群となる。加えて、原子力利用の安全性を求めて機械学群と電気・エネルギー学群にまたがる「原子力安全工学科」と同大学初の化学系学科の「エネルギー化学科」(「環境エネルギー工学科」から名称変更)を新設する。
 また、文系も理系も学べる環境情報学部でも学びのプロセスと将来の進路をより明確にするため、今年度より学習のガイドラインとなるコース(履修モデル)を導入した。
 「学科等の名称は、分かりやすさを優先している。もちろん、時代に応じた見直しも適時に実施している」という同大学では、09年度に系列校の東横学園女子短期大学との統合により、2つの文系学部の設立も計画している。
 約80年の工学教育の伝統と実績を継続し、新しい学部と共に総合大学へと変化しはじめる武蔵工業大学。移りゆく時代を見据えた改革により、新たな姿に進化を遂げようとしているようだ。


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