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キャリアアップを目指す「社会人のための大学院」ガイド 社会人のための大学院・専門職大学院特集

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社会人インタビュー Vol.16

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ICTとビジネスとクリエイティブを学ぶ新機軸の大学院で
デジタル時代のメディア産業を考える

 日本初の株式会社立大学院として2004年に開設されたデジタルハリウッド大学院。ビジネス、ICT(インフォメーション&コミュニケーション・テクノロジー)、クリエイティブの3つを融合した知識と能力こそが次世代のリーダーに求められる資質と定義し、社会人にも門戸を拡げている。そこで大手出版社でデジタルコンテンツ制作に携わりながら、同大学院で学んでいる山本春秋さんに、特徴的な授業などについて話を聞いた。

デジタルハリウッド大学院
デジタルコンテンツ研究科
修士課程1年
山本春秋さん

(プロフィール)
1975年東京都生まれ。東京大学文学部卒業後、中央公論新社に入社。単行本や女性誌などの編集に携わる。07年秋に小学館に転職し、ネット戦略室にてデジタルコンテンツを手がける。09年8月、デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツ研究科に入学。

――入学動機を教えてください。
大学卒業後、出版社に就職して、最初は単行本や女性誌などの紙媒体の編集に携わってきました。その後、現在の会社に転職してから、電子書籍などのデジタルコンテンツを担当するようになったので、関連する本やインターネットなどで知識を習得してきました。ですが、デジタルの世界は変化が早すぎて、独学では心許ない。一度きちんとした教育を受けたいと考えるようになったのです。そこで調べてみると、デジタルハリウッド大学院ならば、デジタルとコンテンツとビジネスに関することをバランスよく学べると知り、私の希望に合致していると思いました。教授陣が実務家中心である点も魅力的でした。
デジタルハリウッド大学院はトライセメスター制といって、1年を3学期(4月〜7月、8月〜11月、12月〜3月の3学期)に分けています。入学時期も4月、8月、12月と年3回あり、私は5月中旬に大学院の存在を知り、8月に入学しました。競合するような教育機関がほかに見あたらなかったこともあり、受験することについてはほぼ即決でした。修了時に取得できる学位も「デジタルコンテンツマネジメント(DCM)修士」というのですが、これは世界でも類例がないと言われています。
 
――仕事と学業を両立させるポイントは?
授業は平日夜間と土曜の昼間です。平日の開始時間が午後7時ですので、退社後でも十分通えるのですが、仕事量とのバランスが大事です。というのも、私も最初の学期(8月〜11月)は張り切って6科目履修し、週に4日間通学するスケジュールを組んだのですが、平日に2コマ授業がある日は終わるのが11時15分で、残って質問などをしていると、家に着くのは12時を回ってしまいます。これでは体力が持たないと、次の学期は科目数を減らしました。
デジタルハリウッド大学院は1年間でも修了できるので、私も当初はそれを狙っていたのですが、2年間または3年間と時間をかけてじっくり学ぼうと入学後に考えを変えました。そうすれば仕事が多少忙しくなっても、精神的に余裕を持って大学院に通えますからね。
ちなみに、家族は妻と1歳の子供ですが、平日は寝顔しか見られないので、日曜日にはできるだけ一緒に過ごすようにしています。家族サービスですが、一番のリフレッシュにもなりますね。
――興味深い授業は何ですか。
カリキュラムは基礎科目と専門科目、それに研究実践科目に分かれていて、基礎と専門はいわゆる座学で知識をインプットする授業。それをアウトプットするのが研究実践科目で、ここにはラボ(ゼミ)、プロジェクト、特ゼミ、イノベーションゼミがあります。
特に面白かったのは、まず、専門科目の「コンテンツ海外展開手法」ですね。映画のライツビジネスの最前線で活躍されてきた内田康史教授が担当で、映画を海外で公開するノウハウや現場の裏話などを、具体的かつ明快にレクチャーしてくださいます。私の会社でも映画事業を行っているので、この科目をきっかけに自分でも映画ビジネスを手がけてみたいと強く思うようになりました。
アウトプットする方のラボでは、荻野健一教授が担当する「メディアコミュニケーションゼミ」に参加しました。ポイントは各種のメディアを活用し、地域の活性化をはかること。学生はグループごとにビジネスプランを立てて、発表します。そこで私たちは大河ドラマで注目を集めている高知県を選択。高知県を活性化させるために、ブランディングをしつつ、地元の人々の意識を高めるための政策を考えてみたのです。6人のグループメンバーとディスカッションを重ねて、最終的に「土佐のいごっそうプロジェクト」と題し、各種のイベントやツイッターを使ったキャンペーンなどを企画しました。単に地域ブランディングにとどまらず、そこにツィッターなどの最新テクノロジーを組み合わせるところがデジハリらしさところだと思います。
特ゼミも履修しました。こちらもビジネスプランを立てるのですが、より実践的で、学生は2学期(8か月間)を通してビジネスプランを練り上げます。それを毎年2月に行われる「ビジネスプラン発表会」でプレゼンするのですが、ここにはベンチャーキャピタルなどの投資家も参加し、「これぞ」というプランには出資を行います。つまり、学生は授業を通して起業のチャンスをつかめるわけで、デジハリの看板ゼミとなっています。
担当の小田実教授は大手監査法人でベンチャー支援業務に携わってきた方ですので、リアルに厳しく指導していただきました。私はiPhoneを使った個人蔵書管理サービスを考えてビジネスプラン発表会でプレゼンテーションを行いました。新しいビジネスへの投資を真剣に考えている方々の前で発表できたのは、本当にいい経験になりました。
――大学院で得たことは何でしょうか?
先ほどのビジネスプラン発表会での経験が一番大きいのですが、プレゼンテーション能力が高まったと思います。本来あがり症で、人前に立つと頭が真っ白になるタイプだったんですよ(笑)。こうしたことは本を読んだだけでは身につきませんからね。数多くの発表の場があるということは、デジハリの強みだと思います。
デジタル技術はもの凄いスピードで進化していますし、先生方も毎年授業内容を新しくするなど、追いつくのに必死と聞きます。そうした方々の最新の話を聞き、私もキャッチアップしていきたいと思います。というのは、私が所属する出版業界も、旧来の紙媒体からデジタルへと大きく状況が変わりつつあります。アップルのiPadやアマゾン・キンドルなど、最先端の新型デバイス(情報端末)が日本でも普及するようになれば、そこで電子書籍を読む機会もぐっと増えるでしょうし、書籍や雑誌のありかたもさらに変わっていくでしょう。デジタル化によって旧メディアは駆逐されてしまいそうな勢いですが、それに何とかして抗いたいし、むしろそれを利用して新しい波を作っていけば、今後もメディア産業として生き残っていける。そのための知識武装をできることが、この大学院の最大のメリットだと思います。
――これから大学院に入ろうと考えている社会人にメッセージをお願いします。
悩んでいないで、踏み込んでみようということですね。学費という金銭的な問題に躊躇することもあると思いますが、企業によっては福利厚生や社員教育の一貫として補助金を出してくれるケースもあります。社員のトレーニングは本来は企業が行うべきであり、それを自らやろうとしているポジティブな社員を支援しないような会社は、今後ダメになると思いますよ(笑)。実は私も研修制度を利用して、入学金の一部を会社から援助していただいています。ですから、自分の経験を踏まえ、大学院に興味があれば願書を取り寄せる、お金が足りないなら会社に相談してみるなど、まずは行動を起こすべきだと思いますね。
山本春秋さんのスケジュール 2010年1学期の場合