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キャリアアップを目指す「社会人のための大学院」ガイド 社会人のための大学院・専門職大学院特集

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社会人インタビュー Vol.47

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英語教育の実践に理論の裏付けを求めて入学。
小人数制の大学院でフレキシブルに学ぶ 

 文京学院大学大学院外国語研究科では高度な英語力を備えた国際人や教員の育成を目指している。働きながら学ぶ人も少なくないが、大学や専門学校で英語講師を務める東本裕子さんは「社会人大学院生への対応が柔軟で仕事と両立できるように様々に配慮していただきました。学ぶ内容も教育現場にすぐに役立つものが多く、とても有意義でした」と話す。

文京学院大学大学院
外国語学研究科英語コミュニケーション専攻
修士課程2年
東本裕子さん

(プロフィール)
1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、総合商社に就職。人事などで約2年勤務した後、退職して米国に留学。結婚・出産・子育てを経て、大学と専門学校で英語講師を務める。現在は横浜商科大学に勤務。2013年文京学院大学大学院外国語学研究科英語コミュニケーション専攻に入学。

――大学院入学の動機を教えてください。
10年以上も専業主婦をした後に英語講師として社会復帰したものの、経験だけでなく理論も学んでよりよい授業できるようになりたいと思ったのが入学動機です。
私が大学を卒業した頃は、完全な売り手市場で複数の企業から内定をいただくことができました。教育学部だったので教員免許を取得しましたが、それよりも興味をひかれた総合商社に一般職として就職することにしたのです。人事部に配属されてそれなりに充実した日々を過ごしていたのですが、カリフォルニアの大学に留学する機会を得て、退職することに。1年間留学して、異文化コミュニケーションや女性学を専攻しました。
帰国後、外資系企業に社長秘書、通訳として勤務しましたが、結婚することになり、相手が海外勤務となったので退職。その後、出産と育児のために専業主婦になりました。下の子が小学校に入学した頃に社会復帰しようと日本女子大学のリカレント教育講座で勉強。その時に文京学院の中学・高校で帰国子女を対象にする英語講師を探しているという情報を得て応募したところ採用され、それがきっかけとなってほかの大学や専門学校でも英語を教えるようになりました。
これが4~5年前のことですが、改めて自分のキャリアを振り返ると英語は学生時代から得意でしたし留学経験もありますが、英語の教育方法については20年前に教職課程を取った時点からアップデート出来ていませんでした。また、同僚である講師の方々は修士や博士の学位を取得していましたので、私も大学院に進み、英語教育に関する理論を新たに習得して修士号を取ろうと思ったのが大学院入学の動機です。
――文京学院大学大学院を選んだ理由はなんですか?
ほかの大学院も検討したのですが、文京学院大学大学院を選んだ理由は、付属の中学・高校で教えていたのでその学風に慣れていたことが挙げられます。実は受験の直前期に体調を崩して入院していたのですが、その時に目にした新聞に文京学院大学大学院の学生募集広告が載っており、まだ3次選考には間に合うことを知って、何か運命的なものを感じました。それから急いで研究計画書を用意して、受験に臨みました。
――入学後の率直な感想はいかがでしょうか?
小人数制であり、しかも私の学年は同級生が2人しかいないので、時間割を調整するなど非常にフレキシブルに対応していただけるのが助かります。たとえば夜間に設定されている科目でも先生の都合が許せば昼間に移せるなど、大人数のクラスでは難しいこともここなら可能になるのです。
入学後も仕事は続けており、また母親として子供と過ごす時間も確保したいと思っているので、このように柔軟に対応していただける大学院は私にとって最高の環境です。
――具体的な1週間のスケジュールを教えてください。
修士1年のときは月・水・木曜に大学で講師の仕事をしていたので、大学院には火曜日と金曜日に集中して通学していました。また、ほかにも履修したい科目があったので、遠隔授業でご指導いただきました。
週末は子供と過ごす時間にして、大学院の予習やレポート作成は平日にこなすと決めていましたから、その時間配分が一番苦労しました。1日のスケジュールでは、夜9時半に子供と一緒に就寝。午前2時に起きて勉強。5時を過ぎたらお弁当作り。電車の中でもテキストを開くなど、隙間の時間を無駄にしないように心がけました。
――興味深い科目はなんですか。
「女性とキャリア研究」は自分の経験も踏まえながら、女性がキャリアを積んでいく方法とその可能性を考えることができました。受講生にスリランカからの留学生がいたので彼女の話を聞いたり、担当の石黒久仁子先生が他国の事例を紹介してくださったりして、多角的に学べたのも良かったと思います。
「異文化コミュニケーション」は昔から研究テーマの一つにしていた分野です。このクラスでは40代の男性と20代の男子学生がいたので、その世代間の差や、私を含めたジェンダー観など、様々な視点から異文化について考察できて面白かったです。
仕事に直接的に役立ったのは「第二言語習得研究」です。第二言語というのは英語のことですが、その効果的な授業法を考える内容でした。例えば、私は講師として学生に宿題という負荷を与えますが、それが多過ぎるとやる気を失わせてしまう可能性があるものの、後で振り返ってみれば「あの時に頑張って良かった」という充実感につながることもあります。その加減が難しいのですが、この授業を元に改めて考え直すことができました。ほかにも学生への接し方など感覚的に行ってきたことが、実はある理論に基づいていたと分かるなど、経験とリンクすることが多々あり、仕事への裏付けが得られました。
――修士論文について教えてください。
修士論文のテーマは「二言語話者の使用言語によるアイデンティティの変容と背景文化から受ける影響について」です。二言語話者というのはバイリンガルのことですが、たとえば英語を話しているときは陽気に話す人が、日本語になるとおとなしくなったりすることがあります。また日本に長く住んでいる外国人でも母国語ではおしゃべりなのに、日本語になると印象が変わる人がいます。この差は男性よりも女性にあると思いますが、言語にはコミュニケーションのツールという役割だけでなく、背景にある文化や話す人への社会的な期待が込められているのだと思います。このようなことをバイリンガルの男女約240人にアンケートやインタビュー調査をして論文にまとめました。
ちなみに社会人経験があるとそれだけ友人関係も広いですから、調査に協力してくれる人が見つけやすいというメリットがあります。この点からも、私にとっては今こそが学ぶ最高のタイミングだったと思います。
――今後の豊富を教えてください。
修士の次は博士という目標もありますが、まずは大学院で習得したことを仕事の現場に役立てることを考えています。
大学進学率は50%を超えており、しかも英語は多くの大学で必修科目になっています。その義務感で授業を受けている学生も少なくないですが、少しでも興味を持ち前向きに取り組める授業を行って、英語の面白さや外国人と会話する楽しさを知ってもらえるように努力したいと思います。
東本裕子さんの1週間のスケジュール(2013年、修士1年の場合)