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キャリアアップを目指す「社会人のための大学院」ガイド 社会人のための大学院・専門職大学院特集

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大学院に聞きました! Vol.10
筑波大学専門職大学院
国際経営プロフェッショナル専攻

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すべての科目を英語で開講
国際的な環境で実践的なマネジメント能力を育成

 少子高齢化は言うまでもなく、人口まで減少し始めてきた日本社会。内需拡大も不可欠だが、どんな産業も海外に市場やネットワークを求めなければ生き残れない時代になってきたようだ。そのために必要なのは、国際共通語である英語を駆使して、多国籍の人材と事業をマネジメントできるインターナショナルなビジネスリーダーである。

 筑波大学専門職大学院国際経営プロフェッショナル専攻は、すべての科目が英語の授業であり、教員も学生も国際的。いわば国内で海外留学と同じ環境で学べるため、専攻長のキャロライン F・ベントン教授は「修了直後から海外事業を任せられる人材に成長します」と語る。

学生の3割、教員の4割が外国人


筑波大学専門職大学院
国際経営プロフェッショナル専攻
専攻長
キャロライン F・ベントン教授

 キリンとサントリーの合弁話は水泡に帰したようだが、その目的は飲料分野の世界的シェアの拡大であり、中国などアジアの市場を見据えたものだったといわれる。同じ目的から日本の企業が海外企業をM&A(企業買収)したり、その逆も今後はますます活発化していくと考えられる。

 いわば「グローバル化の進展」は海の向こうからやってきた受け身的な事態ではなく、むしろ停滞しつつあるアジアの島国・日本が、これから国際市場で伸びていくための重要な経営戦略といっていいだろう。

 しかしながら、経営幹部や若いビジネスリーダーで英語に堪能な人材は決して多いとはいえない。このことから「このままでは経営幹部に外国人が増加する」と不気味な予測をする人もいるくらいだ。海外での交渉・折衝・事業運営などを一括して任せられるからだが、そうなると日本人は狭い日本のマーケットだけを担当することになり、上層部への道も閉ざされかねない。

 筑波大学大学院専門職大学院国際経営プロフェッショナル専攻は、英語でMBA-IB(インターナショナル・ビジネス)と略されているように、そうした時代を見据えて、世界を相手に活躍できるグロバールマネジャーの育成を目的として2005年に開設された。最も際立った特長は、すべての科目が英語で開講されており、学生の3割、教員の4割が外国人という国際的な環境である。

 その一方で、キャンパスは東京千代田区神田神保町という超都心にあり、授業も平日は午後6時20分から午後9時まで、土曜は午前8時55分から午後9時まで。仕事と並行して学べるため、「海外留学も考えていた社会人が少なくないですね」と大野忠士教授は語る。

 昨今の経済環境で海外経営大学院への企業派遣は急減しており、かといって自費留学はハイリスク。だが、筑波大学大学院は国立であり、しかも仕事を続けられるから、かなりおトクな選択肢といえるだろう。

 それでも英語が心配というビジネスマンのために、カリキュラムの前に朗報から紹介しておきたい。

TOEIC®700点後半ならOK!

 前出の大野忠士教授は「TOEIC®700点台の後半で入学しても大丈夫。ただし、論理的な英語が話せることが条件。入学選抜では英語による面接も行いますが、発音や文法もさることながら、やはり重視するのは入学動機や目的。これまでのバックグラウンドをベースとして、それをいかにロジカルに説明できるかということです」という。

 社会人学生は35歳前後でビジネス経験10年以上が多く、もともと英語が得意な外資系社員も目立つのだが、「おもしろいのは、必ずしも入学時の英語の力と成績の相関が高いわけではないことです。ただ一様に英語の力は伸びますね」と専攻長のキャロライン・ベントン教授は微笑む。

 それほど英語が上達するのは、授業が英語で行われるというだけでなく、数多くのグループワークが課されるからだ。

 「ファイナンスなどの理論を学ぶ科目はレクチュア形式ですが、私が担当する経営戦略やマーケティング系はケーススタディが多くなります。この時には5人程度がグループとなり、討論を繰り返して事例を分析。それをクラスでプレゼンテーションします。その中に留学生も加わるので、英語でやりとりしなければなりません。このプロセスで実践的な英語力がアップしていくのです」(前出・ベントン専攻長、以下同)

 グループワークは授業時間内だけで完結できないため、必然的に学外でも「英語漬け」の毎日となる。プレゼンテーションも英語であり、この時には声の大きさから、理想的なアイコンタクト、抑揚や強調すべきポイントまで丁寧に指導するという。教員も前述した大野教授やベントン専攻長のように国際的な実務経験者が揃っており、外国人を相手にそのまま使える実践的なノウハウを身につけられるのである。

テレビ会議による海外連携グループワークも

 カリキュラムは、MBAで一般的な(1)組織経営、(2)事業戦略に加えて、国際ビジネスで必須となる(3)国際対応、そして(4)応用情報の4領域で構成されている。

 中でも(3)国際対応領域では、国際知識とグローバル経営、グローバルスキル、それに異文化経営が含まれており、いきなり海外に赴任しても困らない内容といえるだろう。

 また、(4)応用情報はビジネス数理、シミュレーション、データ解析からオペレーションズマネジメントなど本格的な定量分析手法を学ぶ。MBAは文系分野なのだが、こうした分析の基本を理解しておかないと科学的なマネジメントができなくなる。このため、数学の苦手な人には初歩の微分・積分を教える補講も用意しているという。

 また、同大学院ならではの授業が海外大学院との双方向テレビ会議による連携講義だ。現地の外国人学生2名と日本人学生2名がグループとなり、与えられたテーマをもとに討論を繰り返し、その分析結果や提案をプレゼンテーションする。リアルタイムなので、時差がちょうど逆のフランス・グルノーブル大学院と、日本時間に近いインドネシア大学院との連携授業を行っている。

 「グループとして分析結果や提案をまとめなければならないので、学外でもスカイプやEメールなどでコンタクトを続けなければなりません。相手は外国人なので最初は苦労しますが、そのラーニングプロセスが大切であり、異文化を体感として理解していくことにつながるのです」

修了要件のプロジェクトは英語でA4・50ページ

 1年目はコア科目と、こうしたグループワークなどが中心となり、2年目はプロジェクトワークが主体になる。専門職大学院なので修士論文は必要ないが、自分の抱えている課題に対する分析と提案や、新しい事業などを経営計画書としてまとめるわけだ。

 このプロジェクトでは、海外インターンシップをテーマにすることも可能であり、毎年数名が国際連合やベトナムのODAなどを経験しているという。

 様々なテーマによるMBAとしての総仕上げになるのだが、提出する書類は当然ながら英語で、しかもA4・50ページ前後は必要。大野教授は「多数の資料も読み込まなければならないので、この大学院のハイライトですね。それまで学んできた国際マネジメントの統合であり、ロジカルな英語力も一気に高められます」と説明する。

 1学年の定員が30名とこの分野では少数精鋭なので、学生同士はもちろん教員との交流も密接であり、「リーダーシップやコーチングスキルなども含めて、切磋琢磨しながら協働して海外で戦える人材を育成しているわけですね」とベントン専攻長は付け加えた。そんな人たちが、これからの日本を再び元気にしていくのではないだろうか。

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