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大学院に聞きました! Vol.21
早稲田大学大学院
創造理工学研究科経営デザイン専攻

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経営工学の理論と手法を身につけた、プロフェッショナル・マネジャーを育成

 早稲田大学大学院創造理工学研究科の経営デザイン専攻は、2010年に設置された新しい専攻である。ただし、1935年の工業経営分科をルーツとしており、この分科は日本における経営工学の先駆けだったという。そして現在では「MBAやMOTプログラムと異なり、事業革新をデザインする実践的な経営技術を身につけた人材」を育成すると定義されている。同大学院の大成尚主任教授は「具体的な経営理論と手法を身につけ、事業を実際に設計できる人材です」と説明する。

ヒト・モノ・カネと情報の最適活用を立案できる実務人材


早稲田大学大学院
創造理工学研究科
経営デザイン専攻
大成尚主任教授

 たとえば、あなたが新しい事業を発足させるとする。商品開発や組織づくりの理念あるいはコンセプト、マネジメントやマーケティングは、MBAという経営学の分野かもしれない。しかしながら、現実のビジネスではサプライチェーンの設計や、生産プロセスの開発・管理という実務が必要になってくる。ヒト・モノ・カネ、それに情報という経営資源を効率的に活用して、より高い成果を生み出す事業運営を計画しなければならない。

 既存の事業運営の改革にしても、「やってみなければ分からん」では経営とはいえないはずだ。つまりは経営工学に基づいて、設計図が描けて投資や効果を計算できる人材が不可欠にもかかわらず、経営学系のMBAがあまりに有名になり過ぎたせいか、理工系がその陰になってしまった観は否めない。

 早稲田大学大学院創造理工学研究科に新設された経営デザイン専攻は、そうした経営工学に関するプロフェッショナルの育成を目標としており、より分かりやすく表現するなら、CEO(最高経営責任者)というよりCOO(最高執行責任者)といえるかもしれない。

 そうした人材がいなければ、メーカーであれ流通業であれ、投資効率の高い現場オペレーションができなくなるわけだ。担当者が体験的に、あるいは試行錯誤でこなしてきたといえるかもしれないが、これを科学的で合理的、かつ効率的とはいえないだろう。

 「マネジメントのパフォーマンス評価は経営学の分野で、これを具体的にどう設計・運営するかが経営工学、つまり経営デザイン専攻なのです。MBAと最も違うのは、経営デザイン専攻には多数の方法論があります。ビジネスプロセスの改革や新規構築にしても、その目標達成のためにどれだけの投資とヒトなどの資源が必要かを計算できます。そして、こうした手法は産業や業種を問わず応用できるのです」(大成尚教授、以下同)

 経営学はケース(事業事例)に詳しく、経営論(社会科学)も含まれているが、経営工学ではマネジメントの技法に強く、その理論的な柱として経営論もカバーしているという格好になる。いずれにしても、大企業になればなるほど、そして事業の発展段階では欠かせない人材を育成するものなのである。

理論と手法をドッキング。それを演習科目で実践

 経営デザイン専攻では、履修領域を次の4つで構成。ここから領域を選択して、関連科目を履修していくことになる。

1)テクノロジー事業デザイン
 先端技術に基づいた革新的な事業創造のマネジメント技術
2)商品開発マネジメント
 顧客価値の高い製品・サービスの企画・開発プロセスのマネジメント技術
3)グローバル・環境経営デザイン
 グローバル企業の世界展開における製品戦略とバリューネットワーク計画のマネジメント技術
4)競争力マネジメント
 製造・流通・販売プロセスにおける現場力の改革・改善のマネジメント技術

 いずれも解説の最後に「マネジメント技術」という文言があるが、それに対応するのが理論科目と手法科目である。特に手法科目ではコストエンジニアリング、品質マネジメントシステム、経営計画分析技法、リスクリテラシーなど10科目を設定。数学を使ったモデリング技法も少なくないので、文科系には少々難関だが、理系出身者がこのスキルを身につければ、たちまち経営トップの片腕的な存在になれそうだ。

 また、ケース科目として、経営幹部のキャリアアップの道を辿りながら目標設定や課題の取り組み方を伝授する「技術系経営幹部講話」と、「経営課題対応事例研究」がある。

 これらは講義科目だが、ここで学んだ手法をトレーニングするのが「演習科目」だ。プロジェクト研究演習と研究指導演習があり、中でもプロジェクト研究演習は先の4つのマネジメント領域ごとに設定された6つの経営課題に対して、グループワークとして取り組む。

 「これからはモノ+サービスの未来に可能性があります。だから私たちの演習におけるマクロなテーマも、次世代の商品とビジネスプロセスの設計や、新幹線など日本の技術をどう海外にアプローチすべきか、安くて優れた商品はどうすれば可能か、あるいは先端的材料研究と、それをベースにした新事業の立ち上げなど多岐に渡ります。これらのうち3つは履修して修了していただくので、かなり実力がつくと思います。この大学院で学んだことを、企業で実践していただければ、日本の会社も国際競争力を格段に強化できると思いますよ」

実務経験5年以上の社会人なら、1.5年で修了も可能

 経営デザイン専攻では、より実践的な知識・能力を習得するため、一般的な修士課程の修了要件よりも多い40単位の履修が必要となっているが、社会人の場合は、「社会人特別履修プログラム」として、実務経験5年以上を条件として30単位が修了要件となり、1.5年で修士号が授与される。

 キャンパスは東京メトロ副都心線「西早稲田」駅に直結しており、授業は平日夜間と土曜日に開講されるので、仕事と並行しても十分に学べる。

 この修士課程の到達目標は、社会人の場合は「技術ベースの事業経営リーダーとしてのマネジメント総合力の修得」。表現は難しいのだが、経営工学を活用して、既存の会社の組織やビジネスのあり方を革新して、大きく伸ばすこと、といえるだろう。

 経営者による理念やコンセプトだけでは、現場の事業設計はできない。これを実現する実務のプロフェッショナル・マネジャーを育成していると考えていただきたい。このため教員には実務経験者も少なくなく、大成尚教授も日立製作所の生産システムの革新などで活躍してきた実績があるほか、カリフォルニア大学で客員研究員、ボストン大学ビジネススクールで訪問教授などを歴任。現在は、日本経営工学会の会長でもある。

 「経営に関して理論的、技術的な裏付けを追求したい人に来ていただきたいですね。とにかく勉強して仕事に役立てたいという知的体力のある社会人を歓迎します」

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