
2012年に新設されたリハビリ3分野の大学院
専門性をさらに高めて総合的な支援力を養成
医療におけるリハビリテーションの重要性が高まっている。高齢者の増加もさることながら、治療だけでなくQOL(クォリティ・オブ・ライフ)、つまり「自分らしく生きること」が大きな課題になってきたからだ。こうしたことから、目白大学大学院では2012年にリハビリテーション学研究科を新設。首都圏では数少ない理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3分野を備えたリハビリテーション系大学院が誕生した。昼夜開講制で、しかも都心からの通学に便利な新宿キャンパスで学ぶため、キャリアを中断することなくスキルや知識を高度化できる。「機能回復だけでなく、障害者の心理的側面から生き方まで含めた包括的なアプローチができる高度専門職の育成を主眼としています」と山田孝教授(専攻主任)は語る。

目白大学大学院
リハビリテーション学研究科
山田孝教授(専攻主任)
近年は治療だけでなくリハビリテーション(以下、リハビリ)も重視する病院が増加してきた。機能回復による早期の社会復帰が必要なことはもちろん、障害の改善は人間としての生き方にも大きく係わってくるからだ。
「高齢者の増加でリハビリの必要性が高まってきただけでなく、全国に大学院が増加して専門職としての認知や評価が高まってきたことも背景でしょう。20年前はリハビリ系専門職の養成は専門学校が中心でしたからね。それが大学となり、大学院と高度化してきたわけです。それだけに、スキルアップや高度な研究知識も求められる仕事になってきたといえるでしょう」(山田教授、以下同)
ちなみに、今年の第1期入学者は10名(男6名、女4名)。内訳は作業療法士7名、理学療法士1名、言語聴覚士2名であり、このうち3名が専門学校出身者という。事前に出願資格審査が必要だが、リハビリ系の有資格者で3年程度以上の実務経験があれば、専門学校卒業者でも入学は難しくないという。年齢上の最多層は30代で、30〜34歳が3名、35〜39歳が4名。
「修了後は主任やリーダーなど指導的な役割へのステップアップが考えられます。それだけでなく、新しいリハビリ手法を専門的に学ぶ絶好の機会でもあります。たとえば、従来は脳疾患で残った麻痺は回復不可能とされてきましたが、近年注目されている川平法という手法によれば、必要とされる神経にピンポイントで刺激を与えることで改善可能なことが実証されました。今後もこうした新しい手法が登場することが考えられるので、その効果を医学的に判断・評価しなければなりません。RCT(ランダマイズド・コントロール・トライアル)など、各種の手法を比較検討するための方法論もスキルとして必要になってきたわけですね。
また、現場にはやらなければいけない課題がたくさんあるので、1人で思い悩むこともあるでしょう。この大学院なら、同じリハビリ系の仕事に従事する学生同士で率直に話し合うこともできますから、得られるものは数多いと思いますよ」
同大学院は、理学療法リハビリテーション分野、作業療法リハビリテーション分野、言語聴覚療法リハビリテーション分野という3分野に分かれているが、それらを横断する共通の基幹科目(必修)と展開科目(選択)が際立った特長といっていい。
たとえば基幹科目では「リハビリテーション研究法特論」として、先行研究のレビューや研究目的・仮説の明確化、結果分析の手法など、リハビリの研究を進める上での基本や実証的研究方法を学ぶ。
「リハビリテーション包括的支援特論」では、すべての人が可能な限り住み慣れた地域で自分らしく生活するために必要な支援・サービスのあり方や、医療・福祉、行政・住民の協働などについて、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の各視点から追究していく。
「単なる機能の回復や改善で終わりではなく、リハビリは人間としての生き方にも大きくかかわってくるものです。障害者のニーズも個人によってさまざまなので、つきつめていけば個人、家族、地域、社会のあり方にまで及ぶキリのない分野。だからこそ、こうした3分野横断的なアプローチが不可欠だと思います。『ナラティブ』と呼びますが、障害や病を持つ人の語りを聞き取って本当のニーズを把握することも重要な手法。それによって、1人1人のリハビリの満足度を向上させることが可能になります。
つまり、自然科学と人文科学の融合による構造的なアプローチが要求されているのです。これもまた、やはり大学院でしか学べないことですよね」
このうち人文科学系の代表科目といえるのが、展開科目(選択)として設定されている「リハビリテーション心理学」といえるだろう。山田教授が担当しており、リハビリテーションの過程などで直面する多様な心理的問題について、特に対象者の多い高齢者を中心に理解していくという。心理学的評価法や心理的介入の方法、家族のケアなどによる問題軽減などの方法を考察する。
その中に、前述の「ナラティブ」も含まれているのである。リハビリを嫌がる、あるいは意欲を持たない人に無理に押し付けても効果は期待できないため、こうした心理的な側面は、今後ますます重要になっていくのではないだろうか。
この3分野共通の基礎科目(必修)と展開科目(選択)と並行して、各分野別の専門科目(選択必修)を経て、研究論文指導演習科目(必修)に基づく修士論文が認められれば修士号(リハビリテーション学)が授与される。
授業は平日なら午後6時半から始まって9時40分まで。この平日夜間と土曜日昼間の授業で修了できるので、仕事を続けながら目指すことが可能だ。新宿区内の交通至便なキャンパスで開講されており、西武新宿線「中井」駅から徒歩8分。都営地下鉄大江戸線や東京メトロ東西線も利用できる。
「リハビリはまだまだ始まったばかりの分野。新しい機能回復の手法をはじめとして、やるべきことは沢山あります。たとえば、がんとどう付き合いながら社会に復帰していくべきか、あるいは脳疾患で障害が残った人はどのような社会参画が可能なのか。そうした人たちにとってバリアになることが、物理的にも社会的にもたくさんあります。言い方を変えれば、社会全体もリハビリの対象になるではありませんか。単に修士号だけを目的にするのでなく、そうした広い視野を持ち、真摯に学問を通して問題に取り組める人に入学していただきたいですね」
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