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特集大学

社会とつながる

豊田工業大学

 トヨタ自動車が社会貢献活動の一環として1981年に開学。当初は社会人学生に限定していたが、1993年から高校新卒者を受け入れ、現在は後者が9割を占める。工学部先端工学基礎学科(機械システム・電子情報・物質工学の3分野)を設置。1学年80名の徹底した少人数制で、工学全般にわたる基礎力の育成を重視。産学一体で体験型の実学教育も推進し、国際産業リーダーの育成に取り組む。

次代とのつながり
次の時代の産業界を担う人間力と技術力のある
サムライ(士)型人材を育成

 超高効率太陽電池やスマート自動車(安全な運転支援システム)など最先端の研究を、豊田工業大学は活発に進めている。「次の時代を拓くための研究と若者の育成、これが本学の使命です」と榊裕之学長は話す。約百年前に世界一の自動織機を発明し人類に貢献した豊田佐吉の言葉「研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし」を建学の理念としている。「創造とは、人や社会の必要に応じ、新たなものを創りだす営みです。創造への志、これが本学の教育と研究の原点であり、佐吉翁から受け継ぎ、次代につなげる精神です」と学長は語る。
 EVやHV(※1)など工業製品の多くは、機械・電子・材料分野の知恵が一体化されている。豊田工業大学では、「ハイブリッド工学」と称し、まず工学を幅広く学ばせる。「広い知識(横線)と深い専門性(縦線)を持つ人材を『T型人材』と呼ぶが、今後は『未来を拓く志』(上の突起)と『学術の基盤的素養』(下の横線)も加えた『士(サムライ)型人材』の育成が大切」と学長は言う。
 今年度から、「創意工夫の力」を高め、「人間と世界の理解」を深めるために、カリキュラムを刷新した。例えば、通常の材料や道具が手に入らなくなったとの想定で、代替手法でものづくりに挑ませるなど、困難な状況の克服や失敗の体験もさせ、それらを通じて創意工夫の力を育てることを目指している。
 教養教育では、「哲学」「経済」「世界と日本」「コミュニケーション」をコア科目に指定した。「人間とは何か」「経済とは何か」「世界と歴史の流れの中の日本」など、人や社会への深い理解が技術者には必須である。同大学が目指す「ヒューマン・アドバンス・テクノロジー(人に優しい技術)」の推進にもつながる。こうした教育を、少人数制を生かして進めている。「どの時代にも困難はある。難局を乗り越え、新たな時代を拓くための創意工夫と人間力を備えた技術者を育成すること。これが本学の変わらぬ使命です」と榊学長は語る。

※1 EV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)


海外とのつながり
国際的な状況を把握し、新たな方向性を示せる
国際産業リーダーを育成

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外国語教育、国際交流促進のための
スペース「i Plaza」
(正式名:International Communication Plaza)

 工学教育には国際性が欠かせない。2003年、豊田工業大学は全米屈指のシカゴ大学と提携し、大学院大学「豊田工業大学シカゴ校」を開設、情報科学分野で共同研究や学生・教員の交流を活発に進めている。以後、欧・米・アジアの22大学とも国際連携を広げてきた。学部生の語学留学に留まらず、大学院への進学が半数を超す状況に応じ、修士や博士課程での高度な海外滞在型教育を強化している。近年、修士入学者の約3割が海外でのインターンシップや正規留学に参加する。同大学では、次代の国際産業リーダーの育成を目指し、卓越した専門性や見識に加え、仲間を牽引する先導力の育成も心がけている。「リーダーには、国際競争に勝ち抜く力だけでなく、自分が属する産業分野が進むべき方向を示す力も必要です。大学院での海外インターンシップでは、共同研究の機会が与えられますが、海外の仲間と協力し、成果を達成せねばなりません。この体験が、国際社会に通用する実践力や創造力の育成につながります」と榊学長は語る。語学教育にも力を注ぐ。多少の訛りにはこだわらず、多くの国の人と効果的に意思疎通できる言語力・英語力の育成を目指す。キャンパス内に、国際的な対話を体験できる場所「i Plaza」を開いた。日本語は原則禁止。学生、留学生、国籍の異なる研究員や教職員が集い、留学報告会、昼食チャット、ワークショップ、異文化パーティーなどを、学生を主体に開いている。全学生の英語に接する機会を増やすため「英語Step-Up Point制」も始めた。従来のTOEIC®や学内試験による能力評価に加え、i Plazaでの英語体験などへの参加実績も考慮する。実践的な努力を重視し、体験を通じた語学力の向上を目指している。

産業界とのつながり
就職率100%(※2)が実証。
産業界と共に育成する、期待に応える次代の人材

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学部1年次、3年次の全学生が
企業の製造・開発現場を体験する学外実習

 「トヨタ自動車をはじめ産業界の支援と協力がなければ、これだけの教育はできない」と榊学長は語る。異分野の技術の融合や複合化が進む産業技術の動向を踏まえ、産学の緊密な協力体制で、工学上の問題を根本から解決できる人材を育てるのが豊田工業大学だ。それを如実に物語るのが恵まれた実習教育。企業派遣の実技指導員の下、優れた設備を用いて行われる学内実習に加え、全学部生が、一流企業の製造開発現場で1カ月余の学外実習を2度も経験する。
 さらに、コミュニケーション力を磨く海外企業でのインターンシップ制度や大学院レベルの企業での研究インターンシップ制度も用意され、まさに産業界との親和性の高い技術者・研究者を、企業と共に育てている。そうした取り組みもあって、豊田工業大学は就職決定率100%を維持し続けている。第1希望への就職率が76%と高く、離職率が3%(※3)と低いのも特色だ。「企業における2度の実習を通じ、企業を深く理解するチャンスがあることや、佐吉翁が様々な困難を克服してきた歴史を学んでいることが効いているのではないか」と榊学長は語る。
 さらに就業力を高めるために、トヨタ自動車から派遣された講師から「トヨタ生産方式概論」を学ばせるなどの取り組みも進めている。昨年度、新たな就職先に東海旅客鉄道(JR東海)やブラザー工業が加わるなど、企業とのつながりはより太くなっている。「小さな大学の良さを生かし、大きな大学がやりにくい取り組みを、先んじて行い続けます。本学のキャンパスは、名古屋から『世界』へとつながっており、チャンスに満ちた大学であると学生に伝えています」と榊学長は言葉を結んだ。

※2 2011年度55名
※3 2005年3月卒業の一般学生(学部41名、修士課程25名)を対象に豊田工業大学が実施。(回答率100%。3年以内離職者2名)


10.9

数字が証明する豊田工業大学の真実

教員1人あたり学生数10.9人の「塾的少人数」が、
高い教育成果を生み出す

※4 豊田工業大学調べ
※5 学校基本調査(文部科学省)より

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 豊田工業大学での全人教育、産業界の期待に応える技術者・研究者の育成の基盤には、開学以来の徹底した少人数制の個別教育があります。教員1人あたりの学生数は10.9人(※4)。私立大学平均21人(※5)の約半数の値です。志のある優れた若者が、尊敬できる師のもとで互いに切磋して勉学に励み、人間としても成長していく。理想的な教育モデルの一つである江戸時代後期の「私塾」から発想、現代にマッチした塾的環境を生かした少人数教育体制を敷き、大きな大学では実現困難な教育も可能です。講義や実習・実験はもちろんのこと、学生生活における折々の悩みごとに至るまで、学生に寄り添うきめ細かなサポートを可能にしています。また、個人を尊重し、他者との関係性の基盤となる人間性は、1年次の男子学生の全寮制を通じて陶冶されます。社会人の基礎として必須の自主性、自立心、協調性も日常生活を通じて磨かれ、また社会人学生からは、仕事への使命感や緊張感、社会のマナーなどを学び、意欲を高める上で、大きな刺激を受けています。


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