


吹田工場は、大阪府北東部の吹田市にあり、西日本エリアの基幹工場と位置付けられています。吹田市といえば現在はベッドタウンというイメージですが、1891(明治24)年に工場が出来た当時、あたりは田畑が広がるのどかな光景で、ビールに欠かせない水も豊富だったようです。
吹田工場の敷地面積は約16万平方メートルで、およそ甲子園球場4.2個分もの広さだそうです。
「スーパードライ」や「黒生」、プレミアムビールの「熟撰」など全部で8種類のビールを製造しており、昨年度は約30万キロリットル、ビール大びんで換算するとなんと約5億本も製造されたそうです。



ビールは主に麦やホップが原料です。工場見学の最初に、これらを手に取って香りを嗅いでみることができました。この原料を釜で煮こみ、ビールのもととなる麦汁を作ります。次にこの麦汁を一気に冷やし、酵母を加えてタンクに入れます。
吹田工場には大小あわせて約140本のタンクがあり、大きいもので高さが約23メートルにもなります。この巨大なタンクの中で麦汁を発酵させ、その後数十日間低温を保ったまま熟成すると、だんだんビールになってゆきます。熟成後ろ過すると、透き通った金色のビールのできあがりです。最後にびんや缶や樽につめ、西日本を中心に出荷します。担当の方に聞いたところ、お客様にできるだけ新鮮で美味しいビールを飲んでいただくために、必要量を必要時に製造するといったビールの鮮度には大変気を配られているそうです。
また、ビールを作る工程で出る麦芽の搾りかすなどの廃棄物は、全て何らかの形で再利用してゴミゼロを実現したり、CO2排出量の削減のために、省エネルギー設備の導入などに取り組んでおられるとのことです。ここまで見学して、ビール作りでは、麦汁を煮たり一気に冷したりと、沢山のエネルギーが必要だということがわかりました。それではアサヒビールでは、エネルギーを有効に使うために、どのような取り組みをされているのでしょうか。その答えを求めて、工場のバックヤードに潜入しました。




1つは天然ガスコージェネレーションシステムです。このシステムは、CO2排出量が少ないクリーンな天然ガスを燃料として、タービンを動かし電気をつくる自家発電装置の一種ですが、電気をつくるだけではありません。実は、タービンを動かす際に発生する熱をその場で利用できる省エネルギーシステムなのです。吹田工場で使われている電気の実に3割が、このシステムで作られています。
また発生した熱は、麦汁を煮込むときのエネルギーとして利用されています。「エネルギーも作ったところで無駄なく使う」、言ってみれば、エネルギーの「地産地消」ということですよね。これからのエネルギーのスマートな利用方法として、天然ガスコージェネレーションシステムには注目してゆきたいと思います。
もう1つはバイオガスです。吹田工場では、ビールを作る際に発生する排水からバイオガスを作っています。バイオガスは、天然ガスのように燃料として利用でき、吹田工場ではボイラの燃料として使っています。このバイオガスは今、脚光を浴びている太陽光や風力などと同じ「再生可能エネルギー」の一種です。排水からエネルギーを作る。これもエネルギーの有効な使い方ですよね。
普段何気なく飲んでいるビールには、エネルギーを有効に利用する努力が隠されているということがわかりました。これからは、その努力に感謝し、今まで以上に味わってビールを飲みたいと思います。

