リーガル・タフネス宣言
 現在、日本の法曹は社会生活のさまざまな面で多様かつ高度な役割を果たすことが期待されており、法曹の質と量を格段に拡充することが求められています。このような必要性に応えるために、中央大学法科大学院は理論と実務の架橋となる高度な法学教育を行う専門職大学院として開校することになりました。

 私たちは教育上の理念として、@「法の支配」の直接の担い手である法曹にふさわしい専門的能力と倫理観を養成すること、A法律実務に即した実践的教育を行うとともに、高度の法理論教育をも重視し、実務を批判的に検討し発展させる創造的な思考力を身につけさせること、B現代的・先端的な法分野についても十分な理解行うこと――を掲げています。

 中央大学法科大学院は次のような法曹人の養成を考えています。@相続、離婚、マンション紛争などの日常的に生起する生活紛争の解決にあたる「ホームローヤー」。A海外の独占禁止法、知的財産法などに精通し、外国の企業や弁護士と対等に交渉するなど国際舞台で活躍できる「国際ビジネスローヤー」。B立法、行政、国際機関で公の政策立案や実施に参画する「公共政策ローヤー」。

 カリキュラムは、法律基本科目群、実務基礎科目群、基礎法学・外国法・隣接科目群、展開・先端科目群に分かれています。

 法律基本科目群では、1クラス50人以下の規模で授業が行われ、そこには、判例や事例の分析を重視したケースメソッドや、ソクラテスメソッドによる双方向性の授業が行われます。とりわけ、プレゼンテーション能力を開発し、実例を通して自分の意見がどう議論されていくかについて学びます。授業の単元ごとに試験を行うことによって、理解度を確認します。

 基礎法学・外国法・隣接科目群では人間と社会についてグローバルな視野から深い洞察のできる、高い倫理観を備えた法曹を養成する教育を行います。「アメリカ公法」「アメリカ私法」「ヨーロッパ法」「法理学」など、英米法関係の科目が中心となって構成されています。また、アメリカのロースクールと提携し、アメリカの法曹資格をスムーズに取得できるように配慮します。

 実務基礎科目群では、法曹の実務に即した実践的な教育訓練を行います。とくにエクスターンシップ、リーガルクリニックに力を入れています。日本の弁護士の4分の1は中央大学出身者です。エクスターンシップではこうしたOB、OGのネットワークをフルに活用して、全国で300の法律事務所と提携し、春、夏休みに学生を派遣して弁護士実務を学ぶ機会を作りました。大学が設立したローファーム(中央大学駿河台法律事務所:仮称)において、消費者紛争クリニック、雇用紛争クリニック、家事紛争クリニックなどで、依頼者の了解のもとで相談内容にかかわる事例を考えます。ここで、学生は訴訟から判決まで事件のプロセスを学ぶことができます。将来、ローファームは弁護士、公認会計士、税理士、特許弁理士などの専門家が集う複合的体制に発展させ、法科大学院生だけでなく、一般市民へ向けて広く開放する予定です。

 展開・先端科目群では、50以上の科目が用意されています。ビジネス法関連として、「ベンチャービジネスと法」「ビジネス法務戦略」「金融取引と法」「企業取引と法」「証券取引法」「事業再生法」「債権回収法」「コーポレート・ガバナンスと法」「国際経済法」など。市民生活関連分野として、「医療と法」「家事紛争と法」「情報法」「環境法」「IT社会と法」「エンターティメント/スポーツと法」「消費者法」など。公共政策分野として、「実務行政訴訟法」「国際人権法」「政策形成と法」「組織の不正活動と法」「社会安全政策と法」「被害者と法」「矯正と法」などが準備されています。

 このほか、テーマを絞った10人程度の少人数ゼミである「テーマ演習」、大学院博士(後期)課程に進学を希望する法科大学院生のために「研究特論」(リサーチ・ペーパー)が設定されています。

 専任教員は約70人。うち、約20人が裁判官、検察官の経験者や、弁護士などの実務家になります。これとは別に、弁護士経験5年ぐらいのOB、OGが、補助教員として特に法学未修者の学修をバックアップする体制をとります。

 法曹人は、法に対する深い知識と教養が求められるのはもちろんですが、人の気持ちが理解できる、つまり、人間に対する関心と深い洞察力が問われます。タフなコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も欠かせません。これらを養成する法曹教育を目指しています。
/山田省三・開設準備室副室長(談)
 
1学年300人。2年制200人、3年制100人を予定している。
 
約70人の専任教員のうち約20人は経験豊かな実務家教員が占める予定。
 
市ヶ谷キャンパスに開設。データベースなど図書館機能の充実をめざす。
 
平日昼間を中心とするが、科目によっては夜間・土曜日の開講も検討。
 
年間授業料は未定だが、法曹修学者の負担を極力抑えるべく検討中。
 
国レベルで検討中の奨学金制度に加え、中央大学独自の新制度も検討。
 



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