前立腺は膀胱のすぐ下で、尿道を取り囲むように位置する臓器で、精液の一部はここで作られます。近年、超高齢化社会を迎えるとともに、食生活の欧米化に伴って、前立腺がんが急増しています。
以前は尿が出にくい、夜間何度もトイレに行くなどの排尿に関する症状や骨転移による疼痛がでて病院を受診されたときにはすでに病気が進行していて、不幸な転帰をとるというような方が多くを占めていました。すなわち前立腺がんは根治のための早期発見が極めて困難ながんでした。しかし、PSA検査が開発され、1990年代に入って徐々に普及するに伴ってこの状況は大きく変わってきました。
PSAとは Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原) の略で、前立腺上皮細胞で生成され、大部分は精液中に分泌されますが、その一部は血中に入り、血清PSAとして測定されます。
血清PSAはがんだけではなく前立腺肥大症や前立腺炎などの良性疾患でも上昇しますので、高値の方がすべてがんというわけではありませんが、50歳以上の男性で、4ng/ml という基準値を超えるとがんが発見される可能性が高くなりますので、専門医による再検査、超音波検査、直腸診などの精密検査が勧められます。
PSA検査はわずかな採血だけで、侵襲がなく、しかも最も信頼のおける検査ですので、検診にも用いられています。最終的な診断には生検による病理組織検査が必要ですが、最近は超音波ガイド下に行いますので、極めて安全に行えています。
近年はPSA検査の普及によって、以前のように転移を有する進行がんで発見される方は減少し、がんが前立腺に限局した早期がんの状態で発見される方が多くを占めるようになってきました。早期がんであれば、手術や放射線療法で完全に治すことが大いに期待できます。
実際、米国ではPSA検査の普及に伴って、上昇を続けていた前立腺がんによる死亡率が最近は減少に転じています。進行がんでは治療法が極めて限られますが、早期がんであればいくつかの治療法の選択も可能です。
早期発見、適切治療のために、50歳以上の男性は是非一度はPSA検査を受けられることをお勧めいたします。








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