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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

内視鏡新時代。健康診断や人間ドックにも拡大中「鼻からの内視鏡検査」胃がん検診、検査方法は選べる時代へ
 
宮脇 哲丸先生写真

【特別寄稿】

医療法人社団
出雲中央クリニック 理事長

宮脇 哲丸

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鼻からの内視鏡検査は苦痛が少なく、検査中に会話できることから健康な人が受診する「スクリーニング検査」として採用する医療機関が増えている。今後、胃がん検査の受診率向上に貢献すると注目を集めている。

もう内視鏡検査は苦しくない

日本人が一番かかりやすいがんである胃がん。にもかかわらず検診を受ける人は少なく、胃がん検診の受診率も低い状況にあります。その理由の一つとして挙げられるのが、内視鏡検査のときに多くの人が経験するオエッという嘔吐感。一度受けてもうこりごりという人や、経験者から話を聞いて恐怖心を抱いている人が多いのは嘆かわしいことです。

そのような中、患者さんにやさしい検査として広がっているのが経鼻内視鏡検査です。利点は、なんといっても体への負担が少ないこと。使用するスコープの直径はわずか5.9mmの細さです。鼻からの挿入に適したしなやかさで、無理なく挿入できますし、舌の根元に触れないために咽頭反射が起きず、オエッとすることがほとんどありません。「痛くない」「怖くない」という受診された方々の評価から「これなら毎年受けてもいい」という声が多くなっています。

当院で、口からと鼻からの両方で内視鏡検査を受けた人たちにアンケート調査を行ったところ、4728人のうち「次回は鼻から」を希望する割合は93%にも及びます(図1)

(図1)アンケート結果(1)

負担が少なく、すみやかに日常生活へ復帰

経鼻内視鏡の検査を受ける際には口からの検査とは違った前処置を行います。まず、挿入ルートとなる鼻腔の通りをよくするための薬をスプレーし、その後、内視鏡と同じ細さのチューブに局所麻酔薬を塗って鼻腔に挿入、痛みを感じないようにします。

検査した時に「痛かった」とか「鼻血が出た」という話を耳にしたこともありますが、検査をする前に適切な処理をしていれば、ほとんどのケースでスムーズな挿入ができます。

口からの検査の場合は、鎮静剤を使って患者さんが眠っている間に検査を行うこともありますが、このやり方だと患者さんとのコミュニケーションが取れませんし、偶発症などの危険性も否定できません。その点、経鼻内視鏡の場合は局所麻酔だけですから、検査中に医師と会話することができます。モニターに映し出されるご自分の胃の映像を見て質問をしたり、気分が悪くなったらそれを伝えたりすることもできます。

また、眠くなる麻酔を使っていないので、検査終了後はすぐに日常生活に戻ることができます。

健康な人にこそ受けてもらいたい

「経鼻内視鏡は細いので小さな病変を発見できないのではないか?」という質問を受けることがあります。当院で行った1万余例の調査結果では従来の口からの標準スコープと経鼻内視鏡との間にがんの発見率に差はありませんでした。それどころか、早期がんの発見比率は経鼻内視鏡の方が高い傾向が見られました(図2)。5mm程度の早期がんや腫瘍性病変もたくさん発見されており、スクリーニングには何の問題もないという結果でした。

(図2)発見胃がんの比較
 
  経  口  検  査 経  鼻  検  査
期  間  1992.1~2002.1  2002.2~2006.10
検 査 数  5032  6104
発見胃がん  53  62
発 見 率  1.05%  1.02%
早 期 が ん  24(0.48%)  40(0.66%)
進 行 が ん  29(0.58%)  22(0.36%)

今や自分に合った検査方法を選べる時代です。どうせ受けるなら心身ともに負担の少ない検査がいいと誰もが思うはずです。経鼻内視鏡はもともと、口からの検査の苦痛をなくしたいという思いから開発された経緯があります。この検査は、健康な人でも年に1度くらいなら受けてもいいと思っていただける検査といえるでしょう。ひとつでも多くの早期発見につながるように健康な人たちが気軽に受診できるよう、これまで以上に胃がん検診の分野で採用が進んでいくことを期待しています。

宮脇 哲丸

医療法人社団 出雲中央クリニック 理事長

名古屋市立大学医学部卒業後、名古屋市内の協立総合病院、野垣肛門病院を経て、1991年出雲中央クリニックを開設。経鼻内視鏡による検査では先駆者的な存在として知られる。
日本消化器内視鏡学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医、日本外科学会専門医。

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