日本看護協会が資格認定を行う認定看護師は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有する看護師である。近年、その資格を取得する看護師が増加し、適切な看護が必要となる医療現場において大きな役割を果たしている。
認定看護師を養成する6カ月以上の教育課程
認定看護師は、特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた看護師である。水準の高い看護を実践し、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上を図る役割を担っている。
認定看護師になるためには、保健師・助産師・看護師のいずれかの資格を取得し、通算5年以上の実務研修、そのうち3年以上は、全17分野のうち、特定の認定看護分野で実務研修を行っていることが必要である。その上で日本看護協会が認定している認定看護師教育機関に入学し、認定看護師教育課程を修了しなければならない。
認定看護師教育課程は、原則として6カ月以上の連続した昼間の教育である。授業時間数は合計600時間以上と規定されており、分野ごとに定められているカリキュラムは、共通科目(90時間以上)、専門基礎科目、専門科目、学内演習および臨地実習(200時間以上)から成り立っている。認定看護師を志望する者は、この教育課程で集中的に学習し、各自が目指す特定の認定看護分野に関する知識と技術を身に付けることになる。
教育課程を修了すると、日本看護協会が年1回実施している認定審査(筆記試験)の受験資格が得られ、それに合格し、登録することで認定看護師として認定される。
また、認定後には認定看護師としてのレベル保持のため、5年ごとに更新審査(書類審査)を受ける必要があり、看護実践時間、認定看護分野の看護実践と自己研鑽の実績が問われることになる。
認定看護師の17分野 |
新生児集中ケア認定看護師 急性かつ重篤な状態の新生児に対し、母体外での身体的安定を図り、障害を予防するためのケアを行う。また親子関係の形成を支援する。 |
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がん化学療法看護認定看護師 抗がん剤の安全な投与・管理・副作用対策を中心に、がん化学療法を受ける患者とその家族に対して身体的・精神的なケアを提供する。 |
摂食・嚥下障害看護認定看護師 食物を口から食べられない状態にある患者に対し、適切かつ安全な訓練方法を実施できるよう指導し、回復へ向けて患者と家族を支援する。 |
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がん性疼痛看護認定看護師 がんの進行に伴う痛みに対し、鎮痛薬の適切な使用・管理・副作用対策を中心に、痛みの軽減を図るための身体的・精神的ケアを提供する。 |
透析看護認定看護師 透析治療を受ける腎不全患者と家族に対し、個人の身体的・心理的状況に応じたケアを行う。また安全で安楽な透析治療環境を提供する。 |
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感染管理認定看護師 感染防止技術の導入や感染管理プログラムの立案など、院内感染のリスクから患者とその家族を守ることを目指したケア環境を提供する。 |
糖尿病看護認定看護師 糖尿病患者に対し、適切な血糖管理や合併症予防への支援を行う。また患者がセルフケアを確立できるよう支援し、その支援体制を整える。 |
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緩和ケア認定看護師 がんなど治療が困難な疾患の終末期にある患者の苦痛症状の緩和を目指した支援を行い、患者と家族のQOL(生活の質)の向上を図る。 |
乳がん看護認定看護師 治療に伴う副作用に対するケアの計画実施、リンパ浮腫(しゅ)の予防と症状軽減に向けた専門技術の提供、心理社会的な問題に対する支援を行う。 |
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救急看護認定看護師 救命技術やトリアージ(重症度による患者の選別)能力を身に付け、救急外来での初期対応や危機的状況にある患者と家族の支援を行う。 |
認知症看護認定看護師 的確な意思表示が困難な認知症患者の生命・QOL・尊厳を尊重し、発症から終末期に至る病状管理と安全な療養生活環境を提供する。 |
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集中ケア認定看護師 生命の危機状況にある患者の病態変化を予測し、重篤化を回避するための援助を行う。また早期回復へのリハビリとケアの立案実施を行う。 |
皮膚・排泄ケア認定看護師 褥瘡(じょくそう=床ずれ)、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)造設、失禁に伴って生じる皮膚トラブルの適切なケア、排泄管理や指導などを行う。 |
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手術看護認定看護師 手術時の異常の早期発見と迅速な対応、体温・体位管理など、麻酔や手術による心身への影響を最小限にするための安全管理を行う。 |
不妊症看護認定看護師 不妊の問題を抱えたカップルに対し、治療に関する情報提供、カウンセリング、教育および自己決定への支援を行う。 |
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小児救急看護認定看護師 救急時の子どもの重症度緊急度を判断して救命処置を行う。また子どもとその家族への適切な身体的・心理的ケアを行う。 |
訪問看護認定看護師 在宅療養の患者と家族に対して必要な看護技術・知識を提供し、適切な在宅ケアを受けられるように療養環境の確保に向けた支援を行う。 |
認定看護師の役割は実践・指導・相談
認定看護師の認定審査は1997年に開始され、救急看護と創傷・オストミー・失禁看護(現在の分野名は皮膚・排泄ケア)の2分野で認定看護師59人が誕生した。10年を過ぎた今、認定看護分野は17分野まで拡大し、認定看護師の数も3367人と増加している。認定看護師は特定の看護分野において、次の役割を担うものとされている。
(1) 〔実践〕 個人、家族および集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。
(2) 〔指導〕 看護実践を通して、看護職に対して指導を行う。
(3) 〔相談〕 看護職に対してコンサルテーションを行う。
認定看護師は、この3つの役割を果たすことで、看護ケアの広がりと質の向上を図ることに貢献する。自らが水準の高い看護を実践するだけでなく、同じ看護職に対して指導し、また相談に応えることができる能力が求められる。
全国の医療機関では認定看護師への期待が高まっており、院内に認定看護師が配置されていることをホームページなどで積極的に公表しているところも多い。認定看護師の情報は、患者や家族にとって重要な医療情報の一部となっている。看護の質の向上、ひいては医療の質の向上に向けて、認定看護師に寄せられる期待はますます大きくなっている。
【文/浜田 祥弘】












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