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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

足の痛み、重み、かゆみに注意「下肢静脈瘤治療」低侵襲治療でQOLを大幅向上
 
岩井 武尚先生写真

【特別寄稿】

日本静脈学会 理事長
慶友会つくば血管センター 所長

岩井 武尚

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下肢の静脈が太く浮き出てくる下肢静脈瘤。妊娠、立ち仕事、加齢や遺伝などが原因とされている女性に多く見られる疾患で、足の痛み、重み、こむら返り、色素沈着、潰瘍などの症状が出る。以前は、診断にも痛みを伴う検査が必要だったが、最近では超音波検査でより効果的な治療が可能になり、また治療法もより低侵襲の治療法が誕生し、期待が集まっている。

注意が必要な自覚症状のない患者

下肢静脈瘤は極めてありふれた病気です。わが国では1千万人以上の方が程度の差はあれ、この病気に侵されていると言われています。しかしあまりにもありふれているため自覚していない人も多く、その人にとっては、病気ではないと思っているかも知れません。また、女性に多いのも特徴です。

しかしながら、長年この病気を診てきますと、経過が長いために症状に慣らされてしまっていたり、色素沈着や小さなただれ(潰瘍)ができても他の原因と思ってしまったりします。年のせいにしたりして病院を訪れないこと、さらに治すには手術という怖い方法しかない、と言われるのではないかと、尻込みすることなどが病気の早期発見・予防を複雑にしています。

特に女性では、生まれつきの静脈瘤を別にすれば、妊娠・出産を契機に発症する人が多いようです。子育て中は病院に行くことはまれで、我慢してしまうようです。そして、スカートをはくという一種のおしゃれからも遠ざかっていきます。さらに、初期の変化が膝の後ろにでることが多いのですが、自分では見にくいため気がつかないこともあるようです。

足が重い、痛い、色素沈着、潰瘍

脚、すなわち下肢の静脈は表面に見えている表在性静脈と、奥にあって動脈と一緒にある深部静脈とに分かれています。深部の静脈は、まず静脈瘤にはなりませんし、ほとんどの静脈血を運べるだけの余裕があります。したがって表在性静脈はなくてもいいのですが、人間ではその静脈のバルブ(一方通行弁)が壊れて逆流を起こすようになって血液が溜まっていきます。それが静脈瘤なのです。

静脈瘤があると、足が重い、だるい、むくむ、かゆい等のよくある症状と、10年以上も悩むと、こむらがえり、痛み、色素沈着、潰瘍などのやや重症の症状が出てきます。一口に言えば、足の表在性静脈に血液のうったい(物が中にたまる)現象が起こるわけです。

従って、うったいを取ってやれば症状は消失します。足を高くして休む、弾性包帯を巻いたりストッキングをはいたりすることも治療効果があります。肥満は、症状を悪化させます。じーっと立っていることもよくありません。

超音波で検査がより楽に

診断は、昔は静脈撮影という痛い検査をしていましたが、今は超音波を用いて痛くない検査で十分足りるようになりました。また、痛くないので繰り返しできることも便利です。施設によっては、うったいの程度を知ることができる器械で、重症度を測れるようになりました。すなわち治療の前に、静脈瘤の広がり、程度、静脈の機能がわかるようになったのです。どこを治せば効果的かがわかるようになったのです。

からだにやさしい治療

さて、治療です。前に述べた生活習慣などの改善も治療ですが、ここではちょっとだけ痛い治療を考えてみたいと思います。表在性静脈の悪いところがわかったら、悪いところだけを取ってしまうか、固めてしまえば治療は終わりです。取るには麻酔をして静脈を抜き取ります。固めるには静脈を3~5カ所以上で縛って血を止めたり、硬化剤を入れたり、レーザーを用いて血管内腔から固めたりするなどの方法があります。

小さい傷で目立たない

これらの治療はいずれも小さな傷で済み、また治療後のでき上がりも美容外科的手技で仕上げるので見た目にも綺麗です。中でも、レーザー治療は傷が少なくて済みますが、保険が適応されないこと、適用症例が限られることなど注意が必要ですので、事前に確認しておくとよいでしょう。一方で手術のやりくりのできる施設では、どの治療法を行っても日帰りでの治療が可能となっています。

QOLを向上させ前向きな日々を

いろいろな治療のあとは再発や新しい発生を防ぐために、日中の弾性ストッキングやハイソックスの着用をお勧めします。そのほか適度な歩行や、足の清潔を保つことも、悪化や再発を防ぐ上で有効な方法といえるでしょう。

治療を終え、足が軽くなって、醜い静脈瘤がなくなると、患者の皆さんは突然元気になって、社会に、街に、野山に飛び出していくようです。

岩井 武尚

日本静脈学会 理事長
慶友会つくば血管センター 所長

1967年東京医科歯科大学医学部卒業。
1972年米国外科レジデント、血管外科フェローにて留学。医学博士。
1998年母校第一外科教授。
2004年から2007年3月まで同大学血管・応用外科学分野教授。
同年4月から慶友会つくば血管センター所長。

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