睡眠中に呼吸が止まった状態が断続的に繰り返される睡眠時無呼吸症候群。睡眠中に起こるため自覚症状の無い患者も少なくないが、生命に危機を及ぼすケースもあり、早めの適切な診断と治療が大変重要となる。
強い眠気、疲労感と全身への影響
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中にいびきをかきながら、何回も呼吸が止まる現代病だ。無呼吸とは10秒以上の呼吸停止で、1時間の睡眠中に5回以上の無呼吸か、7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸が認められたらSASと診断される。
SASが怖いのは、日中に猛烈な眠気や疲労感に襲われ、交通事故や労働災害などの原因となるからだ。5年前の2003年、JR山陽新幹線の運転士が突然睡魔に襲われ、居眠り運転に陥った原因がSASであったことはまだ記憶に新しい。
それだけではない。心臓や全身の血管に、よけいな負担がかかり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などを招きやすい。健康な人に比べて心筋梗塞や脳卒中の発作が2~3倍も多いというデータもある。
自宅で行うCPAP療法、スリープスプリント
SASの手軽な治療法としてスリープスプリント療法がある。下顎を前に引き出し、舌全体を持ちあげる透明で薄いプラスチック製のマウスピースが、歯科や口腔外科でつくるスリープスプリントだ。仰向けに寝ていると重力によって舌全体が喉の奥に沈みこみ、気道(空気の通り道)を塞ぐことからSASが生じるので、夜、寝るときにスリープスプリントをつけることで防止する。マウスピースを装着するだけという手軽さが、この治療の一番のメリットだろう。
また、睡眠時に鼻マスクを装着する持続気道陽圧(CPAP)療法も効果的だ。圧力のかかった空気を鼻マスクから送りこみ、気道を広げることで無呼吸を防ぐ治療法であり、睡眠ポリグラフ検査を行い、その結果に基づいて、患者ごとに有効な適正圧を設定して治療を行う。
当初、特殊な鼻マスクに違和感を覚えていても、すぐに慣れる人がほとんど。CPAP療法は健康保険も適用され、1カ月5000円程度で貸し出してくれる。
SASの患者のうち70〜80%は肥満だ。食生活を見直すと同時に普段から運動を行い、肥満を解消することが求められる。
【文/松沢 実】
















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