糖尿病は初期には自覚症状がないまま進行することが多く、そのまま放置すると、網膜症、腎症、神経障害などを引き起こすため、早めの検査と適切な治療が大変重要である。
糖尿病治療の進歩
わが国の糖尿病患者数は生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に増加している。
日進月歩で進歩している糖尿病の治療で、最近、大きな注目を浴びているのが血糖値を下げる経口薬からインスリンへ切り換える時期が早められていることだ。
糖尿病の患者はヘモグロビンAlc6.5%未満、食後血糖値180mg/dL未満、空腹時血糖値130mg/dL未満にコントロールしなければならない。そのため従来は2~3種類の経口薬を服用してみてもヘモグロビンAlcが8%以上なら、できるだけ早い時期にインスリンへ切り換えることが求められてきた。しかし、最近はヘモグロビンAlcの検査値が8%にならなくても、7.0~7.5%に上昇したらインスリンに切り換えることを勧める医師が増えてきた。
インスリンによる血糖コントロール
インスリンへ切り換える時期が早められるようになったのは、経口薬による不十分な血糖コントロールが続くと、高血糖のためにインスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の増悪が進み、さらにそれがまた高血糖を進行させるという悪循環、いわゆる「ブドウ糖毒性」を亢進させてしまうからだ。インスリンによる強力な血糖コントロールでブドウ糖毒性を解消できれば、再び経口薬に戻せる。一時的であっても早期からインスリンを使うというのが最近の傾向なのである。
最近のインスリン注射は使い捨ての注射器を使用し、針も細くなり、ほとんど痛みを感じない。加えて、食事の直前に注射すればよい「超速効型インスリン」や、1日1回注射するだけで24時間効き目が持続する「持効型インスリン」など新たなタイプも登場している。すでに欧米で使われている吸入型インスリンの承認も近いと期待され、インスリンによる血糖コントロールが改めて注目されている。
【文/松沢 実】













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