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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

生活の欧米化に伴って急増「加齢黄斑変性の最新治療」光線力学的療法:PDTなど治療の進歩
岸 章治先生写真

【特別寄稿】

眼科PDT研究会 世話人
群馬大学医学部眼科 教授

岸 章治

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加齢黄斑変性とは、視機能が集中している眼底の黄斑が障害される疾患である。

これに罹患すると中心暗点やゆがみを生じ、見ようとするところが見えなくなる。高齢化社会の出現とともに、近年、加齢黄斑変性が増加している。日本では視覚障害の原因として、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性についで、加齢黄斑変性が第4位になっている。米国では法的失明(視力0.1以下)の原因のトップが加齢黄斑変性であることから、本症の頻度はさらに増加すると考えられる。

加齢黄斑変性は萎縮型と滲出型に大別され、前者は現在のところ治療法はない。滲出型は脈絡膜、すなわち網膜の裏側から新生血管が成長し、出血や滲出病変を起こしながら黄斑を破壊する。本症の治療は脈絡膜新生血管の退縮を目的としている。

以前からレーザー光凝固による治療が行われていたが、適応症例が限られるなどの制限があったため、網膜を焼かずに、その下にある脈絡膜新生血管を凝固する方法が模索され、光線力学的療法が開発された。この方法ではビスダインという感光色素を静脈注射する。この色素は血液中のリポ蛋白に結合し、その後、新生血管の内皮細胞に選択的に集積する。そこへ網膜を焼かない程度の弱いレーザーを当てると、色素が光化学反応を起こし、血管内皮細胞を障害し、その結果、新生血管が閉塞する。この光線力学的療法は2004年5月に厚生労働省から認可されたが、欧米より2~3年も遅れた認可であった。

光線力学的療法では、いったん閉塞した新生血管が再発することが多く、繰り返し治療をしなければならないため日本では平均3回、治療が行われる。その過程で滲出病巣は退縮するが、結局はある程度の黄斑の萎縮を引き起こす。それでも無治療より視力低下が緩徐であることが証明されている。最近では、組織障害を減らすために、補助療法としてステロイドの眼内または眼周囲への注射が併用されている。

また最近では、加齢黄斑変性を誘因するホルモンである血管内皮成長因子(VEGF)への抗VEGF抗体が、新生血管の退縮をもたらし、視力の改善が期待できることが分かり、今後の動向が注目されている。

岸 章治(きし しょうじ)

日本眼科学会 評議員
網膜硝子体学会 理事
糖尿病眼学会 理事

1976 群馬大学医学部卒業
1981 イリノイ大学眼科研究員
1998 群馬大学医学部眼科教授

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