変形性膝関節症
膝関節は大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿の骨)の3つより構成されていますが、骨と骨は直接擦れ合っているのではなく、骨の表面に軟骨という柔らかくて滑りやすい組織があり、その軟骨同士が接触して滑るように動いています。この軟骨には神経や血管がなく、正常の場合全く痛みを感じません。
しかし、加齢による変化に体重増加、O脚変形、過酷な日常生活動作などの要因が加わり、徐々に軟骨が変性し摩耗していくと、痛みを感じるようになります。これが変形性膝関節症です。正常の膝関節レントゲン写真では軟骨は写りません。大腿骨と脛骨の間に関節裂隙という空間が認められます(図1左)。
ところが、変形性膝関節症が進行すると、軟骨がすり減るとともに骨棘(こつきょく)と言われる棘のような物が骨の片縁にみられます。軟骨が完全に消失すると、骨同士が擦れ合うことになり、レントゲン上関節裂隙は全く消失します(図1右)。
人工関節置換術による治療
関節面の軟骨を再生することが究極の治療法であり大学等の研究施設を中心に研究されておりますが、残念ながら高齢者の変形性膝関節症に臨床応用される段階までには至っておりせん。そこで、人工的に軟骨を作成し、それを大腿骨、脛骨、膝蓋骨の関節面に貼り付ける、これが人工膝関節の基本的な考え方です(図2)。
この手術は約1時間で終了し、術後のリハビリテーションを含め約3週で退院可能です。手術は知識、経験のある膝専門医がいる全国の病院で一般的に広く行われており、成績も安定しております。膝痛やO脚変形で悩まれている方は、是非お近くの整形外科医に相談することをお勧め致します。
術後の生活
古くは、人工関節を行うと膝が曲がらなくなる、すぐ緩んで再手術が必要となるので労働やスポーツは控えるように言われてきました。しかし、近年術式や機種の進歩により徐々にその制限はなくなりつつあると考えます。我々の施設で手術した患者様の中でも、卓球、テニス、パークゴルフや家庭菜園を楽しまれている方が大勢いらっしゃいます。術前の顕著なO脚変形の患者様に両側同時に人工関節を行ない、術前できなかった正座が可能になった患者様もいらっしゃいました(図3)。
今後更に研究を重ね人工関節を進化させ若いときの膝と同等な機能に近づける事が、我々の責務だと考えております。
木村 正一
医療法人社団我汝会えにわ病院 整形外科部長
日本整形外科学会認定 整形外科専門医
日本整形外科学会認定 スポーツ医 医学博士
昭和63年3月旭川医科大学卒業。平成元年4月北大整形外科入局。美唄労災病院部長、札幌社会保険総合病院医長等を経て平成13年4月よりえにわ病院勤務。平成15年4月より現職。平成16年膝のバイオメカニクスの研究にて医学博士号取得。平成20年北大非常勤講師。
現在週に3~5件の人工膝関節置換術のほか、膝靱帯再建術や半月板縫合術などの
膝関節鏡視下手術をこなす傍ら全国から来ている研修医の指導に多忙を極めている。









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