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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

靭帯断裂形成手術
 
城田真一先生写真

【特別寄稿】

浦添総合病院 整形外科部長

城田 真一

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中心となる膝前十字靭帯損傷

靭帯は骨と骨をつなぎ関節がぐらつかないようしっかり安定させる働きをしています。関節の中でも膝には4つ大きな靭帯があり、膝の複雑な動きを支えています。

しかしスポーツや事故などで膝を強くねじったりぶつけたりした場合切れてしまうことがあります。靭帯が切れると関節の支えが不十分になり軟骨に負担がかかってしまいます。軟骨は関節がなめらかに動くための潤滑作用や体重がかかるときショックをやわらげるクッションの役割などをしています。この軟骨は加齢とともに徐々にすり減っていきますが、靭帯断裂があるとすり減るスピードが速まるため、適切な治療が必要になります。

同じ膝でも切れた靭帯によって治療法が異なります。ギプスや装具、膝周囲筋力強化などで、安定する靭帯や切れた部分を直接縫合することで安定する靭帯もあります。しかし、スポーツ中の膝靭帯損傷の中で頻度の高い前十字靭帯(膝下の下腿が前にずれたりねじれないよう働いています)を損傷した場合、手術以外の方法では安定せず、また切れた部分をつないでも膝をしっかり支えることが難しいため、別の場所から靭帯の代わりになるもので作り直す靭帯形成手術が必要になることが多いです。靭帯形成手術で用いるのは膝蓋骨(おさら)の下にある膝蓋腱や膝を曲げる働きをする半腱様筋や薄筋、さらに人工の靭帯などがありますが、それぞれに利点や欠点を有します。一番安定性が高いのは膝蓋腱を用いる方法ですが、筋力の回復に若干時間を要する場合があります。半腱様筋や薄筋は小さい傷で手術が可能ですが、膝蓋腱より安定性は多少おとると考えます。人工靭帯は自分の正常な組織を犠牲にしないため回復も早いですが、長期的にみるとゆるみが出る場合もあります。私は患者さんの年齢、活動性などによって治療法を変えていますが、どの方法を選ぶかは医師によっても考え方が多少異なるため、熟練した専門医と十分相談の上、治療法を選択することをおすすめします。

さらに治療は手術が終われば終了ではなく、術後の機能回復にはリハビリがとても重要です。術後まず膝の動きを良くし、筋力をつけながら徐々にスポーツの動きを取り入れていきますが、スポーツ復帰までは半年から1年くらいかかります。単純な動きや筋力だけでなく靭帯損傷を起こしやすい動作に注意し、また恐怖心なども取り除かなくてはいけないのでスポーツ専門のリハビリが可能な病院で時間をかけてしっかり治療にあたらなくてはいけません。

このように膝前十字靭帯断裂には専門の医療スタッフによる治療が必要ですが、断裂に気づかずスポーツを続け何度か膝をねじって病院を受診する患者さんも多いです。これは前十字靭帯断裂を起こしやすい動作がラグビーなどの相手とぶつかる接触プレー中だけでなくバスケットボールやハンドボールなどの急なストップや、ジャンプ、方向転換時などの相手と接触なしに受傷することが多く、軽い捻挫と思い込んでしまうためです。実際に受傷直後は痛みがあるものの何日かたつとまた動けるようになる場合もあります。膝をけがした場合、すぐスポーツ復帰はせず、まず専門医を受診することをおすすめします。

城田 真一(しろたしんいち)

浦添総合病院 整形外科部長

平成3年琉球大学医学部卒業
平成10年琉球大学医学部大学院卒業
平成10年浦添総合病院勤務
平成17年現職
日本整形外科学会専門医
日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師会健康スポーツ認定医
Harvard Medical School Sports Medicine Clinical Fellowship

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