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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

体の負担が少ない肝がんの新治療X「ラジオ波焼灼術(RFA)」~大腸がんの肝転移などでも良好な成績~
 
椎名 秀一朗先生写真

【特別寄稿】

東京大学医学部附属病院
消化器内科 講師

椎名 秀一朗

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切除しても5年で80%が再発

肝臓がんでは多発病変や肝硬変により手術可能な患者は限られますが、切除しても、小さな転移がすでに存在したり肝硬変から新たにがんができたりで、5年で80%が再発します。

100度に熱して確実に治す

ラジオ波治療は、皮膚を2~3ミリ切り径1.5ミリの電極を病変に挿入し、がんを100度に熱して死滅させる治療です。1回の焼灼で3センチの範囲を焼き尽くすことができます。焼き尽くされる範囲にがんがすべて含まれれば、切除をしたのと同じようにがんを治すことができます。がんが大きな場合には、がんの右側と左側というように、何ヶ所かに電極を入れ分け、全体を焼き尽くすようにします。一般的な適応はがんが3センチ以内3個以下ですが、上級者が担当し、肝機能が良く、患者が治療を切望すれば、3センチ超でも4個以上でも治療可能なことがあります。治療後はCTで治療効果を判定しますが、がんが残存する可能性があればその部分を狙ってラジオ波治療を追加することができます。延べ3,900例と世界一の実績を持つ東大には、がんができた部位が悪く治療ができないと他施設で言われた患者が沢山来院しますが、99%の患者でがんが消失しました。

体にやさしい治療

ラジオ波は全身麻酔や開腹手術が不要なため肝硬変患者や高齢者にも可能です。東大では最近は患者の平均年齢は70歳を超え、80歳以上が11%です。治療時間は1~2時間、その後4時間絶対安静、翌朝までベッド上安静です。食事は4時間後から、歩行は翌日から可能です。

良好な長期成績

がんの治療で重要なのは生存率です。がんが多発したり、肝硬変が進んでいたり、高齢であったりで手術出来ない患者にもラジオ波は行なわれますが、成績は手術以上です。がんが3センチ以内3個以下で肝硬変が重くない患者(チャイルドA)では、生存率は1年99%、2年96%、3年91%、4年83%、5年73%、7年59%です。肝がんは5年で80%が再発しますが、ラジオ波の場合、90%の患者でラジオ波による再治療が可能です。

大腸がんの肝転移などでも良好な成績

ラジオ波治療は大腸がんなどが肝臓に転移した場合にも有効です。欧米では、ラジオ波治療は原発性の肝がん(元々肝臓にできたがん)よりも転移性の肝がんに広く行なわれています。しかし、日本では大腸癌の患者などにはあまり知られていないようです。東大の患者では、ラジオ波が最初の治療だったのは27%で、25%は肝切除後に48%はその他の治療後に再発してラジオ波に回ってきました。肝臓だけにがんがあり東大でラジオ波を行なった場合、生存率は1年92%、2年86%、3年75%、4年63%、5年52%、7年44%です。なお、これらの患者の11%は80歳以上です。条件の良い患者に肝切除を行なっても5年生存率が40~50%であることをから、ラジオ波は肝切除を超える成績を達成していると考えられます。手術できない進行がんでもラジオ波と化学療法を組み合わせて良好な成績を上げています。

ラジオ波治療は実績のある施設で

ラジオ波は2004年4月から保険適応となり、現在ではたくさんの病院が行っています。治療費用は13万6000円で、患者さんはこのうち自己負担分(1~3割)と入院費を負担することになります。ラジオ波には実績のある施設をお勧めします。超音波でがんを見つけ電極を挿入する治療のため、一見、どんな医師でも可能な治療に思われます。しかし、がんを精確に“描出”できる技術がないとがんが残存したり、周辺の組織を損傷したりする危険もあるからです。また、高性能の超音波やCTがあるかどうかも成績に影響します。

患者が高齢化し、がん治療におけるQOL(生活の質)が重要視される中で、ラジオ波治療は益々重要な役割を担うものと思われます。

椎名 秀一朗(しいな しゅういちろう)

東京大学医学部附属病院 消化器内科 講師

1982年 東京大学医学部卒業
1983年 三井記念病院研修
1992年 東京大学医学部第二内科助手
1996年 茅ヶ崎市立病院消化器科医長
1997年 東京大学医学部第二内科助手
2000年~2002年 東京大学消化器内科医局長
2000年4月より 東邦大学客員講師
2001年6月より 和歌山県立医科大学非常勤講師
2004年6月より 東京大学消化器内科講師

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