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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

血流障害を改善する「心臓管インターベンション治療」~切らない低浸襲の血管内治療~
 
一色 高明先生写真

【特別寄稿】

日本心血管インターベンション学会 理事長
帝京大学医学部附属病院 循環器科 教授

一色 高明

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動脈硬化などで血流が阻害されると、心疾患、脳血管疾患を含め、全身に影響を及ぼす。そうした中、カテーテルを使って血栓にできた血流を再開、改善させるインターベンション治療が、低侵襲に治療効果が得られることなどから注目を集めている。

全身に影響を及ぼす動脈硬化

狭心症や心筋梗塞は、進行した動脈硬化によって心臓の筋肉に酸素を送っている冠動脈が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)することが原因で起こります。このような動脈硬化は冠動脈だけでなく、全身の動脈でみられます。頚動脈や脳動脈の動脈硬化は脳梗塞の、腎動脈では腎機能低下や腎血管性高血圧の、そして下肢の血管では歩行障害や足先の潰瘍の原因となります。

インターベンション治療とは

一般にこれらの動脈が狭窄した場合には、血管を拡げる薬や血をかたまりにくくする薬を用いて、血行を良くすることが試みられます。しかし、薬剤のみでは血管を元通りに戻すことは困難です。そこで、積極的に血行を改善させる治療法として、血行再建術と呼ばれる手段が取られます。血行再建術には外科手術と経皮的動脈インターベンション(単にインターベンション)と呼ばれる治療法があります。

“インターベンション”は、2~3mm程度の太さの管(カテーテル)を用いて行なわれる血管内治療を総称する言葉です。インターベンションは冠動脈が代表的ですが、それ以外にも四肢の動脈や頚動脈、腎動脈に対しても多く行なわれています。これらに共通した手法は、風船(バルーン)の付いたカテーテルを血管内に挿入し、狭窄部でバルーンを膨らませて押し拡げるというものです。この際、ステントと呼ばれる金属製の金網状のチューブを病変部位に留置する手法をとることが一般的です。ステントで動脈の内部から支えて内腔を確保するのです。冠動脈に対しては、さらに細胞増殖を防止する薬をステントに染み込ませた“薬剤溶出性ステント”が多く用いられます。これにより治療した部分が再び狭くなる(再狭窄)ことを強力に抑えることが可能です。なお、ステント留置後には血栓ができやすいので、アスピリンなどの抗血栓薬を忘れずに一定期間内服することが必須です。

(図)経皮的冠動脈インターベンション

良質なインターベンション治療を受けるために

さて、どのインターベンションも通常は太ももの付け根の大腿動脈を穿刺して行ないます。手技が複雑でなければ、いずれも1時間程度で終了します。成績はおおむね良好で、冠動脈インターベンションの場合は、特殊な場合を除けば95%程度の成功率が見込まれます。なお、この成績は個々の動脈硬化の程度や全身・心臓の状態によって変わります。術後は当日から食事を摂ることが可能で、入院期間は3日程度です。なお、冠動脈のインターベンションは手首の動脈からも行なわれ、この場合には術後すぐに歩くことも可能です。

一般に冠動脈インターベンションは循環器科が、頚動脈は脳外科や循環器科が、腎動脈や四肢の動脈は放射線科や循環器科が担当しています。年間症例数が多い施設は成績も安定している場合が多いですが、症例数がそれほど多くなくても良好な成績を挙げている施設もあります。良質のインターベンション治療を受けるためには、外科手術の可能性も念頭に、主治医の説明をよく聞き、その施設や術者の成績を確認して判断する姿勢が重要です。

一色 高明 (いっしきたかあき)

日本心血管インターベンション学会 理事長
帝京大学医学部附属病院循環器科 教授

1975年東北大学医学部卒。
81年東京大学医学部第一内科入局。
86年米国ルイジアナ州 ニューオリンズAlton Ochsner Medical Foundationに留学。
99年から帝京大学医学部附属病院循環器科教授。
2006年から日本心血管インターベンション学会理事長。

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