不整脈には大きく分けて脈が遅くなる『徐脈(じょみゃく)性不整脈』と脈が速くなる『頻脈性不整脈』がある。頻脈性不整脈の治療には主に薬物療法が行われているが、最近では根治が多いに期待できる高周波カテーテルアブレーションが注目を集めている。
不整脈の根本治療として注目!
不整脈は大別すると、洞不全症候群や房室ブロックなどによる徐脈性のものと、発作性に頻脈を生じるものがある。徐脈性不整脈が特徴的な症例に対してはすでに1960年代に植込式ペースメーカーが開発され、心臓のリズムが遅くなるとペースメーカーが作動してリズムを回復させる。また、頻脈性不整脈のうち、頻脈が発生すると血圧が極度に低下して突然死に至る心室細動あるいは特別な心室頻拍に対しては約25年前から植込式除細動器が開発され、救命に大いに寄与している。しかし、よく考えてみると、これらの画期的な救命器は、あくまでも発作が起こった時に作動するだけで、不整脈を根本的に治すものではない。
一方、致死的ではないが、頻脈発作を繰り返し、その都度抗不整脈薬の静注で正常に戻し、このあと薬を半永久的に服用してもらうという例も多い。
以上のような背景から、不整脈が発生する源の組織を不活性化し、2度と不整脈が起こらないような根本的治療が考えられてきた。そうした中で有力な治療法として浮かび上がってきたのが、高周波カテーテルアブレーションである。
高周波カテーテルアブレーションとは
まず、血管から電極のついた細いカテーテルを心臓内の不整脈の原因組織まで挿入する。原因組織はピンポイントとして探す必要があり、そのためには多電極のカテーテルを数本入れて、心臓内の局所の電位を多数記録して(マッピングという)調べておく。
原因組織に到達したカテーテル先端電極に高周波通電を1~2分間行う。その結果、通電電極の先端は約70℃で発熱し、そこに当たった心筋は壊死し、心臓の不整脈発生源としての機能が失われる。本当に機能が失われたかどうかを確認するには、カテーテルを通じて電気刺激を与え、再発しないことをみるのが一般的である。
なお、アブレーションとは焼却という意味だが、炭化するまで焼くかというと、それは(心臓に穴があいてしまうなど)とても危険だ。
どんな不整脈に効果があるか
主に心房性頻脈に効果的である。列記すると以下のごとくである。
- 発作性上室頻拍…この中にもいろいろあるが、有名なのはWPW症候群がある。この場合は先天的に心臓から心室に通ずるケント束などのバイパスがあり、これが頻脈発生源であるので、このバイパスに対して何度か高周波を通電する。成功率は100%近い。
- 心房粗動…心房を囲むように大きな回路が形成され、これが原因で頻脈が発生する。この回路のごく一部に通電すると、以後頻脈は発生しない。成功率は100%に近い。
- 心室頻拍、心室細動など…致死的不整脈なので、高周波通電が世界的にかなり行われているが、心室筋が厚いためか、未だ成功率は低い。
- 心房細動…脳梗塞を高頻度で起こすので、完治が望ましい。最近、心房細動は左心房に開口している肺静脈から発生するといわれ、肺静脈への通電療法が行われはじめ、効果的といわれている。 しかし、4つの肺静脈口を全部通電するのは時間的にも大変で、そのため一度に大きな面積を暖めるホットバルーンカテーテルが開発されはじめている。
早川 弘一 (はやかわひろかず)
日本不整脈学会 前会頭
日本医科大学 名誉教授
医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブ 理事長・院長
日本医科大学大学院修了。米国シ-ダーズサイナイ病院留学。
元日本医科大学学長。
社会福祉法人康和会久我山病院名誉院長。








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