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特集記事: 2008年1月31日 [ 「いい病院2008」 1月31日 掲載 ]

つらい痔の低侵襲治療「内痔核硬化療法」切らずに注射で痔を治す
 
【監修】 医学ジャーナリスト 牧野 賢治
 
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痔はめずらしい病気ではないが、恥ずかしい、手術は痛いといったイメージから、受診する患者は多くないのが実状だ。そうした中、切らずに痔を治療することができる内痔核硬化療法は、その低侵襲性などから期待が高まっている。

痔核の種類と症状

痔は成人の3人に1人が悩んでいるといわれるほどポピュラーな病気である。「恥ずかしい」「痛そう」「怖い」といった理由から治療を受けていない人も多い。痔は大きく分けて「痔核」「痔ろう」「裂肛」の3つの種類があるが、男女ともに痔核(俗にいういぼ痔)が全体の半数以上を占める。痔核は元来、肛門を閉じる役目をしているクッション部分がふくれて大きくなった病気で、直腸側にできる内痔核と、肛門側にできる外痔核とに分けることができる。初期のうちは排便の際に真っ赤な出血を伴うだけだが、進行すると内痔核が肛門の外に脱出するようになる。ひどくなると、はじめのうちは自然に戻っていた内痔核が、指で押し込まないと戻らないばかりか、そのうち脱出したままになってしまい、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまう。

痔の種類

基本治療と 注目の「ALTA注」

内痔核の治療は、日常生活で肛門に負担をかけないようにしつつ、薬で治療する保存療法や特殊な器具を用いて小さな輪ゴムをかけてしばるゴム結紮療法、痔核にそそぐ根部血管をしばって痔核を切除する手術(結紮切除術)などが行われている。しかし最近、特殊な注射液を痔核部に注射することによって、手術することなく低侵襲に治療する内痔核硬化療法(ALTA注)が行われるようになってきた。

手術をせずに 注射で治す

ALTA注は、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を主成分とする薬剤を内痔核に注射、痔に流れ込む血液の量を減らして、痔を硬くし粘膜に癒着、固定させることで出血症状、脱出症状を改善する治療法だ。投与後、効果はすぐに現れる。出血が止まり、組織が硬くなって痔核は次第に小さくなっていき、1週間から1カ月後には痔核が肛門から脱出することもなくなる。痔核を切除する手術と比べて、痛みを感じない部分に注射するので、痛みもほとんどない。患者への負担が軽いため、痔核の状態によっては日帰りでの治療も可能となっているが、2~3日経過を見て治療を行うのが一般的だ。排便や入浴は治療翌日から可能で、仕事にも数日後から復帰できるが、治療後は手術と同じくらいのケアが重要となる。自らの体調の変化に気をつけ、痛みや出血、発熱や排便がしにくいなど普段と違った症状が現れたら、すぐに担当の医師に相談することだ。

4段階注射法とは

またALTA注は患者にとって負担の少ない治療であるが、単に痔核に注射すればよいというわけではない。薬剤の副作用を防止し、十分な効果を得るために、痔核の構成部位、注射量を意識した4段階注射法という特殊な手法で投与される。注意して行わないと直腸潰瘍や直腸狭窄などの合併症が生じる危険があるためだ。そのためALTA注は、内痔核治療法研究会が主催する講習会で知識と技術を習得した医師に限定して行われることとなっている。

4段階注射法、治療の流れ

ALTA注の治療は まず専門医に相談を

ALTA注は、いままで手術が選択されていた脱出を伴う内痔核または混合痔核に対して有用な選択肢の一つとなっている。 ただし、その作用機序から見て、粘膜や内痔核の脱出、内外痔核の脱出には効果が期待できるが、全周性の巨大な痔核や、内外痔核でも内痔核に比べ、あまりに外痔核の大きなもの、痔核の急性期といえる血栓を多数形成して脱出したままの状態となった嵌頓痔核に対しては適応外となる。また皮垂や肛門ポリープ、線維化による硬化がある痔核にも適応とはならないので注意が必要だ。ALTA注を希望する場合は、一度、専門医にALTA注の適応となる痔核かどうかを診察してもらうことが大切であるといえるだろう。

【文/小林 恵美】

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